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17話 商人ギルド

 休日になり商人ギルドに行く日。


 商人ギルドに行った後の寄り道が楽しみだった私は、新たに作ったコルセットもバッスルも使わないドレスを着てきた。

 だけど、楽しみにしていたと思われたら癪だから、派手過ぎず、シンプルめのドレス。

 コルセットもバッスルも使っていないからほかのドレスに比べたら目立ってしまうけど、気合が入っているようには見えないはず。

 リュウには言っていなかったけど、アンも一緒に連れていくつもりだから、多少立派な服を着てもリュウと恋人同士に間違われることもないでしょう。

 そろそろ時間だし、アンを連れて門の前に行くとしますか。


 アンに前日に商人ギルドのある街に行くからついてきてほしいというと、アンは体を跳ね上がらせて喜んでいた。

 それはもうたわわに実った胸が激しく揺れても気にしないほど。

 目に毒だわ。


 アンが私と街まで出かけることを、屋敷のメイドたちに自慢したようで、ブロッサムの花のブローチをつけたメイドたちは、「アンだけオルガお嬢様と一緒にお出かけなんてずるいです!」と、私と一緒に出掛けたいという使用人たちが学園までやって来たわ。

 事情を説明するとしぶしぶ承諾してくれて、騒ぎは収まったけど、アンはしばらく浮かれて仕事どころじゃなかったようね。


 そして当日になり、門の前までアンと一緒に向かうと、門の前にはすでにリュウが立っていた。

 リュウはいつものブカブカでほつれた服とは違い、しわ1つなく、体にぴったりと合った平民が着る割には立派な服を着ていた。


 やっぱり街に出かけるのが楽しみで一張羅を着てきたようね。

 私だけじゃなくてよかったぁっ!

 私がリュウに歩み寄ると、後ろに立っていたアンと門の前に立っているリュウは、なぜだか驚いている様子で固まったまま動かない。

 一体どうしたのかしら?



「オ、オルガ、その後ろの人は?」

「それはこちらのセリフです。商人ギルドに行くのは私とオルガお嬢様の二人きりではないのですか……?」

「ああ、言い忘れていたわね。商人ギルドに行くにあたってリュウと先生のほかに、荷物持ちとして私の側近のアンも連れてきたの。お出かけは人数が多いほうが楽しいでしょ?」



 リュウとアンは、なぜかわかりやすく肩を落として落ち込んでいる。

 私、何か落ち込むようなことをしたかしら?


 落ち込んでいたと思いきや、今度はアンとリュウは睨み合っていて、2人の感情が本当に分からない。


 すると、私たちがいる門の前に、なぜか騎士団の制服を着たアレックスもやって来た。

 今日は騎士団の稽古じゃないのかしら?



「アレックス、一体どうしたの?」

「オルガとリュウが2人で商人ギルドに行くと聞いたから、護衛に立候補したんですよ。学園長からも許可をもらったので同行させてもらいます」

「へぇー、そうなの。そうとなれば護衛は任せたわよ、アレックス!」

「ええ、命に代えてもオルガを守ります」

「邪魔者が次から次へとやって来る……っ」

「それはこちらのセリフです」



 3人とも初対面なのに仲良くやっているわね。


 アレックスの登場は予想外だったけど、初対面で気まずい空気にならないか心配したけど、その心配は必要ないようね。

 それはそうと、いくら待っても先生が来ないわね。



「先生が遅いけどどうかしたのかしら? 誰か何か聞いている?」

「ああ、先生なら急用ができたから3人で商人ギルドに行って商品登録の手続きをしてくるように、ですって」

「そういうことなら、せっかくオルガとデー……お出かけできるはずだったのに……」

「残念なのは私も同じですよ」

「それはそれは、残念でしたね」

「? まあ、そういうことなら出発するとしますか。馬車は私のほうで手配しておいたからじきに来るはずよ」



 そう言った瞬間、私が手配しておいた馬車がやって来た。

 私の隣の席にだれが座るかで3人は揉めていたけど、アンがじゃんけんで勝ったことで、私の隣にはアンが座ると、アンは私にべったりとくっついてくる。

 ちょっと暑いから離れてほしいわね……。


 それにしてもリュウとアレックスから熱い視線を感じるわ。

 景色がよく見えるからよっぽどアンの席に座りたかったのね。

 馬車に乗った私たちは、さっそく商人ギルドのある皇都の街まで向かった。




 馬車に揺られて30分ほどが経つと、商人ギルドの建物の目の前までやって来た。

 商人ギルドの建物はとても立派で他の建物の3倍はありそうね。

 それだけ力を持っているということかしら。


 馬車を降りて商人ギルドに入り、1番優しそうで、茶髪に青い目をしたすごい美人の受付嬢の前に行き、学園長の名前を言うと受付の奥にある個室まで案内された。


 私とリュウは椅子に座り、アレックスとアンは私とリュウの後ろで立って個室で待っていると、眼鏡をかけた中年の商人ギルドのギルド長と、さっきのすごい美人の受付嬢がやって来て、ギルド長自ら商品登録の手続きの説明をしてくれた。




・商人ギルドは国を超えた組織である。

・商人ギルドには5つのランクがある。

 アイアンランク → 行商人、屋台 (店舗なしで商売する者)

 ブロンズランク → 個人商店   (町の肉屋や八百屋などの個人商店)

 シルバーランク → 小規模商会  (町ではそこそこ大きな商会)

 ゴールドランク → 中規模商会  (街でいくつかの支店を持つ大きな商会)

 ミスリルランク → 大規模商会  (国で多数の支店を持つかなり大きな商会)

・ランクにより登録金、年会費が違う。

・税金は年会費に含まれている。


 アイアンランク → 登録金銀貨5枚  → 年会費金貨2枚

 ブロンズランク → 登録金金貨1枚  → 年会費金貨5枚

 シルバーランク → 登録金金貨2枚  → 年会費金貨9枚

 ゴールドランク → 登録金金貨6枚  → 店の規模に応じた金額

 ミスリルランク → 登録金金貨10枚 → 店の規模に応じた金額


・年会費は入会日から1年以内に払うこと。

・会員資格を更新した場合、商人ギルドで手続きをしなくても自動的にギルドカードに更新される。年会費が未払いの場合は更新されない。

・各ランクのギルドカードを紛失した場合、再発行の手数料はランクによって異なる。

・魔法や魔力、魔石や魔道具を使った商品や商売はギルドに申請が必要。

・自分が作り出した商品の特許を取ることも可能。ただし、ギルドと資格を持つ者に特許料を取る。

・特許が出ている商品は、ギルドと特許の資格を持っている者にお金を出すことによって、初めて売ることができる。

・商品登録する際は、必ず商人ギルドに入会しなくてはならない。

・違法な商取引や、規約違反をした場合は商人ギルドから除名処分となる場合がある。

・最初はブロンズランクで登録して徐々にランクを上げる方法も可能である。

・困ったことがあればいつでも相談、対応をさせてもらいます。



 何度も同じことを説明しているとはいえ、適切な説明を丁寧かつ流暢にしゃべるわね。

 これがプロなのね。


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