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Ep,0-1 暗闇にて
――――暗闇の中に“それ”はいた。何も見えない、暗闇の中に。ダレにもナニにも認識されないし、ダレもナニも認識しない。本来ならば、“それ”は存在すらできないはずだった。
死んだ目は何も映さない。
死んだ耳は何も聞かない。
死んだ躰は何も感じない。
だが、その魂は。心はギリギリで、生きていた。とろとろと眠りに微睡みながら、微かな覚醒の可能性を夢見ていた。
不意に、暗闇の中に驚愕の感情が満ちた。暗闇の中に“それ”を知覚して、己の中にそれがあることに驚いていた。
あの日、暗闇の中に溶かしたモノがここにある。それはきっと、偶然ではないはずだ。何かの意味があるだろう。だから暗闇は、それを切り離し外の光へ出すことにした。
例え何の意味もなくても、少しは慰みになると信じて。
というわけで、昔のネタを書き直してみました。
今度こそ完結させたいです。
まずは書けるだけ書くつもりです。