脳の損傷による幻覚、幻想(眠らされる)
翌日、朝食の時間の後に何人かの患者が戻ってきた。
車椅子に乗っている人もいたが、その姿を見て驚いた。
人によって違う箇所だか手や足の一部の肌の色が違ったり、毛の濃さが違っていた。
左側に寝ていた義足だった男も戻って来て、右足を見せながら、
「義足とはおさらばだ。今はまだ違和感があるけど『リハビリをすれば違和感がなくなって来て、普通に歩ける様になる』と医者が言っていたから、大金は掛かったけど価値はあるだろう」と嬉しそうに言われ、
昨日の事を思い出して嫌な気分になったが「そうですね」と答えた。
「君も手術を受けるのだろう。
本物の体はい良いし、なにより自由に動かせるっていいよな。
臓器なんかの移植をする人もいているようだけど、健康な体になれるのが1番だよな」
「そうですね。でも少し迷ってます」
「そうか、絶対にやった方がいいと思うぞ」
「あ、はい分かりました」
「早ければ明後日、ここでの患者専用のリハビリ病床に移るから、君も早く来いよ」と、笑顔で言われ、
「はい」と答え、苦笑いをした。
朝食はパンだったので少しは食べられたが、昼食には肉が出て来て、肉に臭い匂いがして気持ち悪くて食べられなかった。
何も食べずに食事を下げてもらって、暫くすると医者が来て、
「今夜も手術をするから松川さんも受けなさい。今夜受けないと次はいつになるか分からないから」
何も言わずに黙ったまま考えていると、
「本来だったら松川さんが想像出来ないほどの金額が手術に掛かるのと、この手術を待っている人が沢山いてるのだけど、特別にしてあげようと言っているのだから考える必要はない」と、きつく言われ、
「はい」と答えた。
「彼らを20時頃にここに入れて、松川さん達には22時に手術室に来てもらう事になるから」
「分かりました」
20時頃に昨日と同じ様に、数人の人達が入って来て手術室に向かって行き、それを見ながら複雑な気持ちになりながら恐怖を感じた。
22時前に看護師が迎えに来て、数人の人達と手術室に入った。
ベットに寝かされ1人ずつ麻酔の注射を打たれて行き、順番が来たが、昨日見たビデオと部屋の中の画像が頭の中に流れて「やっぱり止めときます。嫌だ」と言って起き上がり、1人の看護師がナースコールを押して、大勢の看護師が中に入って来て、無理やり押さえつけられ麻酔の注射を打たれ意識を失った。