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カンナ&ゆうな  作者: Toy
12/48

vol.13

ぼくだけの空間

・・大きな勘違い

ぼくは金縛りにあったかのように、その場を動くことができなかった。

むしろ、ここにあってはいけない存在、来てはいけない存在だったのかもしれない。

私有地だからというわけではなく、ぼくは見てはいけないものを見てしまった気がした。


僕が居てはいけない空間

そこにノックもせずに踏み入れてしまった。

立ち去れ・・消え去れ・・

けがれを持ち込むな。

お前の来るところではない。

見えない重圧が僕の内側からのしかかってくる。

なのに登る太陽の光が僕を地面に釘付けにして、足が前にも後ろに動かない。

逃げ切れない・・逃げるでない・・

外から響く寛容の声が僕を浄化していく。

かなた山ぎわを這い上がってくる太陽が僕の眼底を覗き、呪文を唱える。

つけあがるな。お前など存在しない。受け入れろ。

心を静め、気を沈めたまえ。

そう・・そうだあ・・

考えるな・・感じればいい・・

何もなかったことを。

陽光の糸を引くようにして太陽が山ぎわを離れた瞬間、僕は時の束縛から放たれた。


今ならはっきり見える

彼女だけの空間

朝陽に光る彼女の黒髪がそよ風に微かにたなびき、大樹の枝がそれに同調しなびく。

まるでそこから蜜柑の薫りが始まるかのように、寄せては消える微風の波が

僕の足元をさらった。

こっちにおいで・・

底知れぬ甘美な誘い

彼女はぼくの存在を知る由もない。

ぼくはここでは存在しない存在

乱したくない。このままぼくは立ち去ろう。

一歩、また一歩。光を正面に受けたまま後ずさり。

幕を下ろすように、その光景は足元から見えなくなっていく。

来た丘を下り太陽が見えなくなる直前、彼女がこちらを振り向く余韻を残して・・・

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