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83話白猫にフランとの馴れ初めを話する

「ワタル様、どうかフランシスカ様の事をよろしくお願い致しますにゃ」


 えっ!何か聞かれると思っていたが、まるで娘を見送るかのようにフランの事を頼まれた。不意討ちで何と反応したら良いのか迷ったが、ここは男らしく胸当たりで右腕を曲げ、胸を張る事にする。


「はい、フランの事はお任せください」


「それでにゃんですけど………フランシスカ様とワタル様の馴れ初めを聞きたいにゃ」


 妖艶で邪悪な微笑みをしながら、こちらに近寄って来る。本来の目的というか、こちらが本命のようだ。白猫は新しい玩具を見つけた子供のようにウキウキでハイテンションである。

 あの黒猫をぶっ飛ばした光景を見るにワタルより白猫の方が明らかな強者であり、この場から逃げる事は叶わぬだろう。


「わ、分かりました。は、話しますから落ち着いて下さい」


 仕方なく俺とフランの出会いから今日までの話をしてやった。もちろん、ベッド上の出来事は省いてだ。俺がフランの話をしてる最中、白猫からフランloveと証言したら良いのか?そんなハートのオーラを発してる。


「俺からも良いですか?白猫さんはフランと長いんですか?」


 本来なら魔王が一番偉い立場なのだろうが、何故かフランが白猫に頭があがらない感じに見えた。まるで………そう、白猫がフランの育ての親みたいな関係と言ったら、いろいろと納得してしまう。


「フランシスカ様とは、小さい頃から知ってますにゃ。前魔王様の忘れ形見、大事に育て素晴らしい魔王様………に育ったにゃ」


 少し間があった箇所が気になるが、推測通りフランの育ての親だったか。そうすると、白猫は一体何歳なんだ?

 そう考えてると、殺気よりは直感的に死の予感が全身に駆け巡る。まるで、心臓を鷲掴みされてるかのように動けない。


「にゃふふふふ、いけませんにゃ。女性の年齢を聞くのは、どの世界でも共通でタブーにゃ。そして、考える事も同罪にゃ」


 ニコニコと笑顔であるが、ワタルは体の震えが止まらない。改めておもった。これは逆らったらダメな部類だ。逆らったらあの世行き確定する。


「はひぃっ、し、失礼しました。もう考えません」


 超怖ぇぇぇぇ!もしかしたら、殺気だけで人一人殺せるんじゃないか?もう怖すぎて掌は汗ビッショリ掻いてるよ。

 絶対に逆らわないようにしよう。命がいくつあっても足りない。


「にゃら………後でじっくりしっぽりと………二人きりで………フランシスカ様とのアレやコレを聞きたいにゃ。これから仕事あるにゃ。また今度にゃ」


 白猫が出て行く際、ワタルの耳にフゥゥゥっと息を吹き掛け、走り去って行ってしまった。

 黒猫とは別の意味で、凄く妖艶で色っぽく感じた。おそらく、飴と鞭の使い方が絶妙に上手いのだろう。まぁ、人によっては鞭だけの時もありそうだが(黒猫とか黒猫とか黒猫とか)。



 ━━━魔王城のとある廊下━━━


「にゃふぅ、いけませんにゃ。危うく、ワタル様にトキメキを覚えてしまうところだったにゃ♪ですが、あれが完成すれば一緒について行けるにゃ」


 ウキウキ気分で廊下をスキップをする白猫をひっそりと隠れて覗き見する者がいる事に白猫はわざと気付かないフリをして、その場から去って行った。


「(魔王様がゾッコンの人間が来たというから来てみたら、白猫様がいるなんて………でも、もう安心わね)」


 白猫が完全にいなくなったのを確認すると、柱の影から人影が現れ抜き足差し足忍び足で音を立てないようワタルの部屋に近付く者がいた。


 ━━━ワタルの部屋━━━


「ん~~、こんなに広いと何か落ち着かないな」


「それなら、私と遊びましょうよ」


 ワタルしかいないはずの部屋から声が聞こえてきた。桜花ロウカは、いつの間にか白猫について行ったらしく留守でワタルは無防備な状態である。

 ここは魔王城という事もあって油断して気づくのが遅れた。武道家であるワタルにとっては、やってはいけない失態だ。


「だ、誰だ!」


「私?私は魔王様の幹部・七つの大罪の一人………色欲のアスモデウスよ。よろしくね、ワタルちゃん」


 そこに立っていたのは………頭に二本の角ある以外外見は普通の人間……… いや、城下町で見掛けた魔族と同じ女性だ。

 ただ、身に付けてる服装ていうか下着しか着けておらず目のやり場に困る。

 色欲と言っていたから、この女性にとっては何も間違っていないと思うが、服くらいは着てほしい。

 それに加え、女性の誰もが羨む身体でボンッキュッボンと出るとこは出ており、クビレがきちんと出来てる。道を歩いてれば、男は必ず振り向く美貌の持ち主だ。


「そのフランの幹部が俺に何のようだ?」


「へぇ~、魔王様の事そう呼べるのは、ほんの数人しかいないわよ。さっき言ったじゃない、遊びましょうって」


 妖艶な微笑みを浮かべながらワタルの隣へと座ってくるのである。

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