表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

うどん屋さんの事件がある朝

「いらっしゃいませー」


 朝から威勢の良い大きな声が街に響く

 チュルチュルと麺をすする音。

 コシがあり、モチっとした食感の食べ物。そうこれはうどんだ。

 このいかにも普通なうどん屋さんにはたくさんの人がうどんを食べに訪れるのだ。

 しかしこのうどん屋さんは他のうどん屋さんと違うところがある。

 それはこのお店があるのが異世界の港町というところだ。

「ぶっかけうどん一つ」

「はいよーぶかっけ一つ」

「若いのによく働くね、マスター」

「いえいえ皆さんにおいしいうどんをお届けするために働いていますから」

「そりゃ、ご苦労さん」

 このマスターこそがここの店主、高木原 啓吾だ。

 あまり背が高いわけでも、顔がイケているわけでもない、そこらの街でも見かけるような人だ。

 そしてこの世界は様々な世界から様々な住人が移り住んでくる。もちろん人間も例外ではないようだ。

「はいよ、ぶっかけうどんね」

「ありがとよ、マスター様。へへへ」

 このぶかっけうどんを注文した男は港の漁師であるドクだ。

 啓吾がこの街にきて、右も左もわからない時に出会った親友だ。

 ドクは啓吾とは正反対で背も高いし、イケメンでモテモテのようだ。

 しかも筋肉ムキムキマッチョマンのおまけ付きだ。

 でも、おふざけが過ぎることが多く、20人ほどの彼女に振られた残念なやつだ。

「マスター、最近はここらでもゴブリンの奴らが出てきたらしいな。どうにも例の組織が関わっているそうだぞ。」

「本当かよ、ここにもあいつらが来てるのかよ。」

「うちの子分がいうには他の港があいつらに荒らされたらしいんだ。だからうちの港も警備が厳重になって来てるんだ。これじゃ夜勤が増えて、彼女ちゃんたちのところに行けねえじゃねーか。」

「そら大変だな。うちも売り上げとか持って行かれないようにしないとな。」

 すると外で叫び声が聞こえた。

「キャーーーーーーーー」

「この声は、俺の姉貴だぞ」

 するとドクは急いでカウンターから立ち上がり店の外に飛び出した。

 周りを取り囲む群衆。

 皆、同じところを見つめていた。

 中には泣きわめく子供などがいたが、ドクにはそれら目に入らなかった。

 群衆の中心では事件の痕跡と見られるものが無数にあったが、ドクは自分の姉を探していた。

 しかしそこにはドクの姉はいなく、無残にも彼女のスカーフと見られる物と飛び散った血痕と数人の死体が転がっていたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ