65話さぁ復讐の始まりだ
「良くぞ、神を追い払ってくれたのじゃ。褒美をくれてやろうぞ」
この豚王は何を言ってんだ?ちゃんと俺と戦神セクメトの話聞いて無かったのか。まぁ豚王に人の話を聞くなんて無理か。だって人…………獣以下だもんな。
「はあぁ~!俺と戦神セクメト様の話をちゃんと聞いてたのかよ。この豚は」
「ぶ、ぶぶぶぶ豚じゃと!!」
「そんなにブクブク太って豚の他に何があるっていうんだ?教えて欲しいもんだ」
ワタルがムライア王にそう言うと、「「プックククク」」と周囲から笑いを我慢してのだろうが明らかに笑い声が複数聴こえてくる。
「ええぇぇぇい!うるさいぞ。我を誰だと心得る、ムライア王であるぞ。この侮辱は死刑に値する。この牢屋から早くだせい」
「良いだろ、出してやる」
ワタルがムライア王を出すと言った瞬間、周囲から『ええええぇぇぇぇっ!!』と驚きの声がこだまする。
「ただし、俺とゲームをする事が条件だ」
「ゲームじゃと?」
何でこんな時に訳が分からないとムロイア王の頭の中は?でいっぱいだ。
「そうだ、ゲームだ。今からとあるゲームを俺とやって貰う。豚王が勝利すれば、国はこのままといたしましょう。そして、代わりに俺が死んで俺の全財産はくれてやろう。ただし━━━━」
「お前の全財産じゃと?そんな端金貰っても何もならんわ。そんな提案をするお前は何者なんじゃ!こんな仕打ち死刑もんじゃ。我を誰だと心得る、我は━━━」
ムロイア王は頭に血が上ってワタルの話を途中で遮った。そして、怒号を浴びせる。
「ふん、ムロイア王だと言いたいのか?そんなの聞き飽きた。俺の顔を忘れたか?俺は…………お前ら豚王………いや、もうクズで充分か。そのクズ達に召喚された元勇者だ」
「「「「ええぇぇぇ!!」」」」
ムロイア王達はよっぽど驚いたようだ。
「お前達ま、間違いないのか?」
幹部である魔法使いはワタルを全身くまなく観察し、次第に脂汗が溢れ出るやいなや許される限り後退った。
「ま、ままままま間違いありません。こいつはあの勇者です。何故生きている!」
「それは何故だろうな。神様が奇跡を与えてくれたんじゃないか」
神様というよりは魔王だけどな。
「それなら話が早い。おい早くここから出せ。恩を仇で返す気か」
「話を聞いて無かったのか。俺からのゲームを受けるのか受けるのか。どっちなんだ?恩を仇で返す?何を言ってるんだ?俺はお前らクズに恩なんて感じてない。むしろ、感じてるのは……………怨みだ」
「ぐぅ…………その申し出受けよう」
「あ、あなた!」
「このままでは、死ぬ身だ。チャンスをくれたと思い受けようぞ」
うん?何かムロイア王ぽくなく、まともな事を言ってる。槍の雨でも降るんじゃないか。
「よし、牢屋から出す前に魔法を唱える」
ワタルが今から使う魔法は、とんでもない魔力量を使うせいで魔力を練ってるだけなのに魔法に疎い者にも魔力を感じる程である。まぁ、ワタルには関係ない。戦神の加護によって最大六千倍まで上げられるのだから。
「遊戯の神ディアナよ、我と敵に絶対切れぬ鎖を繋ぎたまえ。娯楽魔法・遊戯系"遊戯神の絶対王政」
ワタルの手中に辞書くらいある本が召喚され、そこを中心に建物丸々を形容しがたい灰色のドーム状の結界みたいな物が張られた。
「なっ!何だ、この出鱈目な魔力と魔法は!」
「ふぅ、取り敢えずこれでこの中では武力行使や攻撃魔法等あらゆる攻撃は出来ないから。付け加えると、ムロイア王国関係者はここから出られないから。さてと、この魔法を完成させるか」
「うん?何だ、ワタルまだ完成してないのか?」
魔法に関しては天才のフランが当然の疑問を口にする。魔法っていうのは呪文を唱えるだけで完成する。高度たが中には無詠唱で魔法名を口にするだけで発動させる者もいる。
「うん、これは"設定"を加えないと本来の力を発揮出来ないんだ」
「ふむ、二重魔法や三重魔法みたいなものか」
「まぁそうかな」
適当に返事をする。
「さてと、設定上書き」
そう唱えると手中にあった本は空中に浮かび、パラパラとページが捲りとあるページに止まった。
「勝負方法は"オセロ"我が勝利時にはムロイア王、その王妃に幹部達を廃人と化す。ムロイア王の勝利時にはムロイア王国の返却かつ我が死に全財産をムロイア王に与える。これにて設定上書き完了」
バタンと本は閉じ消えてしまった。
「さぁこれで匙は投げられた。もう後戻りは出来なくなったぞ。世界一恐ろしいオセロを始めようか」
更新遅れましてすみません。




