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女魔王様による娯楽と冒険日記  作者: 鏡石 錬
2章ムライア王国と獣王国の戦争
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35話ワタルの料理・牛カツカレー異世界風・前編

「にゃ?!いつの間に!ワタシがあの距離で気付かにゃいとは......一体どうやったのにゃ?」


 ワタルが今までいた場所と今座ってる黒猫の隣席を向後に見て聞いた。ワタルが移動した事にフラン、セツナにルリは気付いていないらしく、今だにワタルがそこに存在するかのように屯っている。


「ただ単に闇反ダーク・アンチ魔法......四面楚歌だ」

 四面楚歌とは相手にそこに居るかのようにと自分の幻を見せ、特殊な歩行術で脱け出す技である。移動した先でも幽霊のように現れることが出来る。応用すれば、誰にも気付かれずに移動も出来る。ただし、本人のみである。


「......さてと、そろそろ解くか」

 ワタルはパチンと指パッチンをすると魔法が解け正常に戻ったようでフラン、セツナとルリの三人はキョロキョロと辺りを見渡し、黒猫の隣にワタルが座ってるのを確認すると三人共に驚愕していた。


「ワタル、一体どうやったのじゃ!」

 フランの疑問にセツナとルリの二人もコクコクと頷く。

 黒猫に説明した同じ事を繰り返し説明すると、そんな魔法を聞いた事ないとセツナとルリは再び大袈裟に驚く。

 魔法に詳しいフランは「ふむっ」と考え込み、ブツブツと独り言を繰り返し、そのまま部屋を出ていってしまった。


「うん?フランは一体どうしたんだ?」

「にゃぁー、おそらく見たことない魔法を見たせいで、フランの頭の中は魔法の事でいっぱいになってるはずにゃ。こうなったら、部屋に閉じ籠ってしばらく出て来ないにゃ」

「魔王城でもそうだったのか?」

「んーとね、新しい魔法の理論を思い付くと部屋に閉じ籠ってたよ。その際に発生した仕事は幹部やその部下が肩代わりしてた」

 黒猫なら容易にサボる様を想像出来るのだが………フランとなると、しばらく想像しようとするが出来なかった。

 しかし、魔法の事になると別かと思い直した。初めて会った当初、ワタルの娯楽魔法と闇反ダークアンチ魔法に興味津々で特に娯楽魔法の事を知るためにワタルと契約を交わし妻になった程なのだから。


「まぁ、ご飯が出来たらフランを呼ぶか」

「にゃふふふ、ワタルの料理は美味しいから早くするにゃ」

「じゅるり、もう、ワタルの料理無しじゃ生きてられないよ。ルリの料理は酷かったから」

「う、うるさいわね。我が作ったのじゃないし、そこまで言うのでしたら食べてやろうじゃないの」

「きっと腰を抜かすと思うの」

 一言も話に参加してないグリムはズズーっとお茶を飲み自分に被害がかぶらない様に傍観をきめている。

 変なプレッシャーを掛けられ、キッチンに立つワタルは桜花ロウカと共に調理を開始する。


「マスター、まず何から致しましょう?」

 今夜は何を作るか考えると………ふと頭にカレーが浮かんだ。

「玉ねぎをくし型に切って飴色になるまで炒めてくれ」

 タンタンと玉ねぎを刻み、フライパンに油をひき入れて炒める。桜花ロウカは刀だからか、玉ねぎ切っても涙が出ない。ワタルが初めて料理作った際は涙が出て苦手だったのに少しだけ言葉には出さないが羨ましいのである。


 桜花ロウカが玉ねぎを炒めてる間にワタルはオリジナルのミックススパイスを調合する。クミン、カルダモン、シナモン、クローブ、ローレル、オールスパイス、コリアンダー、ガーリック、ターメリック、カイエンペッパー、ジンジャー、ブラックペッパー等々をワタルオリジナルの配合で混ぜフライパンで軽く焙煎していく。これでワタルオリジナルミックススパイスが出来上がった。


「マスター、この位で大丈夫ですか?」

 見事に飴色になっており、このまま食べても美味しそうだ。

「あぁ、大丈夫だ。次にジャガイモと人参を皮を剥いて乱切りに切ってくれ」

 桜花ロウカはワタルに言われた通りに切ろうと包丁を持ち、ジャガイモと人参をまな板に置くと思いきや、包丁とは逆の手で持てるだけ持って空中に放り投げた。

 投げたじゃがいもと人参をとある料理アニメの様な早業で寸分違わず同じ大きさに切り揃われ皿に盛り付けられていた。


「……そんな業教えてないのだが………」

「??何の事ですか?」

 無意識でやったのか?アニメや漫画の中だけと思っていたが実際に出来るものなのか………出来るがやろうと思わない。あんなの武術(戦闘)や魔法だけで充分だ。

 料理は普通に作って美味しく出す。これがワタルの料理に関しての心情だ。曲芸じみた事をやって美味しくなるならやるかもしれないが。


「いや、何でもない。次は鍋に水を入れて、それらを煮てくれ。あっ、これを忘れずに」

 ワタルが懐からコンソメスープのモト(固形)を取り出し、水を張った鍋に入れ火を点ける。

 コトコトとジャガイモが柔らかくなるまで時間が掛かるので、その間にご飯を炊くことにする。

 今回選んだ米は新潟産コシヒカリで、もちろん異世界ミレイヌには存在しない。なので、娯楽魔法の通販ネット・ショッピングを使い取り寄せた。

 米を洗い炊飯器にセットし、これで約一時間程で炊き上がるだろう。


「マスター、ジャガイモが柔らかくなりました。竹串で確認したので間違いありません」

 一番硬いジャガイモが柔らかいのを確認すると、ワタルのオリジナルミックススパイスを投入し、じっくりと煮てトロトロになれば完成だ。

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