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女魔王様による娯楽と冒険日記  作者: 鏡石 錬
2章ムライア王国と獣王国の戦争
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72話ワタル、やっと二人に再開する

遅れてすみません。


 そんなかんやで宴は進み、ワタルは獣人の体力を甘くみていた。1日で終わるだろうと思っていた宴はかれこれ一週間は続いたのである。

 ワタルの体力はそんなに続くはずもないので、もう最初の1日目で料理の指揮権をコック長に渡し時々、宴から脱げだしたりしていた。

 隷属の腕輪を外され意識不明のままである雷姫と風姫の事も気になり二人が眠る客室へと足を伸ばした。


「警備お疲れ様です。これ差し入れですので、お食べになってください」


 唐揚げが載った皿とソフトドリンクを渡した。


「はっ!ありがとうございます。ワタル様」


「二人はまだ?」


「はい、まだ寝ております」


「そうか、部屋に入っても?」


「はい、何かあったら直ぐにお呼び下さい」


 部屋に入るとベッドが二つあり、そこにワタルが用意した寝間着パジャマを着て寝てる雷姫と風姫がいた。いや、寝てるフリをしてると言い変えた方がいいか。


「…………てい」


 お約束として雷姫リリーと風姫ルーの鼻をわざと指で摘まんだ。


「「……………ぶっ」」


 息が出来なくなった二人は勢い良く起き上がった。まぁ当たり前だが、こちらを鼻を摘まんだ犯人であるワタルを睨んでる。


「「歩夢にぃ(アユムちゃん)何か言う事は?」」


「ごめん、つい…………」


「ついじゃないわよ……………ぐすっ」


 あれ?鼻を摘まんだのが悪かったのか!でも、この二人がこんな事で泣くとは考えられないしな。うーん…………


「アユムちゃんが急にいなくなって一緒に探したんだもんね」


「なっ!わ、私は探してないわよ。歩夢にぃを探してたのは遥じゃない」


「えぇ、夏希が泣きながら頼んでんじゃないの」


「なっ!泣いてなんか…………泣いてなんか……………うぇぇぇぇぇん」


 がしっと雷姫じゃなかった、夏希と呼ばれた少女はワタルに抱きつき、とうとう涙腺が決壊し泣き出した。

 泣き止むまでワタルは自分の胸を貸し夏希の頭を優しく撫でてやる。こいつ夏希は簡単に言うと俺と従兄妹同士になる。家が近かったせいで小さい頃から良く遊び実際の兄として慕われていた。でも、いつの間にか大きくなったな。特に胸が…………


「ふぅ、ようやく泣き止んだか」


「……………ぐすっ、歩夢にぃが悪いんだからね」


「あぁ、分かったからそんなに泣くな。もう何処にも行かねぇから」


「約束だからね。グスッ」


 ガシッと再び抱きしめられた。

 こんなに甘えん坊だったのかと思いながら、もう一人の少女に向き直る。夏希に遥と呼ばれていた少女は実を言うとワタルと夏希の幼馴染みである。でも、一つだけおかしな事がある。

 それは見た目というか外見での夏希と遥の年齢が合致しないのだ。ワタルと遥は同じ年齢のはずで、夏希は二歳年下のはずなのである。それなのに遥は明らかに小学高学年辺りで、夏希がワタルと同年代か少し下くらいに見える。つまり、夏希と遥の年齢が逆転してしまっている。


「……………私だって知らないわよ。でも、アユムちゃんに会えて良かった。グスッ」


 夏希から貰い泣きが伝達したようで涙腺から涙がポロリと垂れてきた。色々話す事はあるだろうが、まずはこれだ。


「お腹は空いていないか?一応、持って来たんだが」


 ワタルの片手には、皿に乗った唐揚げがある。これは部屋の前にいる兵士と同じ物だ。これを見た二人は唐揚げを凝視し「「ぐぅぅぅぅ」」と盛大に腹の虫が鳴った。


「「………………カアァァァ」」


「…………プッククククッ、盛大に鳴ったな」


「だ、だって、そんな匂いしたら…………鳴っちゃうもん」


「そうだよ。これはアユムちゃんが悪い」


 えぇ~、俺が悪いのか。そうなのか、俺が悪いのか。


「へぇ~、俺が悪いのか。それならこれはいらないな」


「「ごめんなさい。ウソです」」


 素直でよろしい。ワタルは二人分の皿に唐揚げの他に今日、出された料理を少しずつ盛り付けてあげた。その方が彩りが良いとの考えでのことだ。


「モグモグ、良い香りで懐かしい感じがするよ」


「はぁ~、こういうのなんかホッとします」


「そうだろ、そうだろう。俺が作ったんだからな」


 ワタルが作ったものだと聞いて、二人して仰天してる。夏希は喉に詰まらせそうになるし、遥は皿を落としワタルが見事にキャッチしてる。何故ここまで驚いているのかというと━━━━


「ゲホゲッホ……………ハァハァ、あやゆく死ぬところでした。あのアユム兄が料理なんて!」


「あの武術バカのアユムちゃんが料理を作るなんて!」


 おい、この二人は俺の事をどう思っているんだ!確かにこの二人とは遊んではいたが、武術の稽古の方が多かった気がするし上手く言い聞かせる自信がない。


「俺だって料理人の端くれだ。異世界に来たといっても料理はするさ」


「えっ?料理人ってアユムちゃんが?ウッソだぁ」


「あぁ~、そういえば…………お父さんに聞いた聞いたよ。歩夢にぃが料理人になったて。すっかり忘れてたな」


 うん?なんだろ。この違和感は?遥は最初から知らないようだし、夏希は後から思い出したようだが、それに…………そもそも何で年齢が逆転してるんだ?



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