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女魔王様による娯楽と冒険日記  作者: 鏡石 錬
2章ムライア王国と獣王国の戦争
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69話主人公なのに宴の準備をしています

少しの間、日常的な話が続きます。

「取り敢えず、俺達も戻るか?」

「そうじゃそうじゃ、帰って宴なのじゃ」

「宴か……………よし、オウガ一の宴にするぞ。お前ら帰って準備を致せ」

「ええぇぇぇぇ!獣王様、あの者達はどうするのです?」

「ムロイア王…………いや、ムロイア元王か、ほっといても大丈夫じゃろ。自分の意思では動けないしな。それに儂は早く宴をやりたい」

「はぁぁ、分かりました。しかし、宴が終わりましたら会議ですからね」

「ええぇぇ…………良いよ」

 テンガって獣王だよな、偉いんじゃないのか。顔だけは怖いが初めて会った時から威厳は感じなかったからな。しょうがないよな。

「さーて、みんなで帰るぞ」

「なら、妾にお任せなのじゃ」

 フランの転移魔法で全員をオウガへ転移して、みんなで今生きてる事を噛み締めた。


「本当に帰ってきたのだな」

「帰ってきたのじゃ。これからはのんびりと旅が出来るのじゃ」

「姫様、宴が終わったら一回は魔王城へ帰ってください」

「ええぇぇ」

「ええぇぇ、じゃないですよ。みんな心配してるんですから」

 セツナが心配してるという言葉にフランは考え、しょうがないなと一回は戻る決意をした。

「さてと、俺も宴の手伝いをするか」

「ワタル殿が一番の功労者なのじゃから良いのじゃぞ」

「…………俺の趣味みたいなものだ。それじゃぁ、行ってくる」

 ワタルが城にある調理場に駆けて行ったのを見送る。なんか戦っている時よりも生き生きしてる様に見えた。

 これは宴に出てくる料理は間違いなく美味な物が出てくるだろう。きっとワタルが調理するのだから。



「じゅるぅ、ワタルの料理か。今から楽しみで待ち遠しいが…………一つだけ心配事が……………」

「うん?何じゃ?」

「コック長がプライドが高いヤツでな。ワタルを受け入れてくれるかどうか」

「姫様、ワタルなら心配要りませんよ。だって、あのワタルですよ」

「うむ、妾のワタルに不可能なぞないのじゃ」

「姫様、私のワタルでもありますからね」



 ━━━━城の調理場━━━━


「あのぉ、城の調理場ってここですか?」


「誰じゃ?お主は!ここは我々の神聖な場所と知っての狼藉か」


 ワタルが調理場の扉を叩き入ると、そこには料理漫画に良くありそうな縦長のコックの帽子を被ってるゴブリン━━━いや、豚の獣人か。似てるから紛らわしいったらあらしない。


「あっいえ、俺も手伝おうと思いまして」


「コック長、こいつあれですよ。戦争で活躍した英雄様です」


 英雄!俺ってそんな風に呼ばれてるのか……………いやぁテレるなぁ。でも、中二病ぽくて何か複雑な気がするな。


「英雄?そんなヤツは知らん」


「あぁコック長は料理以外、目や耳には入らないからな」


「違いねぇ。わっはははは」


 コック長とやらは相当な料理バカなようだな。それなら料理なら料理で分からさせるしかないな。


「喋ってないで手を動かせ」


「す、すみません」


「忙しいようなら俺も手伝います。()()に来る前はとある料理屋で働いてましたから」


「おぉそれなら良い!手伝ってくれ」


「ダメだ、人間なんかに獣王様や夜の王の口に合う物を作れる訳ないだろう」


「ほぅ、それなら俺の作った料理の味を見てもらえませんか?コック長殿」


「なんだと!」


 ワタルとコック長の視線が交差し、バチバチと火花が弾けてる。どちらも一歩も引かぬ勢いで睨み続けコック長が先に口を出した。


「そこまで言うなら見てやろうじゃないか。だが、もしダメだったなら分かってるな?」


「えぇ覚悟の上です。ダメな時は煮ても焼いても良いです」


「良かろう、着替えて調理場に入れ」


 コック長に言われた通りに白いエプロンとコック帽を被り調理場の空いてるスペースで調理を開始した。


「ほぉ鳥を使うのかい」


 俺の調理に先程、俺に手伝ってと言った豚の獣人である。俺の料理が気になったのか覗いて来た。


「えぇそうですが」


「鳥は止めた方が良いと俺は思うな。なんたって、鳥は卵をもう産まない痩せたヤツを使うんだぜ。固くて食えたもんじゃないぜ」


 なら、買うなよって話だ。だが、そんな物を俺は使うつもりはない。俺には俺しか持ってない裏技があるからな。


「それは分かってますよ。ですが、敢えて鳥を使うのです。まぁ見ててくださいな」


 鳥の部位であるもも肉を切り分け、それを食いやすい大きさに切りそれを作っておいた浸け汁に二十分程浸けて置く。


「あれ?そういえば、鳥なんて買って置いたっけ?」


 豚系の魔物や獣人は、そこまで知能は良くないって相場は決まってるからな。その内忘れるだろう。

 ワタルは、そう思ってはいたがそれでも少しは冷や汗掻いた。だが、スルーして調理を続ける事にした。案の定、鳥の件については追及されなかった事にホッと溜め息をついたのである。



不定期中

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