鳶尾峰 下り
結原 千紗:2分39秒718【87位】(スタッフ:2分39秒771)
沖城 希夢:2分34秒609【1位】
姉崎 美季:2分38秒961【2位】
「スタッフは抜いたものの…姉崎先輩を抜かせない……」
結原は、どうやらスタッフではなく“姉崎”を抜かしたいようだ。
それもそのはず。
すでにスタッフゴーストを抜いているのだから。
そして、タイムアタックの特訓が始まる。
1回目:2分39秒900
2回目:2分40秒010
3回目:2分39秒769
4回目:2分42秒405
5回目:2分39秒784
6回目:2分40秒672
さすがに疲れたのか、タイムがどんどん遅くなっていく。
7回目:2分43秒343
8回目:2分42秒600
………
「……ゆっち、そろそろ休憩とりなよ。タイムどんどん遅くなってるし…」
そういって亜希は、結原にジュースを奢った。
「ありがとう、亜希……はぁ、はぁ…」
案の定、疲労が溜まっていた。
亜希から貰ったジュースを飲み、少し回復した。
「どうやったら……あんなに速くなれるんだろう…?」
素朴な疑問だった。
確かに、沖城のタイムは異常だ。
初級の白霧湖を除いて、他のコースは全て、スタッフを数秒も離している。
2位の姉崎は、離しているコースでも“1秒”が限界。
「……まずは、姉崎先輩に届けば、目標達成だけど…」
今は少し目標を低くして、鳶尾峰を攻める。
……休憩をはさんで、1回目。
結原は、ある発見をする。
「あれ…? このコーナー、オーバースピードで行けるんだ…?」
いつもブレーキを使って曲がっていたコーナーが、使わずに曲がれることを知った。
その特徴的なコーナーは、数か所あった。
「……これが上手くいけば、タイムが大幅に短縮できるかも!」
自然とやる気が湧き上がってきて、疲れを知らなくなるほどに覚醒した。
「……よし、やってみよう!」
……この時、結原の“天性の才能”が開花した。
なんと、全てのコーナーにおいて一発で決めたのだ!
「い、1回で出来るなんて……思わなかった…っ」
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第1セクション:-0分00秒203
第2セクション:-0分00秒634
第3セクション:-0分00秒020
最終セクション:-0分00秒584
セクション合計:-0分01秒441
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出たタイムは、
2分38秒277
………なんと、姉原を追い抜いて2位に浮上した!
あとは、沖城の最高記録
2分34秒609
を狙うのみとなった。
次回:秋野 亜希の、白霧湖 左周り