脳の損傷による幻想、幻覚(人体実験)
物音がして目が覚めたが、昼なのか夜なのか分からなかった。
日本語ではないような話し声が聞こえて、手術着を着た肌の色が少し黒い男達がゆっくり前を通ながらこっちを向いて
「マネー、マネー、金、金」と、ニコニコしながら片言で言ってきて、首を傾げていると
「あなた達の病気治る。私達、金もらえる。家族幸せになる」と言って、笑顔で手術室に向かって行った。
何の事を話しているのだろうかと思っていると左側のカーテンが開いて、ベッドで横になっていた中年の男が
「あいつらは売られて、ここに来てるんだよ。騙されて連れて来られていて、本人達はその事は知らないけどな」と話かけて来て、
何が何だか分からずに「どう言う事ですか」と聞くと、
右足を指さし、
「俺は右足が義足だけど、今日あいつらから右足を貰う事になっているんだよ。
もちろん大金を払っての事だけどな。
ここに入院している奴らはみんが金持ちで、体の悪い所を、金の力で闇の移植をしに来ているんだよ」と言われ、
クローンの事を思い出し、ここの病院は大丈夫なのだろうかと考えていると、数人の看護師が来て押さえつけれ無理やり注射を打たれ、意識を失った。
目が覚めると主治医と数人の看護師がいて、主治医がいつもの笑顔を作りながら
「ここでは新しい治療法を研究をしながら、その技術を金持ちに提供しているのだよ。
例えば、歯の再生医療はほぼ完成しているが完全に完成させて世に広めると、コンビニよりも多い歯医者が要らなくなって潰れるだろう、だから完全には完成させずにいているのだよ。
医療以外の分野の自動運転なんかも同じだと思うよ、完全に完成させるとタクシーの運転手やバスの運転手などの運転を仕事にしている人達が要らなくなるだろう、世の中凄い技術を発明、開発しても反対派が多数で力があれば消し去る事が出来るから。
私達は発明、発見した凄い技術を有意義に使っているのだよ。
ここだけの話、君はある実験のオリジナルだから、特別に脳の影響で悪くなっている左足を直してあげるから、おとなしくしていて欲しいのと、この事は絶対に誰にも話さないで欲しい」と、微笑みながら聞かされ、
ここから逃げるのは無理だろうし、動きが悪くなっている左足が治るのだったら良いかなと思い「分かりました」と答えた。
「そうか、良かった」と頷き、
「松川さんには特別にどうゆう事をしているのかを見せてあげよう。
限られたスタッフしか知らない事だから他言は絶対にしないように」
「はい」
「それでは私について来て」と言われて、ついて行くと、ナースステーションの奥の部屋に行き画像を見せられた。
さっき前を通って行ったような人達が、だだっ広い手術室の様な所で、1人1人ベッドで裸で縛られ両手両足も個々に拘束されていた。
すこししてから天井や両側の壁から霧状の白い煙が出て来て「あれは消毒液だよ」と、主治医が言うと、
防護服来た人達が数人部屋に入って行き、鉈の様な刃物を持って次々と両手足を切断して行った。
悶絶とうめき声を挙げている様子に気分が悪くなって目を背けていると、ニヤリと不信に笑みを浮かべながら、
「目隠しをすると目の消毒が出来ないし、麻酔を掛けない方が質の良い物が取れるから、少し可哀そうだけど。
クローン技術が発達すれば確実にその人間にあった部位を取れるのだけど」と話し、ドアの方に歩きながら「手術室の中を見せるから私に付いて来なさい」と、歩き出した。
手術室の中に入ると血だらけで異様な匂いがしていて、気分が悪くなり嘔吐しかけた。
手術室の奥に鉄の扉があって、そこを指で指し、
「あそこで手術をしているのだが、さすがにそれは見せられない」と言われて、部屋を出た。
気分が悪いままベッドに戻り横になったが匂いが頭の中に残って、血だらけになっていた部屋と手足を切られている画像が脳裏から離れず眠れなく、食事も取れなかった。