79話ギルマスにクエストを頼まれた!
続けて遥のステータス。
・名前:伊集院遥
・職業:魔法槍術士
・装備:風切槍スサノオ
・称号:Dランク冒険者
・体力:1万3600/1万3600
・攻撃:1120(風神化時1万2450)
・防御:1090(風神化時1万4760)
・速さ:1600(風神化時2万5400)
・魔力:3200(風神化時6万3600)
・魔攻:1250(風神化時1万8490)
・魔防:1150(風神化時1万7680)
・魔法:風魔法(風神化時、風神魔法変化)
・スキル:風神化
「うわぉ、これが私のステータスか………マジかっけぇ」
こちらも大騒ぎしてる。遥、お前の声大きすぎだ。まったく、気持ちはとても分かる。俺も初めて見た時は興奮したからな。しょうがないと言える。だが、夏希の下位互換みたいな感じで、そこは残念だ。
「どうだ、夏希と遥。感想のほどは?」
「最高に決まってるじゃない」
「うんうん、夏希と同じ」
「「せーの、マジファンタシー最高」」
二人してグッジョブと親指を立てた。
楽しそうでなりよりだけど、ここはゲームじゃない。死ぬ可能性だってある世界だ。戦闘面に感心は追々訓練や実戦経験を積んでもらうか。俺やフランがいるしな。
「あっ、そうだ。フランに聞きたい事があったんだ」
夏希と遥がステータスを見終わったところで思い出した。フランならおそらく知っておるだろうと思い聞いてみた。
「うん?なんじゃ?」
「夏希と遥なんだが………どうやら元の世界とこちらの世界とじゃ年齢が違くなっているようでな。その原因を知らないか?」
「ふむ、そうじゃな………」
顎に手を置き夏希と遥の二人を見渡しながら考え込むフラン。数分後、どうやら心当たりがあるようで顔をこちらに向けた。
フランによると第一に召喚に何らかの欠陥があったという事、第二に召喚される時間軸が違う事、第三に元々二人が召喚された時期が違う事があげられるという事らしい。
「という事かの。一つ目は有り得んのじゃ。確率として二人が死んでる可能性の方が高いのじゃよ」
召喚に欠陥があった場合、ほとんどが何も召喚されずに不発に終わると考えらるがそれは大間違いだ。召喚されるはずの者は時空の狭間に放り出され、さ迷い続ける事になり成すすべもなく最後はそこで死亡する。脱出は不可能だ。フランでも、何の前準備無しでは脱出不可能だろう。
「一番有りそうなのが、召喚された時間軸の違いじゃな。それなら辻褄が合うんじゃないかの」
時間軸の違いの場合、その場直接召喚される場合はただ誘拐や行方不明という風な感じで収まる。が、過去の自分が召喚された場合は召喚された以降のあらゆる痕跡が抹消される。記憶からも記録からも。
「後は召喚された時期の違いじゃが、話を聞く限りじゃ話が噛み合わない事があるらしいし、これは違うと思うのじゃ」
召喚された時期の違いの場合、これは単純にこちら側で召喚する時期に間があるという事。だが、話が噛み合わないとうい観点からこれはないという判断だ。
「ふむ、成る程な。何か不具合みたいな事はないのか?」
「一つ目以外は何もないのじゃ」
まぁ一つ目だったならここに二人は居ないしな。死ななくて運が良かったのか、こちらに二人が召喚された事を悔いるべきか迷うが二人に再会出来てワタルは素直に嬉しく思う。
「試験は終わったようだな。少し頼みたい事があるのだが良いだろうか?」
受付の奥からダンディーな切り揃られた髭が印象的な中年男が現れた。隙がない佇まいからワタルは「コイツ強いな」と思った。それもそのはず、この男は元Aランク冒険者であり、今はここ冒険者ギルド獣王国オウガ支店のギルドマスターをやっている。
この男に奥の部屋へと案内され、ワタルとフランはソファーへ座り後のメンバーは後ろで待機してる。
「俺はここのギルドマスターを任されている。ギルラ・マイスティというもんだ。以後お見知りおきを」
「俺は━━━━」
答えようとしたらギルラに目の前に片手を出され止められた。
「知ってる。オウガでの英雄様にその奥様達ですよね」
英雄と言われたワタルはともかく、隣に座るフランを始め後ろに控えてるメンバー一人を除いて頬を赤くして照れまくってる。ワタルも照れてはいるが、メンバーほぼ全員が照れてるのを見ると逆に冷静にいられるものだ。
「それで頼みというのは?」
みんなが使い者にならないので、ワタル自身が聞く事にした。
"おい、早く戻って来てくれ。とても恥ずかしいから"と思うのだが、ワタルの願いはなかなか届かなかったのである。
「はい、頼みというのは魔人領に冒険者ギルドと商人ギルドの支店を建てて欲しいのです。
我々にとって未開の地でありますので、ちょうど魔人領に行かれるあなた達にお願いしたいのです。どうか、お願い出来ないでしょうか?もちろん、これはクエスト扱いとしますのでそれ相応の報償金は出せる積もりです」
「分かった。受けよう」
「おぉ、ありがとうございます。では、後はこちらで手続きを済ませて置きますので、ありがとうございます」
クエストを受け部屋を後にするのだが、ギルドを出るまでほぼ全員照れが抜けずギルドにいた冒険者に白い目で見られていた事に誰も気づかないでいた。
この後、獣王国オウガの兵達とテンガの見送りの中、ワタル達はフランの転移魔法によって獣王国オウガを後にし、フランの故郷魔人領へと行くのであった。
これで二章終わりです。
次は三章の人物紹介