55黒猫VS風姫・後編決着
「うるさいにゃ。仲間と話してるのに静かに出来ないのにゃ」
「なっ!今は私と戦ってるわでしょ。余裕綽々ね、それに何処に害獣の仲間がいるのよ」
「うんにゃ、ここには居ないにゃ。遠方でも話せるマジックアイテムみたいな物だにゃ」
「そんな希少な魔法具をほいほい用意するなんて、後ろには何処かの国が手引きしてるっていうの」
「ニャッフフフノフ、にゃてにゃーて一体何処だろうにゃ」
無線はワタルが用意した物だ。よって、誰も国も居ないんだよな。まぁ、そんな風に勘違いさせたままで良いと黒猫は判断した。そっちの方が面白い事になりそうだからだ。
「一体何処の国が絡んでるっていうの?!」
「それは置いといて、次行くにゃ。猫パンチ―――連打にゃ」
「えっちょっまっ」
「戦争で待つ馬鹿はいないにゃ。あっそうか、だから親の七光りで学校卒業出来たにゃ。にゃから馬鹿なのにゃ」
猫パンチを風姫ルーに繰り出しながら、とんでもない事を本人の目の前で暴露した。
「待ってて言ってるでしょ」
「にゃ!危ないにゃ」
「ふぅ、先程聞き捨てならないこと言いましたわね」
「うんにゃ、親の七光りって事かにゃ」
「そうそれです!詳しく聞かせてくださいまし」
セツナからの無線で聞いた事を包み隠さず話した。
簡単に言うと王様━━━ここはワタル式で言うとクズ王と言おう。クズ王が実は貴族学校に寄付という名目で賄賂を渡し、常に風姫ルーの成績を首位にしていたこと。目障りな教員や生徒はお金という圧力で辞めされていったという。事を全部話してやった。
「う、嘘よ嘘よ。だって、私は実力で首席になって卒業したんだから」
「にゃから、それが嘘にゃんだって。いいにゃ減分かれば?」
「そ、そんな事………父上がするとは………」
「権力を持つと怖いにゃ。王様に一教員が意見出来るとでも思ってるにゃ?」
普通は出来るはずがない。自分の首が飛ぶなら未だしも家族親戚までも巻き添え喰らうかもしれないのに出来るはずがない。
「父上がそんな事………そんな事するはずないもん」
「にゃら、かかってこいにゃ。勝った方が真実、負けたら嘘………シンプル・イズ・ベストにゃ」
「く、黒猫オオォォォォォォ」
「やっと楽しくなってきたにゃ」
ガキイイィィィィィン、と今までで一番槍と爪が迫り合い風圧と甲高い音が鳴り響く。もうすぐで決着でもつきそうな程にクライマックスは間近かもしれない。
「ハアァァァァ、風魂流星」
「にぁぁぁぁぁ、二丁猫玉」
「オオォォォォオオォォォォォ」
「ニャアアオオォォォォォ」
ニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャン
風姫ルーが放つ丸く圧縮した風魔法と黒猫の猫玉の二丁Verが相殺していく。ただし、猫玉が発する猫の泣き音が大きいせいで風魂流星の音がかき消されてる。
「くっ、負けるかァァァァァ」
「にゃー、かかって来いにゃー」
ガッキィィィンバッシュスパッニャンニャンバッチコンザッシュガッキィィィンバッシュスパッニャンニャンバッチコンザッシュズザーンドカドカキヒャァァァドスドスドカーンブスブスドカ
ガッキィィィンバッシュスパッニャンニャンバッチコンザッシュガッキィィィンバッシュスパッニャンニャンバッチコンザッシュズザーンドカドカキヒャァァァドスドスドカーンブスブスドカ
「ハァハァ、何てしつこい化け猫ですか」
「それは誉め言葉と受け取っておくにゃ。もうお疲れのようにゃけど、大丈夫かにゃ?」
「ゲホゲホ、ご心配なく大丈夫………ですよ」
「大丈夫に見えないにゃ」
風姫ルーの足腰が、今立ってるのが奇跡であるなの様にガタガタと出産したての小鹿みたいに震えていた。
明らかに限界だろう。お願いだから、誰かタオル投げてあげてよ。もう見ていられないよ。
風姫ルーはプライドや気力だけで、残り少ない魔力を足腰に回し風で浮かせて立っているにすぎない。もう、攻撃や防御も出来やしないだろう。
「にぁー、しょうがないにゃ。本当はこういう勝ち方はしたくにゃかったけど………」
「ガタガタ、なななな何をする気でででですか?ゲホゲホ、ち、ちちち近寄らないで」
立ってるだけで動けない風姫ルーに一瞬で背後に周り、ポンっと肩に触れた瞬間、風姫ルーは気を失い白目を剥いて地面に崩れた。
「疲れたにゃ。案外しぶとくて私から見たら特別強いまでは言わないにゃ。後、十年後なら分からないけどにゃ」
黒猫は魔力を微量ながら吸っただけだ。それだけで風姫ルーは気絶してしまったのである。本当に限界というかこれ以上やってれば死んでいたかもしれない。
一応、魔力封じの特別なロープで風姫ルーの手足を縛り担ぐと黒猫は獣王国オウガ陣営の丘へと帰還するのであった。




