I am a lion.
僕はライオンです。
この頃、太陽が空に昇って見えないところまで沈むことを知りました。一歩進むたびに新しいものを目にします。
そんな僕は今、レオくんに飼われています。僕の爪や牙では歯が立たない丈夫な檻の中に入れられています。檻の中はあまり外が見えないのであまり好きではありません。でも、レオくんが出してくれないので僕はこのままです。
「お前はずっとここにいろ」
お母さんみたいな顔をして、レオくんは僕の頭を撫でます。僕はレオくんが大好きなのでその通りにしました。
僕はライオンです。人ではないのです。それなのにレオくんは僕を大切に大切に檻の中に閉じ込めておくのです。
僕の体はだんだんと大きくなり、もう檻の中は窮屈です。それでもレオくんは僕を出してくれません。僕だってレオくんと同じように外を歩いてみたいのです。レオくん以外に会ってみたいのです。
レオくんはよく泣くようになりました。檻の前で声も出さずに涙だけ流しています。涙が檻に落ちると、鉄格子が溶けていきました。レオくんはずっとずっと泣いているので、たちまち檻は溶けてなくなってしまいました。これで外に出られます。
うーんと伸びをして一走りしました。色んな人に出会いました。驚いた顔をしてみんな僕を見ています。僕がガオーと吠えるとみんな逃げてしまいました。
レオくんのところに戻ってくると、レオくんは前の僕みたいに檻に入っていました。
「レオくん?」
僕はレオくんが大好きなので、大切に大切に檻の中に閉じ込めておきました。