眠剤と整形外科
夕食を食べてテレビを見ていると、21時になって看護師が薬を配り始めた。
みんなに薬を配り、隣に座っている白石の薬を見ると緑や赤のカラフルな薬がビニールに入れられていて、思わず笑ってしまい
「スゲー毒々しい色の薬が入ってるな。俺の外来の主治医が『眠剤は体に悪いから、あんまり飲まんように』と言って、薬を少しずつ減らしてくれたけど、その量でその色の薬って大丈夫か」
「仕方ない、寝られへんのしんどいから。これだ飲んでも寝られへん、追加の頓服飲まな」
「主治医が『入院して環境が変わって寝られへん時とかは飲んでも良いけど、退院して普段の生活に戻ったら薬は減らしていかなあかん』って言ってたから、退院したら薬減らしていった方が良いと思うで」
「そうか、寝れうそうやったら減らすわ」
それを聞いていた向かいの席に座ってた坂口が
「俺もこれだけ飲んでる」と、ビニールに入ってる薬を見せてきて、それを見るとかなりの量の薬が入っていた。
「すげーな。これ、飲みすぎやろう」
「これだけ飲んでも早く目が覚めるんや」
「俺は寝れてるけど、むちゃくちゃキツイ薬やからな」と、白石が言ってきて
坂口と白石と川口が薬の名前やキツさを言いあいしはじめ、名前を覚えられないので適当に聞き流した。
翌日の朝食の後に「整形外科に呼ばれてます」と看護師にいわれて、そこに向かった。
名前を呼ばれ診察室に入ると、やんわりとした優しそうな医者がいて、右肩が上がらない事を伝えた。
肩の可動域と、どのあたりが痛むのかを聞かれた後「レントゲンを撮ります」と言われ、
レントゲンを撮ってから診察室に入り、医者に
「これは痛いでしょう、肩のここの骨に異常があります」
「はい、凄く痛くて肩が上がらなくて。五十肩と思ってたのですけど、違うのですか」
「50肩と言われている物なのですが、骨に異常があるのでこれ以上よくなる事はないです。
痛みを取るようにシップを出します。
痛み止めは精神科から出ているので、それを飲んで下さい」
凄くいたいのですけど、手術をしたら治るのでしょうか」
「とんでもない手術なんて、よけいに悪くなる。痛み止めの注射も打たん方がいい。
どうしても痛かったら打つけど、なるべく注射も打たん方がいい」
「分かりました。シップ張って、様子を見てみます。
それから以前に交通事故に会った時『左側のお尻の上の辺りが痛い』と言う事で、他の病院からの紹介でMRIをここで撮ったのですが、そこの病院で『異常がない』と言われて、他の病院で『仙腸関節に異常があるのでは、仙腸関節はレントゲンには映らないから』と言われたので、1度見てもらえないですか」
「分かりました」と言って、パソコンの画面を替えMRI画像を見せてもらいながら『異常はない』と丁寧に説明をしてくれ、診察を終えた。