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プロローグ
検問官になって丸三年を迎えた今日。
暖かな日差しを浴びながら、いつもより軽い足取りで出社している。
なんてったって胸元には退職届がある。
そう、今日これを出せば俺の退職日が決まるのだ。
新卒で共に入社した同期たちは、俺以外既に辞めていった。
それぐらい人気のない業種なのだ。
捉えようによっては面白いと感じられるのかもしれないが、普通だったら怖くて続けられない。
検問官であるはずなのに、いつ命を落としてもおかしくない環境なのだ。
そんな環境で三年も務められたのは俺がおかしいから、というわけではなく給料がいいから吐きながら務めたのだ。
目標金額も貯まったことだし、あとは引き継ぎをして退職するのみ。
さ、今日はどんな転生者が現れるかな。
……退職を前に死ななければいいけど。