71話宴の始まり始まり(オウガ編)
戦争勝利の宴というパーティーが開催される会場に次々と人が集まってくる。
フランやテンガを始め、戦争にて労を共にした戦友達がぞろぞろと入ってくる。ただ例外はあり吸血鬼達も来ている。
「どんどん運べよ。無くなってしまうからな」
コック率いる料理人達を従えてるのは…………戦争にて英雄と称される程の大活躍を成し遂げたワタル本人である。
「おぉ、さすがワタルだ。あの頑固なコック長を従えるとは!」
「「「「おおぉぉぉぉ!何だ、あの料理は!」」」」
次から次へと出てくる見たことのない料理の数々にみんなの目は釘付けだ。
この宴のメニューは次の通りになっている。
・若鶏の唐揚げ(スタンダードに醤油味、カレー風味)
・エビチリ(エビのチリソース和え)
・巨大オムレツ(チーズ、プレーン、明太子)
・スパゲッティ(ナポリタン、ミートソース、カルボナーラ、ペペロンチーノ)
・真鯛のアクアパッツァ
・スープ(コーンポタージュ、ミネストローネ、トムヤムクン)
・ローストビーフ
・サラダ(シーザー、ポテト)
・デザート(ケーキ数種、プリン、フルーツヨーグルト、タルト)
・酒(赤と白ワイン各種、焼酎、ビール)
と、まぁこんなところか。
ほとんど材料は通販でばれないように買い調理法を付け焼き刃だが教えどうにか間に合う事に成功した。戦争よりも良い仕事したと自分で自負してる。
「料理が揃ったところで……………宴の開始だあぁぁぁ」
「「「「「おおぉぉぉぉ!」」」」」
「ワタル!これは何ですか?」
「それは若鶏の唐揚げだ。肉汁がいっぱいで美味しいぞ。ついでにこれを掛けると更に旨い」
ワタルが取り出したのは…………じゃっじゃじゃぁぁぁん"デスソース"だ。
ラベルの文字とドクロの意味を知らないセツナはそれがどんな物か分からないがワタルの事を信頼仕切ってるから、そんな些細な事は気にしない。
そして、ワタルがセツナの唐揚げだけにデスソースを掛け見事に真っ赤かになってる。
ワタルがいた地球(日本)では、ものすごく辛そうと思うのが普通なのだが、ミレイヌでは香辛料が貴重過ぎて各国の王族や貴族ですら実物を見たことすら無いというのも珍しくない。よって、正確には味覚ではなく痛みだが辛味を知らない者は多いのだ。
「いただきます。はむっモグモグ~~~~!?」
ぶふぉぉぉぉぉ
「ひたっひたいよ!み、水ぅぅ」
ギャグ漫画みたく炎を口から吐き出し涙目になっており唇が真っ赤かだ。うーん、さすがにやり過ぎたかなとやってからワタルは思ったが…………
「でも、クセになっちゃうかも。モグモグ……………ひぇぇぇぇ、ゴクゴク………ぷはぁ」
食べて炎を吐き水を飲むを繰り返し、ワタルの杞憂に終わったようだ。それにしても…………セツナのドMぷりを久しぶりに拝見出来、たまには自分は食べないけど激辛料理を出してもアリじゃないかと思い始めてた。
セツナの様子を見てたテンガやフラン、ルリが興味津々とワタルの手元にあるデスソースを眺めており、勇気を持って恐る恐るワタルに声を掛けてみた。
「わ、ワタル、その小瓶は一体何なのだ?」
「うん?試してみたいのか?これはな、デスソースと言って数種の香辛料をブレンドしたソースだ。本当に辛いから気を付けた方がいいぞ」
正確には数種の唐辛子なのだが、まぁ嘘は言ってはいない。本当の事もいってないが、ミレイヌではそんなに変わらないだろう。
「こ、香辛料だと!そんな高級な物をソースにするとは、何と贅沢な事よな」
「その小瓶一つで金貨何枚かかるか、分かってるのか!」
「………だが、試しに舐めてみるのじゃ」
あっ!フランがワタルからデスソースを奪い、指先に一匙垂らしペロッと舐めたのである。
「………………………」
デスソースを一口舐めたフランは…………某漫画のボクサーのみたく白く燃え尽きたように立ったまま気絶していた。
あ~あ、だから言わんこっちゃない。忠告したのに舐めるから、まぁ魔王なだけに怖いもの知らずが仇になった結果である。
数分間後に意識を回復したフランは「デスソース怖いデスソース怖い」とブツブツと涙目になって震えていた。
「…………封印した方がいいな」
「それが良かろう」
「あの魔王が気絶する程なんて我が舐めなくて良かったのぅ」
フランがトラウマになる位の代物だ。口では封印すると言ったワタルだが、セツナに限定に使用すれば大丈夫だろう考えるのである。まぁ取り敢えず、デスソースは危険物として宝物部屋へと放り込んだ。