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カンナ&ゆうな  作者: Toy
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vol.3

僕にはトラウマがある。

それはズバリ、女の子だ・・・。


僕には幼馴染のコがいた。

幼稚園のときから気がつけば身近にいた女の子。

幼稚園に行くときも、遠足に行くときも、遊ぶときも、いつも手をつないでいた。

小学校に入ってからもその関係は変わらなかった。

幼ごころとは言え、お互いの両親に結婚することを誓い合っていたほどの仲だった。

女の子を女の子と意識し始めた頃、ふたりの関係はいつしか色合いが違ってきた。

というよりも、僕たちは何とも思っていなかったけれど、まわりは放っておいてくれない。

かっこうの餌食となり、いつも冷やかされていたものだ。

でも、それでもふたりの関係は固い長年の絆で崩れることなく、

僕よりも幼馴染の彼女の方がへっちゃらに見えた。

高学年にもなれば、前ほどべったりと手をつなぐようなことはなかったが、

事あればそれを楽しむように、彼女の方からみんなにこれ見よがしに

手をつないだりしてきた。

僕はといえば、恥ずかしくもあり、うれしくもあり・・・。


そんなこんなの5年生の夏休みが終わって2学期が始まった日、事件が起こった。

同じクラスであった僕と彼女、希望を出すと同じ係に、ジャンケンをすれば同じ当番に。

そのたびにクラスの男子から冷やかされ、いかの僕でも男ごころとして居たたまれなくなってきていた。

それでも彼女は何事もない様子で、運動会のフォークダンスの練習でも、

僕とだけはぴったりと手をつないできた。

当然、異性を毛嫌いしたくなる年頃だから、フォークダンスなんてなると、

男子と女子はお互い恥ずかしくて、手をちょんと触れる程度のもの。

その中で、僕たちがペアになったときだけ、彼女は僕の手をしっかりギュっと握り、

リードしてくれる。

みんなの注目の的120%・・・。

彼女にとってはそれが内心うれしいのが僕には手に取ってよくわかり、

そのベクトルは真逆に僕は恥ずかしくて顔を地面に向けたままだった。


最後のダメ押しがこの後起こる。

くじ引きで席替え、なんと二回連続、彼女と横になっちゃったから、もうおしまい。

こころとは裏腹に、まわりの男子の手前、デカい声で言っちまった。

『また、お前とかよぉ』

しまった!と思ったときはもう遅かった。

見つめ合う彼女の目から一瞬の潮が引いていくのがわかった。

彼女との間にわずかであったが、埋められない溝ができたのはその時からだ。

臆病な僕は謝りもしなかったし、彼女にもそれまでとは取り立てて目立った変化は

なかった。

それでも広がる亀裂・・・修復不可能。

話しはするけれど、その度ごとにふたりの距離は離れていく気がしたし、

何より彼女から手をつないでくるようなことはなくなった。

そう言えば、僕の方が手をつないだりしなかったよなあ。

あんなに好きで好きでたまらなかったのに・・・。

6年になればクラスも別れ、やがて彼女は卒業後、私学の中学校に行っちゃった。


それ以来、ぼくのトラウマは、そう~お・ん・な・の・こ~ となった。

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