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PSVRのソフト増えろ、増えろ!

 まぁ、折角買ったのだし。

 本能に訴える不可避の恐怖を植え付けられた生徒会長は、我に協力的な態度を示した。

 随分と目立ってしまい、生徒共の視線を集めてしまったが誰も気にしていない。

 我も生徒会長も、注目を浴びる事には慣れている。疑問なのは小娘共だ。ナージャ? ナージャは生徒会長の背中で寝ておる。


「え? 注目を浴びる事に慣れてる? そりゃあね。私達これでもトレジャーハンターの業界で有名人だから」


「魔王からすれば簡単な事でも、海底深くにある遺跡に辿り着くだけでも大変な事なの。ついでに言うと、魔王の監視を任される程度には信用と実績があるの」


「お二人はトレジャーハンターだったんですか?」


「そだよ。まっ、今は魔王の監視役だけどね」


「莫大な報酬が貰えるって言われても、そもそもお金稼ぎでトレジャーハンターやってた訳じゃないから嬉しくないよ。どっちかって言うと好奇心を満たす為にトレジャーハンターしてたんだから」


「お二人はもう遺跡探索出来ないんですね……」


 そうでもないぞ。


 何やら勝手な思い込みで悲しんでいる生徒会長に補足を入れる。


 我を監視するのなら、そこらの孤島にでも放り込めば良い。わざわざ人の集まる学園に入れるという事は、相応に警戒された結果であろう。


「えーっと? 孤島じゃダメで、人の多い場所じゃなきゃいけない理由……? あ、そっか。私達の知識って基本的に古代文明のものだもんね。でもまだ知らない事もあるならこうなるのか」


 やはり生徒会長は伊達ではないようだ。

 一方、元気娘だけはよく分かっていないようで、首を傾げている。片割れ娘ははっきりとは分からないけれどなんとなく予想がついているようだ。


「ドユコト?」


「暗示、催眠、洗脳。簡単なものなら私達でも使えるけど、魔王は古代を生きた伝説的な存在だもの。定期的な報告義務が課されてる私達にその類いの術を掛けて、偽りの報告書を作らせて自分は好き勝手する。ってなると国としては発覚する事すら困難になるの」


「なので、人の集まる場所なら表と裏で監視できる。表の監視役と裏の監視役で、報告書に矛盾があれば上の人は逸速く異変に気付けますよね? 更に隔絶された場所なら都合が良い。この学園は様々な条件が揃っていて、絶好の軟禁場所なんです」


 そして、気付かず精神的な干渉をされているかもしれないと警戒されているのなら、年内か数年か。そう遠くない内に表と裏の監視役を交換するだろう。なんせ、我等は現代にとって未知数故な。


「うん。取り敢えずこいつ等の頭どうなってるんだろう……」


 その内またトレジャーハンターに戻れるのだと認識しておけ。それまで学園でのびのびして居れば良い。それだけの事だ。


「それはそれで体が鈍りそうだなー」


「一応、魔王さんは学園の生徒として扱うよう指示が出されているようですし、折角ですからお二人も授業を受けてみてはどうですか?」


「発掘された中途半端な知識よりも、古代を知ってる魔王に教えてもらう方が有意義そう。てのは言っちゃダメだね、ごめんね」


 もっともな事をうっかり口走り、慌てて生徒会長に謝る片割れ娘。否定できない生徒会長は困ったように笑いそれを許した。


「大丈夫ですよ。私も同じ事考えたので。でも体を動かす授業が有りますし、全部が全部無為という訳ではありませんから!」


 果たして授業のそれとトレジャーハンターとして訓練された小娘共。生徒と二人の練度の差は如何程なのか。

 三人の娘はその考えに至ったのか、曖昧な笑みを浮かべた。

 三人が学園の事や遺跡の話題で盛り上がっていると、ようやく学園長室に辿り着いた。立派な城を拵えただけあり、天辺に着くまで相応の時間が掛かってしまう。気の使えない学園長だ。


「では、あの、私が先に入って説明するので、ここで待っていて下さい」


 そう言って、手紙を持った生徒会長は、事前に連絡を入れていない我等に代わり学園長室へと入室して行った。


「正直、門番の件で学園長に良い思いが無い」


「少し考えれば分かりそうなものなのにね。それに、国からの連絡が来るよりも早く私達は到着してしまった。手紙があるって言っても、信じて貰えるかどうか……」


「封蝋も切っちゃってるしね。余り格のある印璽(いんじ)でもないし」


「あれが国王陛下にしか捺せないものなら疑いようなんてないんだけど」


「捺してあるのはトレジャーギルド、市長、でもって幾つかの貴族家。どれも偽造しようと思えば出来ちゃうものだもん」


「……魔王はどう思う?」


 成るように成れば良い。元より我は受け入れ準備は万端だぞ。どう転がろうが知った事ではない。

 この異界が崩壊の兆候を見せれば、ナージャを連れてさっさとここを去るまでの事故な。


「薄情だなー」


 少なくとも、我から行動を起こす事はないと知れ。


「……あれ? そういえばナージャちゃん、生徒会長の背中に乗せたままだった気が」


 …………。

「…………」

「…………」


 小娘共の制止の声が入る前に、我は学園長室の扉を蹴破り、中に突入した。

 そこでは壁を背にした生徒会長と、眠るナージャ。そして二人を取り囲むガーディアンが多数。

 扉から正面には、金の掛かっていそうな執務机にやたらと柔らかそうな椅子に座る初老の女が居た。

 初老の女が我を見ると、整えられた眉をしかめ、生ゴミでも見るような蔑みの視線を向けてくる。


「また『劣等種』……。この学園に、人間の出来損ないの居場所などありはしない。ガーディアン! 即刻そこのゴミ共を消し去りなさい」


 成る程、成る程。中々大した選民主義ではないか。感心した。死ぬが良い。


 一番近場に居た人形に飛び付き、異能を発動させる。

 血管の中に異物が入り込んだかの様な激痛が体中を駆け巡った。

 来る途中の放たれた魔術を取り込むのとは違い、今度は元である人形から根こそぎ奪った。我を苛む激痛は前回の比ではない。

 奥歯を噛み締めて激痛に耐え、次なる標的に飛び付いて同じ事を繰り返した。

 僅か数秒の内に倒れる人形が二体。奪い取った魔力は十分。


 貴様等の魔力、全て接収する!


 残った人形全てに【掌握】の魔術式を撃ち込んだ。

 自立型ガーディアンの対処法など、とうの昔に確立している。

 【掌握】により人形の操作権を奪取し、奴等が内包する魔力を全て凝縮させる。少しでも残せばそれを元手に魔力を生成されてしまう。残念な事に今回の【掌握】は持続型の術式ではなく、数時間で効果が切れてしまうのだ。

 凝縮させた魔力を結晶化させ表に顕現させれば、全ての人形は事切れた様に崩れ落ちる。残ったのは我の手にある結晶のみだ。


 うむ。全身が千切れるように痛い。


 無理をした代償は高くつき、未だに激痛が続いている。

 ナージャを護るように抱き締める生徒会長が安堵するように息を吐き、秒殺してしまったが故に呆けている者が一人。

 人形から奪った魔力の結晶が一つ足りないと思えば、元気娘と片割れ娘がガーディアンを一体破壊していた。

 【掌握】する前に破壊されてしまったが為に、内包されていた魔力は全て放出されてしまったようだ。

 有名人を自称するだけあり、実力はあるようだ。


「そんな……無敵のガーディアンが……」


 さて、成り行きとはいえ、これで話を聞く気になっただろう。

 ガチガチ選民思想なお人。

 両親や祖父母が人間至上主義な上に有角種排他的な宗教に所属している家庭で育ったお人。

 普通に優秀な人物だけど、有角種絶対殺すウーマンでもある。


 ……今度右寄りな主人公でも書いてみようかな。


 そしてクズ系のキャラ書き慣れてないからぎこちなさ過ぎぃ。

 後ついでに、格ゲー勝負に勝ちました。使うキャラ事前に教えられちゃ対策しますわな。

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