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女魔王様による娯楽と冒険日記  作者: 鏡石 錬
2章ムライア王国と獣王国の戦争
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40話心理戦ババ抜き後編

「ルル引くぞ」

「はい、どうぞ」

 アユムがルルのを引き同じカードが揃って捨てた。そして、アユムのカードをシズカが引き、シズカのカードをルルが引く事を繰り返す。

「あっ、揃ったわよ」

「よし、俺も揃った」

「揃ったー」

 ポイポイと揃ったカードを捨てていく。大体半分程まで減ったとこから揃う回数が減っていき、もうそろそろジョーカーが違う人に回りそうなものだが。

「あっ!来ちゃった。悔しいよ」

 シズカが声を荒げる。どうやら、ジョーカーが来たようだ。実は最初に持ってたのはアユムであった。

「さぁさぁ、引け引け」

 シズカの手札一枚だけ妙に上に飛び出してる。あれでは、ジョーカーがどれか丸分かりであろうに、それとも何かの作戦か?

 ルルが引く番になり、予想通りに吐出したカードを避けその右隣のカードを引く。

「むっ!」

 ルルは眉をひそめ、シズカの作戦に引っ掛かりジョーカーを引いてしまったようだ。

「ウフフフッ、作戦通りよ」

 作戦が上手くいって嬉しく、ついヨッシャーとガッツポーズをするシズカを見ていたルルは無言だが、側にいるアユムにはルルの瞳がメラメラと闘志を燃えてるのをしっかりと目にしていた。

「………アユム、早く引いて」

 ルルの威圧に言われるまま引くとジョーカーであり、ジョーカーが手元から無くなった事でルルの威圧や闘志が静かに収まった。

 ジョーカーは一週して再びアユムの手に戻ってきた。それを、シズカは知らず知らずにアユムの手札をまさか無いだろうと油断した面もありジョーカーを引いてしまった。まさか次順で自分に戻って来るとは普通誰も思わないだろう。


「ぎゃあぁぁぁああぁぁ」

 相当ショックだったらしく、無限の広さがありそうな精神と魂の狭間でシズカの絶叫がまるで鏡や山びこの様に反響しあった。

 そして、シズカの手札をルルが引き、ルルの手札をアユムが引くと同じ数字が揃い残り一枚になり、それをシズカが引いてアユムが一抜けした。

「ふぅ、勝てた。先に上がったから何かお菓子準備して待ってるから」

 そんなアユムの言葉を聞いた瞬間、キュピーンと二人の目が光った。

「勝つのは━━━」

「「私だ(です)」」

 別に勝った方だけにあげる訳ではないのだけれど、やる気になったようで黙っとく。

 やる気━━━この場合は殺る気か。殺る気が出たせいでアユムの錯覚なのか、二人の背後に何かが出てる様に見える。

 シズカの背後に犬?らしき半透明なヤツが、ルルの背後には猫?らしき同じく半透明のヤツがそれぞれ威嚇しあってるようだ。しかし、全然怖くねぇな。見た目が子犬と子猫だからか。


「これはどうです?くっ、揃わない。さぁ、引いてください」

「………ふっ、これです。ちっ、ハズレです」

 あれ、ルルが舌打ちしたよ。こんなキャラだっけ?もっと大人しい感じだと思ってたよ。


「さてと、デザートの準備出来たけど勝負ついた?」

「「まだ!」」

 アユムが抜けてから二人の手札の枚数が目の錯覚か、全然減ってないように見えてしまう。

「早くしないとアイス溶けるんだけど」

「「冷凍庫に締まって!」」

 と、言ってるが、この世界にそんな文明の利器はないからね。しかし、すごい剣幕でアイスを溶かしたら許さないと威圧してくる。

 というか、何故冷凍庫を知ってるんだ?疑問に思ったがしょうがないので、冷凍庫の代わりとして宝物部屋アイテムルームに一時的に保存する事にした。

 宝物部屋アイテムルームの中では時間が停止してるので、食べ物でも腐らないし溶けないのだ。本当、保存に便利な魔法だ。


「ふぁー、まだ終わらないのか。もう、どっちでも━━━」

「「それはヤダ」」

 アユムがもう止めようよと言おうとしたら二人が拒否し、再開したのだ。

 良く二人の手元を見ると分かるが、心理戦に加え様々なカードテックニックでジョーカーを引かせたり、アユムが数えただけでも十数種のカードテックニックを使いこなしている。

 特に教えてはいないはずだが、何処で覚えたんのか後日聞いてみたら、二人共プレイ中に編み出したと言っていた。

 知識が無い状態でゼロから編み出したと言うのか、末恐ろしい子供達である。いや、フランとルルとの契約時に生まれた存在ならば、特別に驚くべき事ではないか。見た目は子供だが中身は怪物ということか。


 二人のババ抜きを見ている中、だんだんとアユムは「ふぁー」と眠く、ウトウトと瞼が閉じていき、ついに眠ってしまった。

 ふと、うっすら瞼を開けどのくらい時間が経ったのだろうか?この光が無いフランの魔法が無けりゃ自分の姿も確認出来ない空間に時間という概念は存在してるのだろうか?

 戻った時に時間は経過してるらしい、ので時間は経過してると推測できるが時間の速度が違うとアユムは思っている。

 正確な時間は時計が存在しないので、アユムの体内時計で計ってるが、こちらで半日過ぎたのに対し元の世界(今現在フラン達がいる世界)に戻った時は約一時間しか経っていなかったのだ。元の世界では、その場にいたメンバーに経過した時間を教えてもらった。


「ふぁー、決着は着いたの……か?」

 寝起きで見間違いかと思いきやアユムの上にルルが「ハァハァ」と呼吸が荒い状態で乗っていた。乗っていたといより、ルルにアユムが押さえつけられていた。何という馬鹿力なのだ、一歩も動かせない。

「ルル、大丈夫なのか?おい、シズカこれはどういう状況なんだ?」

 現状唯一動かせる顔を動かしシズカを探すと━━━いた!なんと、一人でアユムが用意してたお菓子を食していた。


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