76話Bランクへ昇格するワタルとフラン
ワタルは散々お風呂で弄られた後、みんな揃って冒険者ギルドへととある目的があって来ていた。
その目的とは━━━
一つ目、戦争に参加したワタルを含めたメンバーのランク確認。
二つ目、夏希と遥の新たな冒険者登録。流石に雷姫と風姫として活動は困難なため。
三つ目、まぁついでに適当なクエストがないか見るため。
以上が冒険者ギルドに来た目的だ。
「わぁー、ここがギルドですか」
「ふむふむ、イメージ通りですな」
ワタル達転移組から見たらゲームのRPGみたくて緊張感よりはワクワク感の方が強くなるのは理解出来る。ワタルも最初にギルドの門をくぐった時はそう思ったもんだ。
「魔王様とワタル様ですね。獣王様から連絡が来ております」
テンガがわざわざ連絡してくれてたようだ。一国の王の頼みだからか受付に並んでた冒険者達よりも優先するために奥の部屋へと案内された。
「およそのご用件もご理解してございます。まずはこちらを」
フランとワタルに手渡されのは、ランクBの冒険者ギルドカードだ。カードの色が銅色で、一番上がSだからまるでオリンピック等の一位から三位のメダルの色みたいだ。
「はい、魔王様とワタル様は戦争の活躍によりDからBへと上昇になります。そちらのお嬢さんがギルド登録でよろしいですかな?」
「はい、私夏希と」
「遥です」
元気に返事する夏希と遥は、最初のランクであるEからのスタートからになるが、試験を受け合格すればランクDに直ぐ上がる事が出来る。二人はもちろん試験を受ける事にした。
優先された事により試験管は別室へと待機してるという事なので直ぐに試験開始する事が出来る。
「二人とも頑張ってこい。応援してるからな」
「「はい、勝ってきます」」
雷姫・風姫時の力は残ってるかは不明だが、あの時に遥が使用した魔法を見るにおそらく残ってるだろうと推測出来るがそれを自在に使えるといったら話は別である。使えたら楽勝だろうがな。
それは置いといて、まぁなんとかなるだろうと確信に近い直感をワタルは感じている。
「今回試験管を勤ませて頂くジョブスという者だ。よろしく頼む」
「「よろしくお願いします」」
「武器は持ってるか?持ってないなら貸すぞ」
ジョブスが部屋の片隅を指したところに剣、槍に弓矢が用意されていた。だが、夏希と遥はそれを使用しない。
「必要ありません」
「私達にはこれがありますから」
夏希と遥は何も所持してないはずなのに何故かそんな事を口走った。二人も何故そんな事を言ったのか訳分からずに両手を前へ伸ばし集中している。
「はああぁぁぁ、雷鳴剣タケノミカヅチ」
バチバチバチバチと夏希の周囲に電気が走り━━━
「…………風切槍スサノオ」
ビュンビュンビュンビュンと遥の周囲には風が舞い━━━
夏希と遥の両名は空中から武器を出現させキャッチした。出現させたそれらの武器は雷姫と風姫の時に使用していた物と酷似して━━━いや、あの時の武器そのまんまだ。
「凄ぉぉぉい、何なのこの武器?君タケノミカヅチって言うの」
夏希が出現させた武器に語りかけている。端から見ると馬鹿丸出しに見えて逆にこちらが恥ずかしい思いだ。
「まるでというか本当にファンタジーだわね。君はスサノオと言うのね、よろしく」
遥までも武器に語り掛けてるところを見ると持ち主にだけ意思疎通が出来るやもしれない。こちらから見たらただ単に武器が震えてる風に見える。
「よし、一緒に戦おうか。ジョブスさん準備出来ました。いつでもどうぞ」
「いやはや、そんな風に武器を出現させるのを見たのは傭兵王ぶりだ。そういえば、傭兵王と雰囲気というか上手く言えないが何処か似てる気がするな」
ジョブスが言った事は遠からず当たってる。傭兵王はワタル、夏希、遥と同じ転移者であり、同じ日本の出身だ。だが、その真実は誰も知らない事であるが、近い将来にワタルは出会う事になるかもしれない。
「それでは、どちらからやるのかな?」
「はいはーい、私からやるよ。頑張ろうね、スサノオ」
「良かろう、どこからでもかかって来い」
ジョブスは大剣を両手で構え、遥はスサノオを風姫の記憶があるみたいに構える。そして、遥の試験が始まった。