23話 第一皇女からの依頼
私とリュウにうれしいニュースが入って来た。
それは、私とリュウが商品登録したマーメイドラインのドレスや、コルセットもバッスルも使わないドレスが洋裁師の間で話題になり、商品登録したいと言う人が続出したということ。
おかげで私とリュウの懐にはお金がいっぱい入ってきていて、リュウはこのお金で学園費と生活費は余裕で工面できると喜んでいたわ。
それと同時に、私とリュウにドレスを作ってほしいという貴族の依頼が殺到しすぎて、商人ギルドは混乱が起きているという。
ありがたい話ね。
このままでは商人ギルドにパニックが起きると、商人ギルドのギルド長が学園長に泣きついてきたらしいので、私とリュウに商売をしてみないかと学園長が提案してきた。
商人ギルドのブロンズランクに登録したから、商売ができるならしてみたい。
それに、貴族にドレスを作って貴族を味方につけておけば、没落貴族になって生活が苦しいときに、貴族たちから力を貸してもらえるかもしれないわね。
平民に反感を買わないためにも貴族だけではなく、平民用の服も作りたいところだけど、今は目の前にある仕事をやりくりすることで精いっぱいでしょう。
とりあえず、私たちの商売は貴族のドレスを作ることからスタートすることにして、余裕ができたら平民用の服を作ることにしましょう。
私は学園長の提案を受け入れたけど、貴族にいい印象を持たないリュウは、提案を受け入れることを渋っていたわ。
私も説得したけど、まだ貴族に悪い印象があるようで、私が困っていたら協力するという形で、主に貴族にドレスを作るのは私だけということになった。
さっそく商人ギルドに行き、数件の依頼を引き受け、美の女神の説明を受けて作ったコルセットもバッスルも使わないいろんな種類のドレスは、瞬く間に貴族の間で評判を集めた。
今までの依頼だけではなく、私のドレスを着た貴族を見た人たちからの依頼も次から次へとやって来て、【洋裁神具】を使っても間に合わなくなったので、結局リュウの手を借りることになったのよね。
そして、私に服の依頼をした人にお試しで洗濯洗剤を無料で渡し、気に入ったら買ってもらうと言う風にしたところ、綺麗なドレスを何回も着られるということで、洗濯洗剤の売れ行きはすさまじいものになった。
その結果、私とリュウの名前は貴族や洋裁師の間で広まり、学園でも知らない生徒に話しかけられるほど。
私とリュウの作るコルセットもバッスルも使わないドレスは、貴族の間で人気のドレスとなり、私の作るドレスは貴族のステータスとなって、私とリュウは瞬く間に時の人となった。
最初は学園の授業をこなしながら、貴族相手にドレスを作ることに手間取っていたけど、2カ月もしたら慣れてきたわね。
私にドレスを作ってほしいあまり、私に親し気に近づいてくる女子も少なくなかったけど、お金を払わないやつに作ってやるほど暇じゃないのよね。
今日も授業が終わったらドレスの依頼を3件こなすつもり。
今日も忙しくなりそうね!
「オルガ・オールバーン様、ですよね? 少しお話良いですか?」
「あなたは……確か、レオン・グレフェス、だったかしら?」
私が話しかけてきたのは、金髪の長い髪を前で一つにまとめ、とてつもなく整った顔に翡翠のように美しい瞳のとてつもない美男子。
私のタイプドンピシャだ。
それはさておき、レオン・グレフェスは学園でも有名人ね。
ローラル皇国の第一皇女、シャーロット・ヴェルデ・ローラルの側近でありながら、女子なら誰でも色めきたつほどの絶世の美男子よ。
皇族とかかわりのある家柄の私が知っているのはもちろん、学園で話題になっているぐらいなんだからよっぽどモテるんでしょうね。
でも、ここまで人間離れしたイケメンでも、私のバッドエンドには何にも関わってこないモブキャラ。
レオンより重要になって来るのは第一皇女のシャーロット・ヴェルデ・ローラルのほうね。
シャーロットは貴族社会を尊重して、平民などどうなろうとお構いなしの横暴な政治方針を見かねたアレックスが、皇帝に着いた際に処刑されてしまう。
確かシャーロット様の腹心であるレオンは、国外追放されるんだったかしら?
そんな運命をたどるシャーロットの従者のレオンが私に何の用かしら?
「あなたにシャーロット様が成人の儀で着るドレスを作っていただきたいのです」
レオンの依頼というのは、あと5カ月後に成人になるシャーロット様を国で盛大に祝うのだが、その成人の儀で着るドレスを、私に作ってほしいという。
巷で話題になっていて、貴族の間で人気の私に依頼したい気持ちはわかるわ。
でも、王位継承者一位であるシャーロット様の成人の儀という大イベントを、ただの学生がしていいものなのかしら?
待って! 下手に気に入られないドレスを作ろうものなら、没落貴族になる前に処刑されてしまうかもしれないわ!
危ない道を自ら進むことはないわね。
よし、断りましょう!
「申し訳ありません、その依頼は断らせていた……」
「なお、断ろうものなら反逆罪で死罪もあり得ますのでご了承ください」
そんなの引き受けるしか答えはないじゃない!
「オルガ様の考えは察することができますが、引き受けることが妥当だと思いますよ? 成人の儀のドレスをシャーロット様が気に入れば、シャーロット様専属の洋裁師になれるかもしれませんし、今後の仕事にだって良い影響が出るでしょう。断る理由はないと思いますが?」
確かにそうかも。
この機会を機に私が有名になってドレスの需要が高まれば、いよいよ空腹と寒さで死んでしまう未来がなくなるんじゃない?
それ以前に、シャーロット様にお近づきになれば、反乱が起きないような政治に切り替えるよう助言できるかもしれない。
そうなれば私は惨めな人生を歩まずに済むし、シャーロット様が処刑される運命が変わるかもしれない。
それが実現できれば、私が人生をやり直した目的を1つ達成できるわ!
それに何より、皇族のドレスを作るってなんかかっこいい!
やってみるのもいいかも。
「わかりました。その依頼、引き受けます」
「ありがとうございます。伝え忘れていたのですが、依頼する上で守ってほしい条件が2つほどあります」
「条件?」
レオンが出した2つの条件。
1つ目は金貨30枚以内でドレスを作ってほしいということ。
ドレスの生地や材料費は、国から支給された金貨30枚という制限内でやりくりすることが決まりだそうで、後日お金を渡してくれるらしい。
これはシャーロット様が出した条件で、絶対に守ってほしいという。
何で大事な成人の儀という大イベントなのに、シャーロット様はそんな条件を出したのでしょうね?
皇女様の考えることはわからないわ。
2つ目は成人の儀のシャーロットのドレスは私を含む5人の洋裁師が作って、そのドレスの中から1番素晴らしいドレスをシャーロット様が選ぶということ。
つまり、私の作ったドレスをシャーロット様に着てもらうには、シャーロット様と成人の儀にふさわしく、気に入られるものを作らないといけないということね。
王族にドレスなんて作ったことないから、気に入られるものが作れるか不安だけど、全力を出すだけよ。
「後日、王宮に招待しますので、そこで詳しく話します。皇帝陛下と皇后陛下も同席するので、それに見合った格好で来てください」
「わかりました」
私には皇族の血が流れているとはいえ、皇帝陛下と顔を合わせるのは初めてのことね。
緊張するけどとても光栄なことだわ。
これは最高の服を着ていかないとね。
それから学園長に事情を説明し、しばらく休学すると伝えた後、依頼のドレスより先に自分のドレスに取り掛かり、気合と時間をかけて良いものを作った。
私のチャームポイントのフィッシュテールのドレスはそのままにして、目立ち過ぎず、後続の方々を引き立てるような紫色のシックな色合いのものにしてみた。
紫色の生地は最高級品のパティーニ生地とレインズ(サテン)生地を使い、高級感がありつつ落ち着いた代物に。
装飾は最小限のフリルに魔法石にすることで、皇宮にふさわしいようなうるさすぎず、上品なドレスにしてみたわ。
これで恥をかくことはないでしょ!
満足のいく自分のドレスも作れたことだし、残りの時間で作れるだけの依頼のドレスを作るとしましょう。
思ったよりも自分のドレス作りに時間がかかってしまった私は、急いで依頼されたドレス作りにかかる。
幸い、いつもの寝る時間までには依頼されたすべてのドレスを作り終えることができたけど、気を使ってかなり疲れちゃった。
今日は質のいい睡眠をとって、ゆっくり休もう。
24話 皇族のドレス
王宮で成人の儀の説明が行われる日。
私は自分のために作った紫色のドレスを着て、王宮から用意された馬車に乗り王宮へ向かう。
リュウにも一緒に行こうと誘ったのだけど、「それはオルガの仕事で俺が出る幕じゃない」と言われて断られたわ。
別にそんなこと気にしなくていいのにね。
王宮の馬車は私でも乗ったことのないくらい豪華で、私とアンを乗せるだけではもったいないくらい広い。
皇都にある学園は皇宮にほど近く、学園の門を出てから数十分で皇宮にたどり着いた。
皇宮の中は町の中のような学園より広くて、豪華で立派な城がいくつも建っているわね。
今日お邪魔するのは、皇宮の中にいくつも建っている城の中でも真ん中に位置する、特に大きな城が皇居みたい。
大きな城の前で止まった馬車から降り、皇居に足を踏み入れると、レオンが私を待っていてくれた。
アンを部屋に待たせて、一人で皇族の待つ大広間までレオンの後についていくと、骨董品が等間隔に置かれた廊下を渡り、大きな扉の前まで来た。
扉の前には2人の騎士が立っていて、レオンが合図を送ると2人の騎士は同時に扉を開くと、広い空間が広がっている豪華絢爛な大広間に、鎧を着た騎士と、ローブを着た人たちが並んで立っていて、目の前の玉座には4人の男女が座っている。
煌びやかで豪華な服を着て、冠をかぶった凛々しい男性は皇帝陛下で、王族や皇族が伝統とするクリノリンの華麗なドレスを着たシャーロット様を含む3人の女性は国王の血縁者ね。
それにしても、皇帝と皇后を挟んで座っている王位継承者一位のシャーロット様と第2皇子のウォルターは、あんまり似ていないわね。
それに、貴族社会を尊重して豪華な生活をしているイメージとは違って、ドレスもシンプル。
想像していた人物とはかけ離れているわ。
玉座に座る4人の王族の前には、素晴らしい服を着た4人の男性が膝をついて頭を下げている。
おそらく、シャーロット様のドレスの依頼を受けた貴族の洋裁師ね。
私も4人の洋裁師の隣に移動し、膝をついて頭を下げる。
この態勢では床しか見えなかったけど、隣の洋裁師たちは私の方をチラチラと見ている気がしたわ。
「ゴホッ、ゴホッ、これで全員揃ったようだな。今回は我が娘であり、王位継承者一位の第一皇女、シャーロットのために集まってくれたことを感謝する」
国王が、咳を交えながら大広間に響き渡るような太い声で、私たち洋裁師に挨拶をする。
さすが国の頂点に立つ者なだけあって、挨拶だけでも威厳を感じるわね。
でも、咳をして苦しそう。
風邪かしら?
「今回のシャーロットの成人の儀は、ローラル皇国の国民や他国の王族、貴族にも威厳や力を見せるために、国の予算を惜しまなく使うつもりだ。ゴホッ、ゴホッ。お前たち洋裁師には金貨30枚で盛大に行う成人の儀にふさわしいドレスを作ってほしい」
レオンに依頼されたときも思ったけど、予算を惜しまなく成人の儀をするつもりなのに、何でドレスには制限があるのかしら?
一方でこの話の主役である国王の隣に座るシャーロット様は、自分の話にもかかわらず表情を1mmも動かさない。
どういう感情なのか読み取りづらいわね。
それより、王妃とウォルターは面白くなさそうな顔をしている。
一体どうしてかしら?
皇帝の話題の逸れた長い話が終わり、国王が王子のころから国王の右腕として仕えている、かっちりとした服装と髪型のエミール様という国王に仕える宰相が話を締めくくろうとした時だった。
「国王殿下、何も国の予算を盛大に使ってシャーロットの成人の儀を行う必要はないのではないかしら?」
王妃の発言にその場がどよめく。
皇位継承者一位の成人の儀は盛大に行うのが当然じゃないの?
おかしいと思うことはないと思うけど……。
なんで成人の儀をケチろうという発想になるのかしら?
「……なぜだ? シャーロットは皇位継承者一位の次期女帝だ。国の予算を惜しまなく使うのは当然だろう」
その通りだと思うわ。
「確かにシャーロットは王位継承者一位よ。でも見たところシャーロットは国のことにも自分のことにも興味がないようだし、自分の意志を意見したことがないじゃない。そんな人に大量のお金を使うことはないわ」
「私の考えに異論があるのか?」
国王の威圧的な言葉とオーラに、饒舌だった皇后は黙り込んだ。
さすが国を治める皇帝なだけあって、関係ない私でもビビってしまったわ。
国王が感情をあらわにした一方、シャーロット様は自分のことを話しているのに眉一つ動かさず、無表情のまま微動たりともしない。
女帝にふさわしくないと言われているのに全く動じていないのかしら?
「ゴホッ、シャーロットは皇位継承者一位なのだから、女帝にふさわしいのはシャーロットだ。そんなシャーロットの成人の儀は盛大に行うのは当然だ。ゴホッ、ゴホッ」
「しかしっ」
「それに、シャーロットは何も考えていないように見えるが、ゴホッ、実は国のことを思っているのは私が知っている。次期女帝になるべきなのはシャーロットだ。ゴホッ」
そのシャーロットは後に、女帝にふさわしくないということで処刑されるんですけどね。
でも、これは皇后陛下がなんと言おうと、シャーロット様の成人の儀は豪華なものになると見たわ。
皇后陛下は、シャーロット様が次期女王になるのが気に食わないみたいだけど。
そんなこんなで宰相のエミール様が素早くこの場を締めくくると、王族から順番に私たちも大広間から出て行った。
大広間から出て行った後、レオンに連れられシャーロット様の住居である別邸に入り、しばらく広い廊下をしばらく歩いた先に、私の作業部屋が用意されていて、アンが部屋の端に立って待っていた。
さすが成人の儀のドレスを作るためというべきか、普通の貴族が使うような部屋よりもずっと立派ね。
それだけ重要な仕事を任されたってことよね。
部屋の真ん中に置かれた大きな机の上には、服作りに必要なものがほぼ揃っているし、準備はバッチリって感じ。
でも、私には【洋裁神具】があるから必要ないけどね。
部屋に一歩足を踏み入れると、レオンが手のひらに収まる程度の袋を手渡してきた。
どうやらドレスを作る為の資金のようね。
それにしても、いくらシャーロット様が決めたこととはいえ、盛大な成人の儀にふさわしいドレスを作るにしてはずいぶん安い気がするけど……。
ところで、服を作るにあたって王族の着るドレスはどのような作りで、どんな生地を使っているのか、手に取って確認するためにも王族の着るドレスを見たほうがいいわね。
レオンに、王族の人が着るドレスを見せてほしいと頼んだところ、快く引き受けてくれた。
レオンについて行くと、たくさんの服が大きなクローゼットに収納されている衣装部屋にたどり着いた。
クローゼットをレオンが開けると、そこには目が眩むほどの派手な色合いで、輝く魔法石が散りばめられたドレスがたくさんかかっていた。
ずいぶんと豪勢で華やかだけど、身に着けるとしたら動きづらそうだし、重そうね。
貴族や王族は、平民の着る黒と白一色の単純な服とは違い、派手な色で動きづらく、着ることに手間のかかるドレスを着るのが常識。
しかもこのたくさんのドレスたちには、どれも柔らかく、細かい粒子がキラキラと光っていて、どんな服でも使える万能の色付きのパティーニ生地が使われているようね。
色付きのパティ―ニ生地は高級品で、王族や上流貴族のドレスに使われるか、貴族が特別な時にしか着ない高級品。
しかも、このドレスたちは普段義で、一度着たら捨ててしまうとか。
ちなみに、これは洋裁師の中では常識なのだが、王族や貴族は白の黒の服は平民を連想させるので、派手な色合いのドレスを着るの。
改めて思うけど、この世界の服は階級によって生地、豪華さがまるで違う上、一貫性がないのよね。
このクローゼットの中のドレスを見て思ったけど、どのドレスにもフリルやレース、魔法石がたくさん使われているわ。
これだけフリルやレースを使えば派手になるし、魔法石をこんなに散りばめたら重いに決まっているわよ。
床に這いつくばったり、ドレスに顔を近づけたりして、隅々まで眺めてメモを取っている私を見ても笑顔のままのレオンが、実際に着てみないか提案してくれた。
確かにドレスを着た人の気持ちや、着心地を知るには実際に着るのが一番よね。
言葉に甘えさせてもらいましょう。
でも、皇女が着るものを着ても大丈夫なのかしら?
「本当に着てもいいの? これはシャーロット様のものなのでしょう?」
「着るにしては流行遅れで、捨てるつもりのドレスなので構わないですよ」
そういうことならせっかくなので、言葉に甘えちゃおう。
王族が着るドレスはまず、ドレスを着る前に下着の上からリネンに近いと思われる衿の
広いレースやフリルが施された肌着を着る。
シンプルな肌着が一般的な貴族とは違い、レースとフリルが施されている肌着は、さすが
王族と言った感じね。
服をなびかせながら鏡を見ていると、数人のメイドが私を囲む。
メイドは私に机に腕をつくよう指示すると、コルセットらしきものを持ってきて、数人
がかりでコルセットを装着すると、恰幅のいいメイドが勢いよく締め上げる。
この、口から内臓が飛び出そうな感じ懐かしいわねっ。
私も自分で服を作る前はこうやって地獄の工程を繰り返していたわっ。
ウエストが命に関わりそうなほど細くなってきた!
そろそろいいんじゃないっ?!
久しぶりのコルセットにお腹の圧迫が半端なくて思うように息ができない中、メイドが
針金を輪状にして重ねた大きな骨組みのクリノリンを持ってきた。
針金を使ってあるだけあってかなり重いから、とてもリラックスできる感じはしないな。
クリノリンの上からペチコートと呼ばれるスカートとよく似たスカートを着ると、これ
でようやくドレスの登場だ。
ドレスのスカート部分を着た後、ドレスの上半身となる袖付きガウンを羽織って、ピン
でとめればようやく完成!
それにしても、見た目通り重くて動きづらいけど、王族や皇族はこれを着るのが常識なの
よね。
皇族のドレスがどういう物か十分わかったから、早く脱ぎたいわっ。
ドレスを作るとしたら、少しでも楽なほうがいいよね。
コルセットなしのドレスを作ることも視野に入れるのもいいかもしれないけど、王族や
皇族の伝統や常識を変えてもいいのかしら?
ドレスを脱いだ後、レオンに聞いてみると、あの堅苦しいドレスは皇族の伝統のものなの
で、ドレスのデザインや装飾は自由にしていいものの、基礎は変えないでほしいとのことだ
った。
でも今はそんなことより、ドレスを脱いだ解放感に感動している。
感動が落ち着き平常心に戻った頃、レオンからクリノリンやコルセットなど、ドレス以外の物は王宮で用意するので、自由に手を加えてもいいとのことだった。
ドレスの特徴や生地はドレスを隅々まで見てわかった。
服作りは【洋裁神具】があるから、私の今までのやり方より時間はかからないことはわかっている。
だからデザイン画に時間を使って、納得のいくものを作りましょう。
デザイン画を描く参考として、クローゼットの中の服を一通り見て、いろんなドレスのデザインを頭に詰め込むと、レオンと一緒に部屋を後にした。
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