障害年金と生活保護
「脳の難病が原因で高次脳機能障害と言う精神疾患になって、高次機能外来の病院に週に1度リハビリに行って良くなってきたから、
病気になる前に飲食店を経営していて病気が原因で店をやめたんやけど、また店を始めようと国金で金を借りる融資をして、融資が通ったから直ぐに不動産屋に電話をかけたら『昨日、別の人が物件を決めました』って言われて諦める事になって、
障害年金を月に6万ぐらいだけもらってるけど、それだけやったら貯金がどんどんなくなっていくから働こうと思って病院で相談してたら『障害者雇用で働ける』つて言われて、就労支援所に行く事にして、 ここの病院の前にある就労支援所の日々商事の100均で売ってる総菜なんかを作る所に行って、市役所の中にあるオアシスって言う食堂で働くことになったんやけど、そこでパワハラにあって医者から「うつ病」と言われ、ここの病院に入院することになったんや」
「そうなんや、いろいろ大変やったんやな。ここに入院してる人にはいろんな人がいてるからな」
「坂口さんは、何でここに来たん」
「道に迷って何処にいてるか分からん様になるんや。いつも行ってる家から歩いて10分ぐらいの病院に行こうと家を出て、20分ぐらい経っても病院に付けへんと予約時間が来て病院に電話を掛けたり、家の近くやのに何処か分からんようになるんや」
「それ、分かりますわ。俺も手術後リハビリして退院して直ぐの頃、よく何処にいてるか分からん様になったから」
「そうか(笑)。前にここに入院した時は夜寝てるときに家の壁を叩いて、隣の部屋の人から苦情を言われて、謝って。記憶がなかったから入院する事になって、ここのA3の個室に1日だけ入れられて、寝てる時に暴れてなったからB5に移された事があった」
「そんな事があるんですね」
「今はないけど、道に迷うから病院の近くを歩いて戻ってこれるようにしなあかんから、外出届を出して少しずつ練習をしてるんや」
「俺は今は迷うことはないけど、大変やね。そんなに外出は出来るん」
「ここの病棟は出来るで」
テレビの正面に座っている30代ぐらいの男に
「川口君も、しょつちゅう外出、外泊してるやんな」
「子供が生まれたばかりやから」と、嬉しそうに微笑んだ。
「写真はないんか」
「ありますよ」と、ケータイを取り出して写真見せてくれ
「早く退院したいんですよ」
「そうなんや。何で入院してるんや」
「中学を卒業して土木関係の仕事を転々としていて、解体屋を辞めて仕事を探しにハローワークに行ったときに『君、ちょっと変わってるから精神科に行って見てもらったほうがいいかもな』って言われて、
病院に行ったら『知的と精神の障害がある』って言われて、仕事がなかなか見つからんかったから生活保護を貰う事にして、保護をもらいながらA型雇用で働くことにして、そこで出会った子と付き合いはじめて子供が出来て結婚しました」
「そうか、凄いな。川口君か、何歳や。嫁の年は」
「38歳7で嫁は23歳です」
「えらい年離れてるやん。可愛いのか」と笑いながら聞くと、
照れ笑いしながらスマホから写真を見せてくれ、可愛かったので少し茶化した。
「今は仕事は」
「俺も嫁もA型雇用で働きながら生活保護を貰ってます」
「働いてたら生活保護費、減らされるんやろう」
「そうなんですよ。ほとんど保護費は貰ってないです」
「そうなんや。生活保護は貰わんでも良い奴が貰ってたり、貰いながら陰で働いてる奴らもいてるらしいからな」
「しかたないですよ。それよりも子供が可愛くて、しょっちゅう会いに行ってます。
早く退院したいです」
「そうか、早く退院出来たらいいな」
「はい」
「所で生活保護の人は、入院費ってどうなってるん」
「生活保護やったら1ヶ月は入院費は掛からないです」
「そうなんや。身体の1級、2級の手帳、精神の1級なんかの手帳を持ってたら医療費の通院は1回500円、月の上限が3000円、入院も3000円になるんやけど、
ここの病院は別に部屋代として1日550円、食事代が1食460円かかる。収入が低い人は食費が1食210円になるんや、部屋代は係るけど」
「そうなんですか」
「障害者手帳は持ってるんやろう」
「はい」
「何級なんや、手帳の等級によって違いはあるけど障害年金を貰えるやろう。
市内に住んでたら、精神の2級以上やったら地下鉄タダになるやろう」
「はい。市内に住んでるから地下鉄はタダです」
「そうか、いいな。俺は市内ちゃうからタダにならへん。
身体の手帳と精神の手帳でも待遇が違いすぎるしな。
身体の手帳やったら電車やバスなんかでタダになったり半額になったらするとこがあるけど、精神の手帳やったらタダや半額にならへん所があるからな。
生活保護の金額も住んでる場所によって違うしな、俺は障害年金やから大した金額貰われへんけど。
坂口さんは年金貰ってるん」
「障害年金って何」
「年金を払ってたら、国民年金と社会保険年金の違いはあるけど障害の等級によって障害年金が貰えるんやよ」
「そうなんや、初めて知った」
「生活保護を貰ってたら、保護費と別に少しの年金が貰えるらしい、
俺は生活保護は貰ってなくて障害年金だけやから安いけど」
「そうか、俺でも貰えるんかな」
「いくらの金額は分かれへんけど、ある程度の金額を稼いでたら障害年金は貰われへんみたいやけど」
「いくらぐらい」
「ハッキリした金額は知らんけど、3,40万ぐらいと違うか」
「なんやそれ、それくらいの金やったら稼いでるわ」
「そうなんや。ハッキリした金額は解らへんから調べてみたら」
「めんどくさいな」