序章
投稿したのはいいけれど、別の作品をメインで書いてるので多分こっちはあんまり更新しません。
それでも読んでいただけたら幸いです。
「とらにぃ聞こえる?」
桜はトランシーバー越しに寅次に問いかける。
桜は今日の獲物をみつけていた。全身を硬い装甲で覆われたシールドボアが一頭。その巨体を揺らし森を闊歩している。今日の晩御飯兼、収入源だ。
《聞こえるぞ、桜》
寅次からの通信がある。
「シールドボアが一頭、いつも通りここから川の方に誘き出すね」
桜はライフルを構える。
《おう、了解だ。先にまわっておく》
桜は引き金を引いた。ライフルから発射された弾はシールドボアに命中する。しかし、その弾丸は強固な装甲に弾かれてしまう。シールドボアは桜はに気づき突進してくる。
だが、桜はあわてない。
「ライトいくよ。」
桜はライフルを担ぎ走り出す。桜の横に並走するように四肢が機械化した巨大な犬が現れる。半機獣の犬、ライトだ。
「よし、いい子だ」
桜はそのままの勢いで走るライトに飛び乗った。桜は後ろ向きにライフルを構える。桜に体当たりわ食らわせようとしているシールドボアに向けて、また弾を放った。やはり、弾丸は装甲にはじかれてしまう。
ライトは寅次が待っているであろう森の外をめざして走る。
「とらにぃ、あと少しで森を抜ける。準備はいい?」
寅次に確認をとる。返事はわかっている。
《おう、いつでもいいぞ》
桜を乗せたライトは森を抜け、開けた川辺にでた。そこには四輪バギーの隣に青いスカジャンを羽織りハンマーを担いだ男がいた。
「とらにぃ、あとは頼んだよ」
「おう、今日の獲物はでけえじゃねえか桜」
寅次はハンマーに弾薬を装填する。火薬加速方式破砕槌。通称ガンハンマー。硬い装甲に包まれた半機獣をその装甲ごと打ち砕くために作られた対半機獣兵器。
「それじゃあ、いっちょやりますか」
森から、桜達を追ってきたシールドボアが飛び出してきた。
寅次はハンマーをふりかぶり引き金をひく。火薬の破裂音が響き渡る。火薬の爆発力によりハンマーは急激に加速する。寅次は突っ込んでくるシールドボアの頭めがけハンマーを一気に振り下した。
「うおりゃゃ!」
寅次のガンハンマーはシールドボアの頭の装甲ごと頭蓋骨を打ち砕いた。