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第2話 クロスレッグ王国破滅へ

 元パーティーと父上と国王陛下の三人はSランクダンジョンから帰還するべく談笑しながら来た道を歩いていた。


「さあて、あの野郎が居なくなってせいせいしたぜ。」


「ああ、毎回口うるさく武器を大事にしろだの魔力の管理をしろだのウザかったからな。」


「フン、やはりか我が息子にむかって口答えしておったとは。 国外追放して正解じゃな、明日になればようやく隣国の“セレナ姫”と我が息子レイドの結婚式を開くのだ。 あの様な輩が目に入るだけでも気分が悪いわ!!」


「申し訳ございません国王陛下、全ては私の責任です。」


「良い良い、そなたは何も悪くない。 悪いのは【剣聖】のギフトも授かれんあ奴にあるのだからな。」


「む、どうした? 足を止めて?」


「敵だな……」


「レイド、お前も感じるか?」


「ああ、さっき倒したモンスターと全く同じ奴だ。」


 レイド達の帰路に先程のゴーレムが立ちはだかり行く手を阻む。


「心配入りませんよ国王陛下、お二人共疲労しているなら私が加勢致しましょう。」


「うむ。」


「必要ねえよ、オジサンは父上を守るのに専念してくれよ。」


「オレの魔法で弱体化させて脆くしてやるぜ! “メルトダウン”!!」


 ロアの杖先が光ったかと思えば直ぐに暗くなり何も起こらなかった。


「あ、あれ? おかしい、レイド待て!! まだ攻撃すん……」


「うし、喰らいな!!」


 レイドはゴーレムに斬りかかると剣はポッキリと折れてしまい飛んだ刃が地面に当たり跳ねるとアレスの元父上の頬をズバアッと切り裂く。


「ぐあああああ!? 血ぃ……血だああああああああ!! 嫌だ……痛いのは嫌だああああああああ!!」


「バロス! 何処へ行く気だ!? ワシを守らんかおい!!」


 アレスの父上“バロス・ラインハルト”生涯一度も怪我をした事が無く、この度始めての傷を負った事で死の恐怖に支配され国王陛下よりも自身の命を優先するためゴーレムの横を通り過ぎダンジョンから脱出に成功し自身の屋敷に籠もる事になるが、国内で起きている災害に直面することになる。


「あの馬鹿が! 息子共々ワシをからかっておるのか!?」


「こ、国王陛下落ち着いてください!」


「ふん、あ奴は後で極刑じゃな。」


「ロア! 何してんだ、弱体化してないじゃないか!?」


「それがおかしいんだよ! いつもなら直ぐに全回復する魔力が切れてんだよ!!」


「なんだと!? まさか剣に付与した効果も切れてるのか!?」


「ま、間違いなく切れてる!?」


「クソが! あいつの仕業か、何しやがった!?」


「レイド避けろ!!」


「あ?」


 魔力切れのロアはゴーレムの動きを見てよそ見しているレイドに拳が振り下ろされるのを叫び命令するが間に合わず頭にもろにゲンコツを喰らう。


「いでええええええええええええ!!」


「レイド!!」


「大丈夫か!?」


「大丈夫な訳あるか! 頭割れるかと思ったぞ!!」


「お、おい! あのモンスター次に何する気じゃ!?」


 ゴーレムは腕を腰まで下げるとダンジョンの洞窟内の天井へとアッパーを繰り出し殴りつけると割れた岩が雨の様に国王陛下と元パーティーに降り注ぎ逃げられない痛みが全身を襲う。


「こ、こうなってしまっては仕方ありません逃げましょう!!」


「そうだな、そうしようか。 ロア、あれをやれ。」


「そうするしかないな、神父は他にも居るし代わりは幾らでも居る!」


「な、何をする気ですか!? や、やめてください!!」


 元パーティーは懐から黒いボトルを取り出し、その中身を神父にかけると国王陛下と共に逃げ出す。


「じゃあな、オレ達さえ逃げ延びれば国は安泰だ。」


「その礎としての功績を残せるのだ、ありがたく思え。」


「ま、待って! こんな事するのが王族なのか!?」


 レイドが神父にかけた液体は“ヘイトボトル”と言いモンスターに狙われやすくなる代物で神父がゴーレムに狙われている間にダンジョンから脱出する。


「あ……ああ……」

(許さない……あんな国……滅んでしまえば良い!!)


 ゴーレムは狙いを完全に神父に変え、その両手を振り上げるとそのまま勢いよく振り下ろす。


 そして、神父を見殺しにした元パーティーと国王陛下は国へ帰ることが出来た一方、違和感に気付く。


「はぁはぁ、酷い目に合ったぜ。」


「ああ、しかし暗いな? いつもは何処かしら灯りが付いてる筈なんだがな。」


「そのような事はどうでも良い、城に戻り風呂にでも入りたい気分じゃわい。」


 元パーティーと国王陛下は城へと帰り、城内の灯りすら付いて居らず兵士や使用人が一人も居ないことを不思議に思いながらも電気を付けようとスイッチを押すが反応しない。


「一体何が起こっておるのだ!? 今まで使えてた魔導具が使えなくなっておるぞ?」


「ま、不味いぞこれ……」


「どうしたロア? 何か原因分かるのか!?」


「居ないんだ……」


「居ない? 何がだ?」


「【小精霊】だよ! 魔導具を動かすのに必要な小精霊が目を凝らしても何処にも見当たらないんだよ!!」


「それって、何か不味いのか?」


「不味いに決まってるだろ!! モンスターが村や街の中に入れないのは小精霊が土地に住んでくれてるおかげだ!! それが居なくなったってことはだ、この国はモンスターの通り場になるってことなんだよ!!」


「なんと!? それはまことか!!」


「嘘付く意味なんて無いだろ! やべえよ、何処か安全な場所へ逃げないと!!」


 信託の儀にて国へと配信されていた映像は小精霊達も見ており、アレスは小精霊達の為に国内に自然エネルギー“マナ”を発生させる魔導具を作り更に人々の生活を支える魔導具、冷蔵庫やコンロ、蛍光灯など永久的に使用可能なインフラ設備などを作っていたのだが、アレスを国外追放した国王陛下の横暴に怒った小精霊達はクロスレッグ王国から一体残らず出て行ったのだ。

 そのせいで今まで使えていた魔導具が全て使えなくなった国民も街にモンスターが入って来る事を恐れ隣国へと逃げ出したのである。

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