表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

ゴミの様な場所 -3日目-

「ついてねえ・・・」


汗がふきだして、シャツが体に張り付いて気持ち悪い。

俺の脳みそが良い具合にゆだっている。

空は何も考えて無いような快晴、いわし雲。

日よけにもなっていない茅葺き屋根の隙間から刺すような日差し。

右手に握ったビールもにがよもぎ汁みたいな味になっている。

氷があればぶち込みたいがそんな高級品はありそうもない。

いかん、このまま、野ざらしの髑髏になりそうだ。


「チャウチャウ!」


どよんと髑髏になりかけの俺のシャツを引っ張ってるヤツがいる。

首をその方向に倒すと、浅黒い幼女が微笑んでいた。

髪は伸ばし放題、腰まで伸び、服は着ないよりマシなレベルの丸首シャツを着ている。


「チャウチャウ!」


幼女が汚い笑顔で汚い細い棒状の塊を差し出した。

で、チャウチャウって何だっけ?

もしもし的な挨拶か

茶色い細い棒状は臭いからどうもタバコらしい。

とりあえず10本つかんで指を3本たてた。

幼女は首をふり、生意気にも両手をひらいて7本たてた。

彼女の左手を握って5本に減らしてやった。

幼女はわざとらしい演技で悩んだふりをして、しょうがなさそうにOKを出した。

金を受け取って喜んで去って行ったのを見るとこのゴミタバコ、ここの時価は2かもしれないな。


吹かすと粗悪品独特の強烈な臭いが鼻まで抜けた。

これでしばらくは虫に刺されずにすみそうだ。


ココは言葉も通じない南国のチイキート刑務所

俺は移送されて三日目になる。

この刑務所には、塀もなければ鉄格子もない

まして自分の部屋もない、横に寝るのにはどうやら空き部屋を探すか、自分で掘っ立て小屋を建てるかの二択らしい。

空き部屋を運良く見付けたとしても腕っ節の強いチンピラがどけと言ってくれば、退去しなければいけない、これはまだ良心的な方だ。

同じ日に移送されたヤツは空き部屋に転がり込んで寝てる間に首と胴が別れてた。

ココのルールが分からない間は、茶屋に居座って住人の動向見てる方がいいはずだ。


「ついてないのは仕方ねえ・・・さて、どうしましょうかねえ」

背伸びをしたら、汗とタバコの安い煙とこの土地の赤土の乾いた臭いで目眩がした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ