82話黒猫は白猫にお仕置きという名の制裁をくらう
多少、いつもより早く更新出来たようです。
正確には、フラン、ワタル、セツナの三人だけ何が起こったのか見えた。白猫が神速の如くの速度で黒猫の顔面に蹴りをくらわせたのである。フランは楽々、セツナはギリギリ、ワタルは桜花を装備中じゃないと避けられないだろう。
もし、夏希と遥が雷神風神と化してたなら、この二人にも見えたかもしれないし回避出来るかもしれない。
「ふぅ失礼、皆様方しばしお待ちを。姉様を躾………ゴホゴホ、失礼。姉様とお話してきますにゃ」
コクコクとみんなして頷く。
ねぇ、今躾って言ったよね。あの強烈なのを何発もくらわすのか。白猫は気絶してる黒猫の襟を掴み引き摺っていく。
その数分後、壁でも壊してると思える程の衝撃音と「にゃぁぁぁぁぁぁ」と黒猫の悲鳴が響き渡る。
ガクガクブルブル
「メイドさんって本当は怖いものなんだね」
ガクガクブルブル
「メイド喫茶ってあんなの夢物語だったんだ」
完璧に夏希と遥の二人は白猫というよりは、メイド自体に恐怖を覚えてしまったようだ。でも、この二人なら直ぐに打ち解けてしまうとワタルは思ってる。
「皆様、お待たせしました。お疲れでしょう。それぞれのお部屋へとご案内致しますにゃ。その前に………セツナ、私に何か言う事ありませんかにゃ?」
ギロッとセツナに白猫の鋭い視線が突き刺さる。常人ならあれだけで、殺せるのではないか?と思える程に鋭い。
黒猫は、まぁ自業自得だと思うがセツナは一体何をしたんだ。特に怒られる理由は………ワタルはふと一つだけ心当たりを思い出す、セツナと最初の出会いの事を。
セツナは最初フランを魔王城へと連れ戻しに来たのであったが、ワタルとの激闘の末、敗北しそのまま仲間として一緒に行動を共にする事になった訳で………本来の仕事を放棄してしまった事を白猫は怒ってるらしい。
「グリム様もグリム様ですが、セツナもセツナです。何故、直ぐに戻らなかったのですかにゃ?」
「それはその~………楽しそうだったからつい………テヘっ」
片目を閉じ舌をペロッと出して可愛いくポージングを決めるセツナ。それを見た白猫の眉間に血管が浮き出る。めっちゃ怒ってらっしゃる。
「皆様を待たせてますし、後で私の部屋まで来るにゃ」
「サー・イエッサー」
セツナ、何故軍隊式?まぁあの状況では分からなくもないが。むしろ、ドMなセツナにはご褒美じゃないか。
「次にフランシスカ様」
「は、はひ!何でしょうか!」
あのフランでさえも怯えるのか!怯えて普段の口調が変わってしまってる。絶対に白猫を怒らせないようにしよう。
「元々はフランシスカ様が勝手にいなくなった事から始まってるにゃ。フランシスカ様がちゃんとしていれば、この二人は躾………ゴホゴホ、失礼。犠牲………にゃなく、注意をしなくても良かったにゃ」
おい、躾よりも犠牲って酷くなってねぇか。マジで真面目に白猫さんを怒らせないようにしよう。マジで死んだ方がマシな思いするかもしれない。
「仕事がたくさん貯まってるにゃ。今から━━━」
「サー・イエッサー!今から仕事を片付け致します」
疾風の如くワタル達に目をくれずに走り去ってしまった。この場に呆然と立ち尽くすワタル達は各々一人ずつメイドか執事が付き、それぞれの部屋へと案内される。
ワタルに関しては白猫直接案内されるのである。あんな恐怖体験を目の当たりした直後では、案内される間どうしても無言になってしまう。
「ワタル様のお部屋はここになりますにゃ」
「あ、ありがとうございます」
部屋の中に入ると、そこには一人では広すぎる空間、天井にシャンデリア、ベッドやクローゼット等々広すぎる部屋の中、一ヶ所だけファンタジーには似合わない物が存在した。
それは、壁掛けになっているテレビであった。それもワタルが異世界ミレイヌに召喚されて以降に発売された最新型だ。本来ならここにある事前でおかしい代物である。
「退屈だと思いまして、最近急ぎで買い揃えましたにゃ。もちろん、日本でですにゃ。久々に行きましたが、やはり地球では日本が一番にゃ」
そんな手軽に異世界に行けるのかよ。それならフラン達を連れて観光がてら行きたいぜ。その旨を白猫に伝えたら、今は無理だと却下された。
「フランやセツナ、ルリなら今からでも可能にゃ。しかし、こちら側に第三者から召喚されたワタル様、夏希様、遥様は様々な難しい制約が働いてるのにゃ。これをクリアしない事には難しいにゃ」
分かってはいたが、そう簡単に物事を運べないか。まぁでも、不可能でない事が分かっただけでも儲けものか。いつかは、嫁達を俺の両親に紹介したいからな。
「私からもワタル様に聞きたい事あるにゃ」
地球に行けると教えてくれたからな。答えられる事なら全部答えよう。