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<1> To my Vega
金網にしがみつく
羽化し終えた翡翠色の蝉
川縁から
そっと流す空っぽの抜け殻
ミルク色の羽が透き通れば
飛び立つものを見送り今夜は
いつかの
かなしみを溜め込んだ雲
僕は海に降り注ぐ
最初の一滴となり
会いにいくよ
君は
乾いた目をした
この川の果てに広がる海
寄せるたびに汲んでみても
僕の手のひら
いつも足りなくて
流れていく空っぽの抜け殻
どんな想いを詰めても
君をあらわすには
とても足りないけれど
星を流す指先
隠れた雲の向こう
流れつく先が君ならば
枯れ果てた涙さえ
返しにいくから
渇きの中で僕を求めて
満たされる君なら溢れていって
乾いた目をして
空を見上げ
君は
雨の予感のまま
僕のことずっと好きでいて