61ワタルVS雷姫改めララ・後編
雷神の鉄槌 バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ
ララの雷神の鉄槌と同じ位に天を貫き、同じ位に威圧感がある。偽物よりも本物らしい迫力があるかもしれない。まぁ、気のせいかもしれないがな。
「自分の技をくらって殺られるがいい。雷神の鉄槌・偽」
「なっ!ワタシのみ許された神の業を………良くも良くも使ってくれたな。はああぁあぁぁぁ」
ララもオリジナルの雷鳴剣タケノミカヅチを空に掲げ再度、雷神の鉄槌を放とうとするが━━━━
ピカァーっと光るには光るが…………光るだけ光ってシュゥーンと光が消えて雷神の鉄槌は不発に終わり、さらに魔力が減っただけであった。
「くっ、くそぉ!ハァハァ、魔力が尽きてもあなたを倒すからな(こ、これがワタルの実力!これで倒されるなら本望よ。リリーが幸せになるなら)」
ララは強気な口調で言うが、何か覚悟が出来たかのようにワタルの雷神の鉄槌の目の前に逃げる訳でもなく立ち尽くしている。今から逃げても範囲が広すぎて安全な場所はないがな。
「エネルギー充分だな。それにしても、"反射鏡"を使用してるとは言え凄い魔力の塊だな。ララの魔力も凄いって事だな」
反射鏡によりワタルの消費魔力は雷神の鉄槌分はほとんどない。だが、もしワタルが実際に雷神魔法を使えていても百発近くは撃てたであろう。
ララ自身も一発撃てただけでも充分に凄いがワタルが規格外なである。
「慰めは止めてちょうだい。ワタシの技をあなたが使えた時点でもうワタシの負けは決定したのよ。さぁ、殺りなさい(やっぱり、今の無し。やんないよね、やる訳ないよね)」
「…………そうか、悪かった。それじゃあ、自分自身の技によって沈め」
鏡の盾が動きララに振り下ろされる。ララは雷神の鉄槌・偽に飲み込まれ、今度は反対側の山々が破壊された。
「あっ、死んでないよな。精神は別物だけど、体はリリーの物だし殺していたらどうしよう」
反射鏡で出した鏡の盾は、その役目を終えたかのように消滅し煙が晴れ景色がはっきりと見えるようになってきた。
煙が晴れた後にはララが一部鎧が壊れただけで立っていた。どうやら、無事のようで反射鏡をした本人であるワタルも安堵の色を隠せないでいた。
「ほっ、本当に良かった。流石にやり過ぎたと思ったよ」
「ふん、このワタシが簡単に殺られるもんですか(マジで死ぬと思ったわよ。このおバカ様)」
ララ本人は雷神魔法使用するに当たり自然と抵抗が出来ていただろうと推測が出来、そのお陰でダメージが少ないだけではなく魔力も回復出来たようだ。ララ自身は何故助かったのか良く分かってないようだ。
「さてさて、先程の大技はもうお互い撃てないだろうし仕切り直しだな」
ワタルは半分嘘をつく。先程の━━━つまり、雷神の鉄槌をララが撃ってこない限りワタルも撃てないと言ってるだけだ。別に他の技が使えないとは言ってない。
「ハァハァ、切り札が破られた以上、ワタシの剣捌きでお前を倒す(魔力も何故か回復したし、どうにかなるかも♪)」
お互い武器を構えジリっジリと距離を詰め相手の隙を伺う。
武器を構えてから数分後、先に動いたのはワタルだ。上段から振り下げララもそれに合わせ雷鳴剣タケノミカヅチを振るい刃と刃が交差しようとした瞬間、ワタルがララの目の前から消え空振りをした。
いや、消えたんじゃない。ワタルは高速でララの背後へと移動し桜花で横に払った。
「くっ、させるか!」
ガキーンギッギッ
自前の動体視力と雷魔法の付加効果によりワタルの速度についていき防御が間に合った。
「まさか強化魔法まで使えるとは、恐れいったわよ(び、びびびビックリした!速度強化も出来たなんて)」
「お褒め頂き光栄です」
実はワタルは強化魔法は一切使えない。なら何故、あんなに早く動けたというと闇反魔法"重力"の応用を二つ掛け合わせた。
一つ目は自らの重力をゼロにする"無重力"
二つ目は自分自身を重力で引っ張っただけである。
この二つを使い傍目からは速度強化を使ってるように見えるということだ。
ようは能力の使い方で意外な効果を発揮するものである。つまり、速度強化ならぬ擬似速度強化と言ったところだ。
ガキーンガキガキドカドカガキガキドカドカガキガキン
と、ワタルの桜花とララの雷鳴剣タケノミカヅチの激しい斬り合いが繰り返されている。
ワタルは擬似速度強化とフェイントを織り交ぜ、ララはずば抜けた動体視力と雷魔法の反射神経で対抗する。




