42話世界地図
「うーん、ここは……」
目をゆっくりと開けてみたら天井が見えた後、頭の感触が気になりサワサワと触った。
「あぁーん」
色気じみた声が聞こえ驚愕し、バッと起き上がる。
「もう少し、寝ていてもよろしいのに」
どうやら、キャロが膝枕をしてくれたらしい。
キャロの太腿柔らかったな……はっ!俺は何を考えてるんだ。いけないいけない。
「そうだ、何で俺は横になっていたんだ?」
ワタルはキャロに質問するが━━━
「し、知りませんわ。きっと……そう、つ、疲れていたんですわ。そうです。きっとそうです」
「おぉ、そうか」
何かはぐらかされた様だが、キャロの勢いが凄くてこれ以上追及はしないようにしよう。
「あっ、そうだ。聞きたい事があったんだ」
「あら、何ですの?」
ワタルが気絶する前に見てた真っ赤になってる世界地図をテーブルに広げた。
「ミレイヌの世界の国々の事全然知らないんだ。それで、教えて欲しい」
「会長は転移者でしたね。分かりました。まず、おさらいでここが人間の国ムライア王国です。そして、ここが今我々がいる獣人の国オウガです。ここが━━━」
キャロが世界地図を指で指していき一つ一つ教えてくれる。それが次の通りである。
《巨人国ギガル》
・種族:巨人族
・巨人王:ガガル・ギガン
《森精大国エルフィラルド》
・種族:森精族
・森精女王:ラルルー・エルム
《魔人領》
・種族:魔族
・魔王:フランシスカ
《発明大国カラクリ》
・種族:機械族
・発明王:???
「うん?発明王の名前は何だ?」
「それが……分からないのです」
「分からない?」
「えぇ、発明大国カラクリは謎に包まれた国なのです。国々の交流を一切行わいのです。ですので、ここだけは赤くなってないのです」
「つまり、鎖国ということか」
「はい、その通りです」
「そうか、続けてくれ」
《海底の国オーシャン》
・種族:人魚族
・人魚女王:リーン・オーシャン
《土精の洞窟モグラ》
・種族:土精族
・土精の長:ノーラ
《竜の渓国ドラクニクス》
・種族:竜人族
・竜王:レブレ・ドラクニクス
《妖精の森エルシル》
・種族:妖精族
・妖精女王:シシリー・エルシル
《精霊界ルナ》
・種族:精霊族
・精霊王:???
「精霊界は国ではないのか?」
「それは不明です。国なのかミレイヌに隣合うように異世界として存在してるのか不明です。国なら何処にあるのか……例外を除いて我々には認識出来ないのです」
「認識出来ないのに、存在してるって何故分かる?」
「それは……次で説明する国な唯一一人と表現した方が良いのか分かりませんが敢えて、一人だけいるのですよ」
《傭兵大国ユベル》
(冒険者と傭兵の国)
・傭兵団長(傭兵王):タケル・サイトウ
・冒険者ギルド長:レム
・コロシアム経営者:水の精霊族マナ
「えっ!傭兵団長の名前が……」
「おや、お気づきですか。そうです、彼も転移者です。おそらく、会長と同じ故郷からだと思います」
いつかは会って見るべきか。まぁ、もうすぐで戦争だ。会うとすればその後だろう。
「それにコロシアムって」
「腕自慢が競って勝負するのですよ。ルールは何でもあり。どんな魔法や武器でも使用可です」
「こういう所は賭け事も有りそうだな」
「ご名答です。そのお金で経営してますから。ただし、死者は出ませんのでご安心を」
「えっ!ルール何でもありなんじゃ」
「はい、そこでマナ様が関わってきます。マナ様のとんでもない魔力がコロシアム全体を包んでいます。マナ様の属性は水━━癒しの効果があり、死ぬ程の怪我でも決闘が終わり次第たちまち癒されるのでございます」
「それは凄いな」
「噂では魔王フランシスカ様よりも上だとか」
なに!フランよりも上だと……それは凄すぎだろ。
「というか何でコロシアムの経営なんかを精霊族がやってるんだ?」
「聞いた話ではなんでもマナ様は人間が好きでやってる話です。精霊族の中では変わり者らしいです」
一回は会って見たいものだ。まぁ、ユベルに行けばタケルと言う転移者もいるしな、いつか行って見るか。
「大体ユベルの事は理解した。続きを頼む」
《魔法学校国家マジシャン》
・校長:賢女ミク・オトナシ(人間と言われてる)
「魔法学校?」
「えぇ、この国は種族間の差別無く誰でも魔法が学べる学校があるのです。いえ、学校そのものが国であると言った方が正しいかと」
魔法学校か、ここもいつか行って見たいものだ。とある映画を思いださせる。
「この賢女ってまさかと思うが………」
「傭兵団長と同じで転移者と言われていますが謎なんです。何せ会った事のある者が少なく情報が少ないのです」
「そうか、行く機会があれば行ってみるよ。続きを頼む」
《神界ファザー》
・種族:神族
・世界神:ファルシー
《魔神界ルッカルド》
・種族:魔神族
・魔神王:サタン
「ちょっと待て、神もいるのか?」
「はい、教会や聖域に扉が有り神又は魔神に許可された者は入れるそうです」
もう、何でもありだな。さすがファンタジーだ。
「次で最後の国でごさいます」
《幻獣の四大国ファンニスタ》
・種族:幻獣族
・白虎の国:白虎領
・白虎王:シロ
・青龍の国:青龍領
・青龍王:セイカ
・玄武の国:玄武領
・玄武王:トウカ
・朱雀の国:朱雀領
・朱雀王:アカネ
「以上ですね。どうしましたか?」
「……幻獣族の王達って全員女性か?」
「おや、良くお分かりで」
そりゃー、分かるよ。何故なら俺の故郷である日本に有りそうな女性の名前なんだから。それも偶然か?凄く気になるが、今は戦争だ。
「分かったのは偶然だ。気にすんな」
「はぁ、そうですか」
「あっ、そうだ。良い物を持って来たんだ」
ワタルはそう言うと指をパチンと鳴らし、宝部屋から段ボール箱が200箱が出てきた。
「こ、これは……」
ワタルは段ボール一箱の封を切り中身の一つを取り出しキャロに渡した。
「これは!まさか、砂糖ですか?」
「あぁ、そうだ。こっちは塩に胡椒だ」
それぞれの段ボールから塩と胡椒を出してテーブルに置く。
「え、まさか………」
「はい、この箱に入ってるの全部そうです」
塩67箱(一箱20㎏)、砂糖67箱(一箱20㎏)、胡椒66箱(一箱20㎏)が執務室にズラリと積んで並べてある。
金額にしたら一体どれくらいになるのやら想像出来ない。日本での相場だと全部合わせて、およそ500万円になる。全部売るのに時間掛かるだろうが数百倍は望めるだろうとワタルは思っている。
「俺はミレイヌに召喚されて、まだ日が浅く商品を売るルートやコネがありません。ですので、これ全て今の相場を割らない程度に少しずつ売っていってもらえませんか?」
「それは構いませんが………それにしても、凄い量ですね。どれも、質は良さそうですし高く売れそうです」
呆気に取られて段ボールの山を見ているキャロには申し訳ないが、これは全部安く通販で仕入れてきたのだ。絶対に言えないワタルだけの仕入れルートである。
後はキャロに任せ、明後日に迫った戦争の最終会議が開かれる獣王テンガの城に行くのであった。




