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21話 修繕

 翌日、私の部屋で早速フィオナから預かった、フィオナのお母さんのボロボロのウエディングドレスをフィオナの体に合わせて作り直すことにした。

 このドレスは妊婦さん用のウエディングドレス。

 マリンの体に合うように作り直すことはできると思うけど、問題は別にある。

 それは黄色いシミや長年の汚れがひどくて、着るにはあまりにもみっともない、ということ。

 服の修繕は、美の女神の力と裁縫の基本を使えば、何の問題もなくできると思う。

 ただこの黄ばみとシミ、長年の汚れは、いくら私の作った洗濯洗剤で落ちるとは断言できない。

 でもやれることはやれるだけやってみましょう。




『フィオナさんが修繕の依頼をした服は、貴族が着る【バッスルスタイル】というウエディングドレス。

 このドレスのデザインは、肘丈の袖に薄いレースを寄せた多重のフリルがついている真っ白のドレスで、コルセットやストマッカーに魔法石が施されています。

 傷は一つもないとはいえ、この黄ばみと長年の汚れ、シミが問題です。

 普通に考えたら、洗濯洗剤でここまでの汚れはどうにもならないでしょう。

 生地にダメージを与える可能性もありますけど、一か八か洗うだけ洗ってみましょう』


 洗濯洗剤をぬるま湯に溶かし、ドレスをぬるま湯につけて手洗いすると、みるみる汚れが落ちていく。

 数分後にはぬるま湯が真っ黒になり、ワンピースは新品のように真っ白になった。


 すごい、すごい!

 ただの洗濯洗剤でこんなにきれいになるなんて!

 汚れも落ちたし、時間はあるんだから自然乾燥で乾かしましょう。


 服が乾くまでの間、アンにお茶とお菓子を用意してもらって休憩しながら服が乾くのを待つ。

 お菓子を食べ終わった後、宿題に悪戦苦闘している内に服が乾いたので、宿題を途中にして服の修繕に戻る。

 服の修繕をする前に、火魔法を使えるアンに熱くなった手で、服を撫でてもらってしわを伸ばしてアイロンがけしてもらった。


 協力してもらったおかげで準備は整ったし、さっそく作業に取り掛かろう。



『まずは採寸した数字通りに作らないといけないけど、この2つは妊婦さん用なので、フィオナの体に合うようコルセットとストマッカーを作り直す作業です。

 コルセットは形状を維持するために、鯨髭でできたボーンを使われていて固いので、【洋裁神具】の『はさみ』で切りましょう。

【洋裁神具】の『はさみ』にかかれば、どんなものでも簡単に切れるはずです』



 そ、そうなの、やってみるわ。


 布を切るように簡単に切れた。

 洋裁神具は固いものまで簡単に切れるのね。

 マリンの体に合うようにコルセットを切断し、『千枚通し』をイメージすると手に千枚通しが現れるので、コルセットを締める紐を通す穴をあける。

 この『千枚通し』も、豆腐につまようじを刺す様に穴をあけられたし、ストマッカーもコルセット同様『はさみ』で大きさを変えられた。

 コルセットとストマッカーの大きさを調整する時に出た、切れ端に付いた魔法石がもったいなかったので、生地から魔法石を取り外し、フィオナの体に合ったコルセットとストマッカーに取り付け、完成。



 次にドレスだけど、修繕をするためにドレス生地を傷めないよう、ピンセットを使って使い糸を1本ずつ抜いていく。

 私が【洋裁神具】の『ピンセット』を持つと、ピンセットで掴んだ糸が一瞬のうちに全部抜けていった。

 後は使えそうなところを使って、元の服を再現するように縫い合わせるだけ。

 【洋裁神具】を使っただけあって作業は30分もせずに終わり、白いバッスルドレスは粗末だった影はない新品のドレスのような仕上がりで完成した。



「よしっ、これで終わりーっ。『フルモル』で『ぜんざい』でも食べてこよーっと!」

「オルガお嬢様、その前に途中の宿題を終わらせてください」

「えーーっ!」



 アンに言われるがまま途中の宿題に手を付けたけど、結局宿題に時間がかかり、『フルモス』の『ぜんざい』はお預けになった。



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