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女魔王様による娯楽と冒険日記  作者: 鏡石 錬
2章ムライア王国と獣王国の戦争
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54話黒猫VS風姫・中編

「私の爪で切れにゃいとは、その槍━━名高い業物とお見受けするにゃ」

「害獣にも武器を見る目が備わってるとは驚きです。この槍は、風の女神の名を冠してる。切風槍スサノオだ。最後の置き土産として、たーんと見ると良い」

「………うーんにゃ、それは遠慮するにゃ。にゃぜにゃら、ここで殺られるのはお前だからにゃ」

 黒猫が右手を親指と人差し指だけを開いた状態━━鉄砲の形状にすると、風姫ルーに向け撃つ真似をした。

「一体何を━━━」

 ニャーン、と眉間ド真ん中に何かが当たり頭がおもいっきし後ろに仰け反り吹き飛んだ。

「ぐっはぁ━━━痛っ………っよくもやってくれたわね」

 黒猫の正体不明の攻撃が当たる瞬間、眉間に風魔法の応用で風の障壁をピンポイントに張った。

 しかし、張る時間が一秒も無かったもんだから、風の障壁は薄い状態で完璧には衝撃は緩和出来なかった。

 そのせいで眉間に薄く打撲紺が出来、血がツーっと頬に伝った。とても痛そうだ。


「ニャハハハハ、油断するからそうにゃるにゃ。しかし、よくギリで防いだにゃ。猫玉━━仙力を丸く圧縮した玉を発射したのにゃ」

「不意打ちとは卑怯な………これだから、害獣は信用なりません」

「それは可笑しいこと言うにゃ。今は戦争にゃんだにゃ。攻撃を待っててくれるにょでも?」

「うるさいうるさい。そんな事分かってるわよ」

「分かってないにゃ。もし、分かっていたら卑怯と言葉は出てこないにゃ」

「だから、うるさいって言ってるでしょ。こーの、風刃の舞・四神の陣」

 風姫ルーが四人になった。武装も同じで一見、見分けが着かない。だが、黒猫には考えがあった。魔力の流れまでは真似出来ないだろうと目に集中する。

 魔力の流れは個人事に違うらしく、簡単に言えば指紋と同じで一つとして同じのは存在しないと言われている。指紋という言葉を借りて魔紋と名付けよう。

 その魔紋を見分けられる技術は、まだ未発達で出来る人は少ない。というか、そんなやり方で個人特定出来るとは広まってない。出来る者が大勢いても何の役に立つの?って感じである。


「にゃにゃ、にゃんと!みんな魔紋が同じにゃ。これでは、本物が分からないにゃ」

「ふっふーん、どうよ。私もやるもんでしょ」

 黒猫が驚いた事により鼻が高くなってる。自慢な技の一つらしい。

「にゃが、分身すると本体以外は力が均等に分散してしまうと定石にゃけど、どうかにゃ?」

「ぎ、ギクッ!そ、そそそそそんな事ないもん」

「にゃーあ、当ててしにゃった様ですまにゃいにゃ」

「謝らないでちょうだい。惨めになってくるから」

 風姫ルーが今から泣きそうで瞳にうっすらと涙が溢れている。なんか悪い事したなぁ、と黒猫は頬を掻く。

「そんな風にふざけていられるのも、今の内よ。風刃の舞・風十字斬」

 本体と分身三体の風姫ルーは、黒猫を中心とし前後左右に別れ一斉に突進してくる。

 四体の風姫ルーが黒猫に向かって突進していき命中した感触を風姫ルーは感じた。黒猫の四肢を切り裂いたところで交差し、それぞれ十字の先に着くと黒猫がいると思われる箇所には魔力が込められた風が竜巻となり中にいる者は、さらに切り裂かれ跡形もないだろ。中に居ればの話だが━━

「キャハ、これで跡形もないね。あっ、首だけは残して置けば良かったかな?でも、これでリリー姉様に誉められる♪」

 と、勝負は決まったと思い込んでいる風姫ルーの顔面が突然沈み後方へと吹き飛んだ。


「グヘェ?!痛っ………わ、私の可憐な顔が…………こんな事するのは一体誰なの?」

「ここにいるのは私しかいないにゃ。寝惚けてるのにゃ?お前はバカなのかにゃ?」

 明らかに馬鹿にしてる黒猫に対して、風姫ルーは眉間に血管が浮き出る程、憤慨状態になり美少女としてあるまじき顔になっている。

「はぁー!?王国立ムライア貴族学校を首席で卒業した私を馬鹿ですって!」

「それって………スゴいことなのかにゃ?」

「害獣の頭には理解出来なくて当然です。スゴい事なのです」


 風姫ルーが言ってる事は真実で、スゴい事なのだがそもそも貴族学校なのでお金がないと、試験は出来ないし受かっても金がなきゃ入学も出来ない。貴族学校といよりは金持ち学校と言った方がしっくり来るかもしれない。

 貴族は貴族でも全員が金を持ってるとは限らない。御家を取り潰しに合い再び貴族に返り咲こうと、子供を入学させるのも珍しくない。そういう没落貴族が無事に卒業出来るのは極少数で殆どが途中金が底をつき中退する羽目にあうのだ。

 そして、自分の首を締める結果になり一家で無理心中をしたり犯罪に染めたりと悪循環になったりするのだ。所謂、社会問題化になりつつある。


「にゃ?にゃんだ?セツナか」

 セツナ部隊の他に主要戦力には無線を渡してある。必要な情報を共有しやすくするために、情報も立派な武器と化す事もあるのだ。それが今だ。

『風姫ルーの面白い秘密を教えてあげる。それも本人も知らない秘密を』

「一体全体、誰と話してるの?」

 風姫ルーをスルーして無線でセツナと話し続ける。そっちの方が面白い事が起こりそうだからだ。

「ふむふむ、ニャハハハハ、にゃるほどにゃ。それが本当にゃら面白くて、ワタル風に言うならスキャンダルだにゃ」

「わ、私を無視するな(怒)」

 風姫ルーの風魔法が黒猫を問答無用で襲いかかるが、黒猫はそれを何の問題なく涼しい顔で回避するか無効化したいた。


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