80話魔王城到着
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
更新遅れてすみません。
今、魔王城を走り回ってのは白い猫耳と白い二股の尻尾が特徴的なメイドであった。彼女の名前は白猫、今ワタルと一緒にいる黒猫の妹である。名前に違わぬ程に髪から始め肌に瞳等メイド服以外は真っ白で人形と思わせる。
そんな彼女は今、もうすぐフランが来る事を察知しホコリ一つも残さないように掃除やオモテナシのお菓子やお茶の準備を部下に命令しながら自分も隅から隅まで完璧にこなそうと走り回ってるのである。
「さぁさぁ、皆さんもうすぐ魔王様が戻って来られますにゃ。失礼が無いように準備を急ぐにゃ」
「「「「「サー・イエッサー」」」」」
執事やメイドに似合わない兵士のような号令で白猫の命令を着実に従うメイド隊の隊員達。執事隊は本来ならグリムの指示に従うのだが、グリム不在の場合は白猫の命令に従うようにとグリムに言い含められている。
「白猫様ご報告致します。魔人領に魔王フランシスカ様がご到着されました」
部下の報告に耳がピーンと立ち瞳がキラーンと輝く。この忙しい日々にも暫くはおさらば出来ると思い「早く帰って来るにゃ~」と呪怨を送るような声で叫んだ。
その頃ワタル一行はというと━━━━
「ふぅ、ここが妾の故郷の魔人領じゃ。そして、あれが妾の家じゃな」
フランが指を差した方向を見ると、そこには洋風な━━某ファンタジー映画の魔法学校みたいな立派なお城が堂々と建っていた。
自分も魔法使えるし、少しの事では驚かないつもりでいたが魔王城を見た途端、あんぐりと開いた口が塞がらない。それに、とある事を叫びたい。
「「「ファンタジー世界、マジパネェ~。魔法学校まであるとは(笑)」」」
夏希と遥も同じ事を考えていたようで見事にハモった。だって、フランの家っていう城はあのファンタシー映画からそのまんま切り取ってきたみたいに見える。
「うん?魔法の学校とな?確かにウチにもあるが、一番有名な所はマジシャンかの。あそこは魔法を学ぶために世界各国から集まってるからの」
うわぁ~、そのマジシャンっていう国超行ってみてぇな。マジシャンの国民や生徒に先生は絶対にトンガリ帽子を被りローブを纏って杖を持ってるに違いない。
ていうか、過去の勇者や転移者(又は転生者)が広めた可能性だってある。まぁ事実は今のところ不明だがな。
そういえば、マジシャンの魔法学校の校長が日本人ぽい名前なんだよな。確かキャロが話してくれた内容によると"ミク・オトナシ"だったと思う。漢字に直すと"音無未来"になるのか。今は無理たが、いつかは直接話をしてみたいものだ。
「見学したいなら案内するが……どうするのじゃ?」
うーん、見てみたい気持ちはあるにはあるが今はいいだろう。今はフランの家という名の城に早く行ってみたい。
「うーん、俺はフランの家の方が早くみたいと思うが二人はどうだろう?」
ワタルは同じ転移者である夏希と遥の二人にフランの質問を丸投げした。だって、フランに嫌われたくないし、まだ死にたくないんだもの。
「「私もフランの家が見たいです」
ワタルの意図を察知したのか夏希と遥の二人も同じ回答をする。ワタルと二人の視線が交差すると、ワタルが『ごめん』と視線で送り『『後で何か奢ってください』』と夏希と遥の二人が視線を返し示談が成立した。
この後みんなに内緒でワタル特製デカ盛りパフェを作る事になるのだが、とある人に借りを作る事になるのだが、それはまた別の話である。
魔王城に行く道中、魔族らしき人と何度か会い挨拶をされた。それはフランがいるのだから当たり前か。
それに………魔族と聞いてもっとこう肌の色が蒼白くおぞましい容姿を想像していたが、普通に人間とそんなに変わらず違いがあるとすれば、頭に角があるくらいだ。
フランによると、翼と尻尾は自由自在に消せ使用しない限り消してるのが大半らしい。そういえば、フランと最初会った時に見た記憶がある。まぁそれ以降は見てない。
「着いたのじゃ。ここが妾の家である魔王城なのじゃ」
見た目で10mはありそうな扉をフランが押すと軽々しく開いた。扉が開くと、そこには白猫のメイドを先頭に現実メイドと執事が列を作って待っていた。
「お帰りなさいませ。フランシスカ様」
『『『『『お帰りなさいませ。フランシスカ様』』』』』
統率が取れており、流石はフランが持つ従者である。しかし、ワタルが一番気になってるのは先頭に立ってる白猫メイドだ。異様に目立っており、武術の心得を持ってるワタルには分かる。メイドなのに、強者なのを。メイドなのにだ。多分大事な事だから二回言った。
そして、とある言葉を叫びたい。夏希と遥も察知したのか三人で叫ぶ事にした。
「「「現実メイド執事マジパネェ~(これ絶対に誰か伝えただろ)」」」