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追憶封竜記  作者: 呂弦
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本編

追憶封竜記

地のレックス族の御門(みかど) (りょう)はため息をついた。

その原因は目の前で仁王立ちしている炎のレックス族の女子生徒にある。

彼女の名は(みなと) 花音(かのん)

風紀委員会の委員長でありながら校内の風紀を乱している張本人でもある。

「で、この紙はなんだ?火炎女」

燎は火炎女と呼んでいるのは何かあると炎魔法を使って校舎を黒焦げにするからだ。

「部活の申請書に決まってるでしょ。あなた達生徒会が発行してる書式なんだから言わずもがなでしょ」

「申請書に書いてあることについて聞いてるんだ」

「部員も揃って部室も既に確保してるからいいじゃない」

「問題はそこじゃない。なんで俺が副部長になってるんだ?」

「貴方が副部長なら生徒会にも話が通しやすくなるでしょ」

「はぁ…。そこは一旦置いておくとして活動内容が意味が分からないんだが」

「最近起きてる異変のことを調べてるのよ」

「それなら生徒会でもそれについては調べてるが?」

「私の方が先に調べてたのよ」

「お前の捜査ごっことは違うんだよ」

「私は本気で調べてるのよ。最近起きてる竜族の暴走事件のことを」

「だとしたらその調べたデータを魔道警備隊にでも提出したらいいんじゃないのか。ツテはあるだろ」

「警備隊を出し抜いて事件を解決したらこの探偵部も公認されるわけでしょ」

「そのヘンテコな部活は何度言っても認可はしないぞ」

「だから、貴方の手を借りたいのよ」

「お前の捜査ごっこに付き合うほど暇じゃないんだ」

「だからこっちも本気で調べてるのよ」

「埒が明かないからこの話は終わりな」

そう燎が言い立ち上がり花音の横を通り過ぎようとしたら目の前が赤く光り思わず燎は避ける。

その光は花音が炎の(ファイアーフィスト)によって花音の拳に炎が纏ったことによる光だった。

炎の拳は生徒会室の柱に当たり、当たった箇所は黒く焦げていた。

「次は本気で当てるわよ」

「勘弁してくれ。この修繕費は生徒会の予算から出てるんだ」

本来なら部員が所属している部活に修繕費を請求するのだが、公認していない部活に所属していた場合は生徒会が負担することになってるり

「なら、認可すれば良いじゃない」

「分かったよ。ついて行けばいいんだろ」

「分かればいいのよ」

傍から見れば公認すれば脅しに屈することも無いが公認した場合は燎が正式に副部長になるのでそれだけは避けたかった。


部室に向かう道中、花音は事件の詳細をまくしたてる。暴走事件が多発しているのに原因が未だに分からないのが不気味だとか話している。

探偵部の部室に着いたので事件の話を止める。

燎はいつもこの部屋に来るとため息が出る。

その理由は目の前にある部屋にある。

書庫と書かれた表札の上に突貫工事感満載の段ボールで作られた探偵部と

書いてある表札が原因なのを花音は知らない。

この部屋は元々は図書室に置ききれない本を置く書庫だった。

図書室を学園の校舎内ではなく別館内に新設したため書庫に収納されていた本も

そちらの図書室に併設された書庫に収納された。

校舎内に残っている旧図書室は各部室の備品を置く倉庫になっている。

風紀委員が書庫の整理を任されたので花音は

書庫が空く情報をいち早く掴み勝手に占拠して部室として使っている

何とも迷惑なことをしているのだが花音からすると千載一遇のチャンスとしか思っていない。

書庫に隠し部屋を作ってそこに書庫からくすねた本をしまっているという噂もある


花音は部室に入る前に腕に着けていた炎属性を示す赤色の魔法石をあしらったヘアバンドで髪をまとめた。

花音は部室のドアを開けると

「皆!遂に御門副部長が来たわよ」

副部長になった覚えは無いと燎は思いつつ

部屋に目を向けると長い付け爪を器用に使って携帯端末を触っている派手な見た目の女子生徒と本を読んでいる眼鏡をかけた男子生徒が向かい合うようにソファに座っていた。

派手な見た目をしている女子生徒は(くぬぎ) 香李(かおり)という雷のワイバーン族の1年生の生徒だ。燎と花音の1年後輩に当たる。見た目は服装規定と髪色規定を逸脱している。そのうえ校舎の屋上で雷実験をして教師や生徒会を悩ましている存在でもある。花音と二人合わせて雷炎コンビ(サンダーファイアーコンビ)という呼ばれ方をしてる。こちらを向く時に雷属性を示す黄色の魔法石をあしらったイヤリングが揺れる。

本を読んでいる眼鏡をかけた男子生徒は不動(ふどう) (まこと)という毒のサーペント族の1年生の生徒だ。香李と同級生で花音と燎の1年後輩に当たる。見た目は香李と違い規定に沿った服装と見た目をしており首に着けてるチョーカーには毒属性を示す紫色の魔法石があしらわれている。

2人はこちらを見るなり

「先輩!遂に来てくれたんですか!コーヒー淹れるのでここに座ってください」

「椚さんが淹れるコーヒーいつも甘すぎて御門先輩の口には合わないので、僕が代わりに淹れます」

2人は口々に話しながら燎を歓迎する。


燎は甘すぎるコーヒーを飲みながら、色んなことをまとめた内容が書いてあるホワイトボードを見る。

「どう?発生場所以外は分からないから困ってるのよ。貴方の知恵を貸してちょうだい」

「ここに書いてない内容でもいいか?」

後輩の2人は期待を込めた感嘆の声をあげる。

「良いわよ」

「記憶石が盗まれた、または一部が盗まれたってのは有り得るか?」

「有り得るも何もそんなこと可能なの?」

「過去に例がないから分からないが、それなら辻褄が合いそうなんだよな」

「どういうこと?」

燎以外のメンバーは首を傾げる

「魔法の制御って魔法石がやってるわけだろ?てことはその大元の記憶石に異常が起きないとそもそも異常が発生しないんだよ」

「確かにそうね。でも、記憶石はサーペント族の神殿にある訳よね?それに触れることって可能なの?」

「不動。可能なのか?」

「司祭じゃないと分からないですね…。あっ!知り合いというか図書委員長の親御さんが司祭をやってるのを聞いたことあります」

「じゃあそいつに聞いてみるか」

「先輩。私も知り合いに情報通がいるので二手に分かれませんか?」

「その情報通は多分俺の知り合いでもありそうだな」

「じゃ、私と香李で図書室に行ってみるわ」

「それは却下だ。お前ら二人を一緒にさせたら新設された図書室が黒焦げになる」

「じゃあ、僕と湊先輩で図書室に行きますね」

「それがいいな。情報を集めたらまたここに集合ってことで」


燎は香李に案内されて風のワイバーン族がいる場所に来た。

燎は本日二回目のため息をついた。

その理由は目の前の広報部の部室にあった。

広報部という名前だが学園内のどうでも良いゴシップ情報ばかりを発信している部活には

生徒会に所属している燎としてはいつも頭を悩ませている。

そしてその悩みの種は部室の扉を開けた先にいる。

風のワイバーン族の工藤(くどう) (のぼる)に香李が声をかけると昇はこちらを見る。

昇は立ち上がって近くの机に置いていた。

風属性を示す緑色の魔法石をあしらった指輪をはめ直してこちらに近づいてくる。

「やぁ、そろそろ来る頃だと思ったよ」

「やっぱりお前か…。まともな情報は持ってるんだろうな」

「今回ばかりは有力な情報だよ」

「立ち話もなんだしここに座りなよ」


香李と燎は席に座ると燎は昇にこれまでの経緯を話した。

「今回の暴走事件について知ってることはないか?」

「実は今回の情報に信憑性があるのは事件を起こした本人達に話を聞いてるからなんだよ」

「いつものこたつ記事じゃないのか」

「心外な。ジャーナリストたるもの常に足を使うものだよ」

「足を使っているのに内容がアレなのはどうかと思うぞ」

「アレって失礼だな」

「話が逸れたな。話を戻して暴走する前に予兆とかあったのか?」

「それが、全くないんだって。いきなり暴走したみたいだよ」

「原因はこれだけじゃ特定できないか」

「ただ暴走を起こした竜族にはある共通点があることは判明したんだよね」

「どんな共通点があるんだ?」

「共通点は黒い霧の形をした竜に出会ったってことだけ」

燎は心当たりがあったが、突飛すぎると思われたくなくて口を噤んだ。

しばらく沈黙が続く。

「とりあえず、情報ありがとな」

二人は誠と花音がいる図書室に向かうことにした。


「御門先輩。何か知ってますね」

「そうだね。ララ、この黒い霧の竜について調べておいて」

「承知しました」


誠と花音は学園と別館を繋ぐ連絡通路を渡り新設された図書室に向かっていた。

「いつも思うけど、御門って私の事を信用してないわよね」

普段の行いのせいだと誠は言いたいが揉めたくないので愛想笑いで誤魔化した。

「それにしても図書館まで長いわね」

「その分、前より広くなったし良いじゃないですか」

花音と誠は仲良く話しているが

花音は炎のレックス族で誠は毒のサーペントだ。炎のレックス族と毒のサーペント族は犬猿の仲と言っていいほど相性が良くないことは竜族の間では有名な話だ。

なのにこの部活に毒のサーペント族の誠がいる理由は花音が誠を水のサーペント族だと勘違いして声をかけたからだそう。

毒のサーペント族は荒っぽい性格をしているか陰湿っぽい性格をしている。

そのどちらにも当てはまらない誠はパッと見だと温厚で知的そうな見た目をしているので水のサーペント族と勘違いしても無理はない。竜族は各属性を示す色をしている魔法石を身につけることを義務化されているのでそんな間違えは本来なら起きないはずだ。

花音が誠に声をかけた日は誠がたまたまチョーカーを修理に出していて見た目だけでは毒のサーペント族と判別できなかったからという特殊な事情があるからだ。


別館に着き図書室の扉を開け中に入るとそこには水属性を示す青色の魔法石をあしらったアクセサリーをつけた生徒が複数人いた。

水のサーペント族である(にしき) 槭樹(かえで)は図書委員会の委員長をしていて

放課後は図書室で司書をしているが

見当たらないので誠は顔見知りの生徒に声をかけて槭樹がいないかを尋ねる。

「委員長ってどこにいるか知ってる?」

「委員長なら今日は家の用事で早くに帰られましたよ」

「えっ。それは初耳だなぁ。どうしよう…」

「何で同じ委員会の誠が知らないのよ。怪しいわね」

「水のサーペントと毒のサーペントはクラスが違うので知らなくても無理はないですよ」

「ホントかしら?何か隠してたりしない?」

「あら、炎のレックスは毒のサーペントだけじゃなくて水のサーペントにも絡むのね」

後ろから誰かに呼ばれて振り返るとそこには毒のサーペント族の生徒がいた。

派手なネックレスには毒属性を示す紫色の魔法石をつけている

「何よその言い方!」

その毒のサーペント族の生徒の言動に対して怒りを覚えた花音は胸ぐらを掴み

攻撃を仕掛けようとした。

「単細胞のレックスの攻撃なんて痛くも痒くもないわよ?」

先程、花音に詰め寄られていた水のサーペント族の生徒と誠はオロオロして二人を止めようとする。

「2人ともここで揉めないでください」

花音の髪が赤色に変化し毒のサーペント族の女子生徒の髪が紫色に変化する。

攻撃が始まる瞬間に黄色の閃光が走り二人は体が痺れてその場に倒れる。

その閃光の正体は香李が使った雷魔法である。

奇跡的なタイミングで図書室に着いた燎と香李は図書室の一画で強力な魔力反応を

感知して駆けつけたのだ。

「ったく。新設された図書室を丸焦げにする気か。椚。助かった」

「いえいえ。これくらいお手の物です」

「邪魔したな」

燎は香李の電気魔法を喰らって伸びている花音を担いで近くにいる水のサーペント族の生徒に伸びている毒のサーペント族の生徒の介抱を頼み図書室を後にするのだった。


「ったく。揉め事を起こすせいで錦から話が聞けなかったじゃないか」

「それなんですけど、今日は不在と言われました」

「なら、何で揉め事が起きるんだ」

「いつものやつです」

「なるほどな」

いつものやつと言うくらい花音は毎回、毒のサーペントに絡まれては喧嘩寸前になる。


部室に戻り燎は伸びてる花音をベッドに寝かせる。

「で、お前は何でここにいるんだ」

広報部の部長である昇はソファでコーヒーを飲みながら寛いでいた。

「なんか面白そうな事が起きてたから先回りして待ってたんだよ」

「お前の面白そうは大体面倒なことが多いから出来れば居ないで欲しいんだが…」

「実は、あの時聞き忘れたんだけど御門君が面白い情報を持ってるよね」

「面白いかどうかはともかくある仮説は既に出てる」

「流石、先輩ですね」

「その仮説って何かな」

「創世記に載っている封印された竜の封印が解けたんじゃないかって説」

「それは有り得ないはずよ」

目を覚ました花音は否定をする。

「どうせ、おとぎ話だからそもそも存在しないとか言いたいんだろうが、これが事実ならかなり面倒なことになるぞ」

「確かに、僕たちには手に負えない案件だね」

「それを解決したら探偵部は晴れて公認の部活になるのよ」

「解決する前に何かあったらどうする。とりあえずこの案件は手を引くのが1番な気がする」

「そんなこと言って私たちを出し抜いて生徒会の手柄にする気でしょ」

「そんなことはしないぞ。この案件を報告書にまとめて警備隊に送るだけだ」

「その報告書をきっかけに解決をしたら誰の手柄になるのよ」

「報告書を提出した生徒会の手柄だな」

「ほら、言わんこっちゃない。広報部の部長さんもこれには不服でしょ?」

「そうだね。また変な記事を書かれたくないなら御門君は協力してね」

「誠。これって脅迫に当たると思わないか」

「どっちもどっちですよ。とりあえず委員長に明日聞きに行きましょう」

「それもそうだな」

燎の一言で一同は解散をしその日はお開きになった。


翌日になり燎は想像以上に面倒なことになりそうだと思い独自に調べるために生徒会室で調べ物をしようとした。

「今日は止めにこないのか…。まぁ、それが一番平和なんだけどな」

燎が生徒会室に向かう途中で花音が毒のサーペント族の生徒と揉めているのが見える。

またいつものことかと思いため息をつき大ごとになる前に止めようとしたら毒のサーペント族の生徒の様子に違和感を感じて少し様子を見ることにする。

花音は昨日の反省から喧嘩腰にはならないが絡まれていることに苛立っているのが表情から見える。

毒のサーペント族の生徒は痺れを切らして魔法を放とうとするので燎は止めようとするが

その魔法が本来なら毒のサーペント族が使わない魔法だった。

「お前、校舎内での魔法使用は校則違反だ。止めろ」

「邪魔するな!」

毒のサーペント族の生徒が燎に向かって魔法を放つので燎は咄嗟に防御魔法を使って身を守った。

「え?あ…。私は知らない!」

毒のサーペント族の生徒は我に返ったように驚きその場を立ち去った。

「待ちなさい貴方!」

「やめておけ」

花音が生徒を追おうとするが、燎に腕を掴まれる。

「何で止めるのよ」

「明らかに様子がおかしかった」

「だから、聞きに行くのよ」

「周りを見てみろ」

花音は周りを見渡すと騒ぎを聞きつけた生徒が集まっていた。

「これ以上目立つ行動はとるな。とりあえず部室に行くぞ」

燎はまた調べ物ができないと内心ガッカリしていた。


「で、私を呼んだと」

先ほどの騒ぎを遠巻きに見ていた槭樹を部室に呼び昨日の話をする。

「確かに湊さん以外の火のレックス族と毒のサーペント族も争いが増えてるね」

「だろ。誠だけ暴走していないのかは分からないが明らかに増えている」

「私以外ってところに引っかかるけど最近の毒のサーペント族は変なことを口に出しているわ」

部室には槭樹以外にも探偵部一同と昇もいる。

「それ、僕のクラスでよく聞きますよ確か『火のレックスは毒のサーペントを潰そうとしている』とかなんとか」

「で、その話は本当なの?湊さん」

槭樹は少し呆れ気味に聞く

「そんな訳ないでしょ。そんなの毒のサーペント族の妄言よ」

「これも最近の異変が原因だとしたら、早めに原因を見つけないとマズイな」

「そういえば、何で委員長は昨日は早めに帰ったんですか?」

「それは、しばらく母が入院していたんだけど、ようやく昨日退院したんです」

「それは良かったですね」

「で、その入院した理由は何だ?」

「母が言うには儀式の最中に何者かに襲われたってことなんだけど、記憶石にはそんな記録が残ってないんですよね」

「御門くんの推理は当たってるんじゃない?」

「つまり、儀式の最中に司祭が襲われた後に記憶石の一部が盗まれて記録が残ってない上に記憶石の一部が欠損したことで各地で異変が起きてるってことなのね」

「で、その盗んだ犯人が封印されていた禁忌の竜の可能性があるってことですね」

「そもそも封印が解けることはあり得るのか?」

「そればっかりは私にも分からないです」

「おとぎ話に近い話だからしょうがないですよ」

「そもそもそのおとぎ話が事実を綴ったものならどうなる?」

「御門くんはずいぶん突飛なことを言うね」

「あくまでも仮説だ。過去に起きてないから有り得ないと考えるのもあんまり良くないしな」

「で、おとぎ話と言われてる資料はあるの?」

「創世記だろ?それなら誰かさんが書庫からくすねてからずっとそこに置きっぱなしだよ」

「湊さん!それ本当ですか!?」

「まだ、私って話してないのに何で決めつけてるのよ」

「ちなみに、創世記の本はくすねてないわ。いつかは分からないけどそこに置きっぱなしなのよ。不気味だから私も触れてすらいないわ」

「とりあえず、創世記を読んでみるか」


始祖の神ソフィアが秩序の神ノクスと混沌の神アルを生む。

秩序の神ノクスは

虚無の女神ノヴァリアを生む。

混沌の神アルは

大地の女神グラナ・嵐の女神エアリス・静寂の女神ミリュエルを生む。

虚無の女神ノヴァリアは自身の力を反映した虚の属性を持った竜族ノルヴァスを生む。

大地の女神グラナは炎の女神テラノヴァを副神として生み。

自身は地の女神となり主神になる。

嵐の女神エアリスは雷の女神ストライカを副神として生み。

自身は風の女神となり主神になる。

静寂の女神ミリュエルは自身の力の分散を恐れて副神を生むことを拒んだ。

これに対して大地の女神と嵐の女神は抗議をしたが混沌の神アルが許諾したことですぐに抗議は収まった。

炎の女神と地の女神は更に自身の力を反映した炎と地の属性を持った竜を生む。

嵐の女神と静寂の女神はこれ以上の力の分散を恐れて自身の力を持った

竜を生むことを拒んだ。

これに対して炎の女神と地の女神は抗議をしたが混沌の神アルが許諾したことですぐに抗議は収まった。

炎の女神と地の女神の力を反映した竜はそれぞれが対立を起こして争いが絶えなくなる。この争いを傍観していた大地の女神に対して嵐の女神と静寂の女神は竜同士の争いを酷く煩わしく思っていた。

これに対して嵐の女神と静寂の女神は抗議をしたが混沌の神アルは自身に抗議するのでなく女神同士で相談しろと咎める

大地の女神に相談をして竜の数を3つに分割して嵐の女神のいる場所に連れていかれた竜は翼を得て空を飛べるようになる。

静寂の女神のいる場所に連れていかれた竜は足が退化して水中を泳げるようになる。

そして争いを起こさぬように大地を3つに分割して大地の女神のいる領域は山々がそびえ立つ巨大な大陸になり嵐の女神のいる領域は天空に浮かぶ空島になり静寂の女神のいる領域は深海に沈む海底大陸になる。

そしてこの大陸の分割に不満を持つ者がいた。

それはノクスが生んだ虚無の女神ノヴァリアと虚の属性を持つ竜ノルヴァスである。

秩序の神ノクスが生んだ女神は混沌の神アルが生んだ女神達の争いに巻き込まれて

自身の力を反映した虚の属性を持つ竜を半数以上を失ってしまった。

虚無の女神はこの自体を秩序の神ノクスに報告をしたところ秩序の神ノクスは激しく怒り混沌の神アルに謝罪をすることを条件にした。

最後通牒を申し出たが混沌の神アルはその条件を承諾しなかったため秩序の神ノクスは混沌の神アルが生んだ女神に対して宣戦布告をして秩序の神ノクス率いる軍団と混沌の神アルが生んだ女神軍団で大規模な戦争が起きる

結果は火を見るよりも明らかであった。

数的不利だった秩序の神ノクス陣営は敗北してしまった。

混沌の神アルは調停をする立場になったことを利用して煩わしかった秩序の神ノクス・虚無の女神ノヴァリア・虚の属性を持つ竜ノルヴァスを3人の女神が治めている場所に封印することにした。

秩序の神ノクスはこの仕打ちに耐えられなくて封印される間際に大地の女神・嵐の女神・静寂の女神に対して呪いをかけた。

しかし大地の女神と嵐の女神は副神の女神がいたので呪いはすぐに解くことができた。だが静寂の女神は副神の女神を生んでいなかったので呪いに苦しんだ。

静寂の女神は自身の死を恐れて無理やり副神を生むことにしたが

ノクスの呪いが少し残った副神が生まれてしまった。静寂の女神は水の女神になり呪いは解けたが副神は呪いが残った影響で

不完全な状態になり毒の女神ヴェノラが生まれてしまった。炎の女神と地の女神が生んだ竜は恐竜に見えることからレックス族という名が与えられた。

風の女神と雷の女神が生んだ竜は

翼竜に見えることからワイバーン族という名が与えられた。

水の女神と毒の女神が生んだ竜は

蛇竜に見えることからサーペント族という名が与えられた。

地のレックス族・風のワイバーン族・水のサーペント族はいずれ復活する秩序の神ノクスに対抗するために神器を製造した。

地のレックス族は大地の戦鎚

風のワイバーン族は風の竪琴

水のサーペント族は叡智の書

を製造してノクスからの呪いから身を守るために三種の神器を用いてあるものを製造した。叡智の書から得た知恵と記憶を封じた水晶を大地の戦鎚を振るった時に出た

溶岩石で覆い風の竪琴から出た風の音色を注入した魔法石という護石を

各属性の女神がそれぞれの力を宿した状態で竜族に給うことにした。

秩序の神ノクス・虚無の女神ノヴァリア・虚の属性を持つ竜ノルヴァスは

それぞれの地に封印されノルヴァスが封印された場所は禁忌の大地に、ノヴァリアが封印された場所は禁忌の空島に、ノクスが封印された場所は禁忌の海域と

後に名前で呼ばれるようになる。

炎のレックスと地のレックス同士の争いは竜大戦と呼ばれるようになった。

それからかなりの時が経ちノクス陣営と三女神陣営の戦争は領域戦争と呼ばれるようになる。


創世記を読み終えて部室には沈黙が広がる。

「これが本当かどうかはともかく封印されている場所が分からないとどうしようもないな」

「本の最後のページに何か挟まってますよ」

「これは地図…か?」

燎は挟まっていた紙を広げると今とは違う地形の地図が描かれていた。

「今の地図とかなり違いますね」

「封印された場所を今の地図と照らし合わせてみるか」

燎は今の地図に重ね合わせると、とあることに気づく。

「これは…」

「異変の発生場所と封印された場所が近いわね」

「でも、ほとんどは封印された場所とは離れてるけどね」

「これは、仮説なんだが、封印された場所と異変の発生場所と重なってる所が禁忌の大地なんだが…」

「ノルヴァスの封印が解かれた可能性があると」

「今までの目撃情報からそういう仮説を立て方がいいだろうな」

「ただ、そうなるとノルヴァスの動機が分からないわ。それにどうやって封印を解除したのよ」

「確かに。そんな事したら記憶石が警告をするはずね」

「警告を出さずに密かに解除する方法があるのかな?」

また、部室に沈黙が広がるがその沈黙を破ったのが香李だ。

「とりあえず図書室で資料を見に行きましょうよ」

香李の言葉に一同は頷き、探偵部の部室を後にした。


案の定、というか想定通りと言うべきか。

新設された図書室に着いた一同は、すぐに創世記関連の棚へと向かった。しかし、そこに並ぶべきはずの本は一冊も残っていなかった。

「え……ないんですか?」

槭樹が呆然と呟く。

「私が休む前の日までは、確かにこの棚に揃ってました。創世記関連の資料は全部ここに……」

その言葉を聞いた瞬間、花音の視線が鋭く槭樹を射抜いた。

「ふぅん。ずいぶん都合がいいわね。ちょうどあなたが休んだ日に、全部なくなってるなんて」

空気が一瞬で張り詰める。

燎は慌てて二人の間に割って入った。

「待て待て、落ち着け。もう一度揉め事起こす気か。……ここには生徒会権限のある者しか入れない特別書庫がある。そこならまだ残ってる可能性があるぞ」

一同は急いで奥にある特別書庫へと移動した。

しかし、そこでも結果は同じだった。

創世記関連の書籍は、跡形もなく消えていた。

「……万策尽きたな」

燎が深いため息をつく。

香李が肩を落とし、誠も眼鏡を押し上げながら小さく息を吐いた。

花音は悔しげに唇を噛み、槭樹は申し訳なさそうにうつむく。

「今日は一旦解散だ。頭冷やして明日また考えよう」

燎の言葉に全員が頷き、探偵部の部室へと戻る道をそれぞれ歩き始めた。


だが燎だけは違った。

とあることを思い出した彼は、一人で生徒会室へと足を向けた。

生徒会室には誰もいなかった。

静まり返った室内で、燎は目的の本を探すため本棚を漁り始めた。

指先が埃を立てる中、背後に気配を感じて振り返った瞬間——

そこに立っていたのは、黒い霧に包まれた人間の姿だった。

燎の背筋が凍った。

(こいつが……暴走事件の元凶だ)

即座に戦闘態勢を取る。

しかし黒い霧の人物は、まるでこちらの動きなど予想していたかのように、静かに口を開いた。

「……本が置いてある場所は、図書室だけじゃないのか」

その呟きと同時に、燎は地を蹴って攻撃を仕掛けた。

だが拳は空を切り、反撃の衝撃が腹部に突き刺さる。

体が吹き飛び、背中が壁に激しく叩きつけられた。

「ぐっ……!」

動けない。

視界が揺れる中、霧の人物は生徒会室の本棚に並ぶ本を次々と抱え上げ、まるで煙のようにその場から消えていった。

消える直前、燎の耳に掠れるように聞こえたのは——

「……律」

という一言だった。

意識が遠のく。

どれくらいの時間が経っただろうか。

ぼんやりと聞こえる声に、燎はゆっくりと目を開けた。

「燎! 大丈夫!?」

目の前にいたのは、花音だった。

彼女は慌てた様子で燎の肩に手を置き、声を震わせている。

「……湊か どうしてここに……」

「貴方の様子が気になって、こっそり後をつけてたのよ! 物音がしたから急いで入ってきたら……こんな状態で倒れてるんだもの!」

花音は唇を噛みしめ、悔しそうに目を伏せた。

燎は痛む体を起こしながら、掠れた声で言った。

「……事件の元凶に、遭遇した。黒い霧に包まれた人間だ。……そいつが消える瞬間、『律』と名乗るのを聞いた」

花音の目が見開かれた。

これまで燎の仮説を半信半疑で聞いていた彼女だったが、その表情がゆっくりと変わっていく。

「……信じるわ」

小さく、しかしはっきりとした声で、花音は言った。


翌日の放課後、燎が部室に入るといつものメンバーが先に揃っていた。

花音が昨日起きた事件について話していた。

「遂に、黒幕の律とやらが姿を現したらしいのよ」

「お前は何を話しているんだ。律って名前も本当か分からないのに変に吹聴しないでくれ」

燎は呆れながらそう返す。

「でも、結局手掛かりになるものは全て奪われてしまったんですよね」

「そんなことがあろうと思ってここにあるものを隠しているのよ」

「湊さん。また変なことをしようとしてます?」

「まぁ、とりあえずこれを見てみなよ」

花音は部室の奥にある隠し扉を開け、大量の創世記関連の古書が並ぶ棚を誇らしげに皆に見せた。

「見て! これが私が書庫移動の時にこっそり確保しておいた本よ!ノクス、ノヴァリア、ノルヴァスの封印に関する記述が山ほどあるわ。これで一気に調べられる! 律の正体も、黒い霧の正体も、全部暴いてやる!」

香李と誠が感心したように表情を明るくする。

昇も期待の眼差しを向けた。

槭樹は少し呆れたようにため息をつく

しかし、燎だけは腕を組んだまま、表情を硬くしたままだった。

「……花音。それ以上調べるのは危険だ」

花音がぴくりと眉を上げた。

「は? 何言ってるのよ、燎。昨日律に襲われたばっかりなのに、ここで止めるわけないでしょ!むしろ今がチャンスで——」

「違う」

燎は花音の言葉を遮り、静かだが強い口調で続けた。

「俺は昨日、律と直接対峙した。あいつは本気で俺たちを潰しに来る。しかもただの暴走事件なんかじゃない……神話レベルの化け物が絡んでいる。

 これ以上みんなを危険な目に遭わせたくない。特に花音、お前を巻き込むわけにはいかない」

部室内に重い沈黙が落ちた。

花音が拳を握りしめて一歩前に出る。

「巻き込むって……燎、何様のつもり?私たちはもうとっくに巻き込まれてるのよ!それに、探偵部はみんなで事件を解決するために——」

「だからこそ、俺は降りる」

燎の言葉に、部室の空気が一瞬で凍りついた。

「この事件から手を引く。生徒会副会長として、後のことは責任を取る。お前らは……好きにしろ。でも、俺はもう関わらない」

花音が絶句する。香李と誠が顔を見合わせ、昇と槭樹も驚きの色を隠せない。

燎はそれ以上何も言わず、部室の扉に向かって歩き出した。

「燎!待ちなさいよ!」

花音の叫びを背中に受けながら、燎は静かに扉を閉めた。


燎は生徒会室の扉を静かに閉め、誰もいない室内を横切り、本棚の奥にある特定の位置を押した。

カチッという小さな音とともに、隠し扉が滑るように開く。

そこは生徒会役員のみが知る秘密の書庫だった。

埃っぽい空気の中、燎は革製のハードカバーのノートを取り出し、ノクスに関するページを開いた。

挟んである地図には、ノヴァリアの封印場所である「禁忌の空島」に赤い印が打たれている。

「律にノルヴァスが憑依しているなら……次に狙うのはノヴァリアの封印だ」

燎はノートを閉じ、地図を懐にしまった。

花音たちを巻き込むわけにはいかない。

この先は一人で動くしかない——そう決意して、彼は生徒会室を後にした。


部室に残された面々は、しばらく言葉を失っていた。

香李がソファの背もたれに体を預け、ため息をつく。

「先輩……本気で降りるって言っちゃったよ。どうするの?」

誠も眼鏡を押し上げながら小さく頷いた。

「確かに危険だけど……僕たちもここまで来て、手を引くわけにはいかないよね」

花音は拳を握りしめたまま立ち上がった。

「もちろんよ! 律って奴が本当にノルヴァスなら、封印が解けたかどうかを確かめに行くしかないわ。禁忌の大地——ノルヴァスの封印場所よ」

香李と誠が同時に顔を見合わせ、すぐに立ち上がる。

「じゃあ私たちも行くよ」

「僕もです」

花音は昇と槭樹に視線を向けたが、二人は静かに首を振った。

「俺たちは……今回は遠慮しとくよ。迷惑かけちゃ悪いし」

「私も、ちょっと調べておきたいことがあるから」

花音は軽く頷いた。

「わかった。無理についてこなくていいわ。でも、もし何かあったらすぐ連絡して」

三人は部室を出て、手帳に記した禁忌の大地近くの街へと向かうことにした。

花音は内心で呟いた。

(燎……あんたはきっと禁忌の空島に向かってるわね)


転移石の光が消えると、そこは禁忌の大地にほど近い街だった。

花音は香李と誠に指示を出し、別行動を取る。

香李は市場、誠は図書館、花音は馴染みの鍛冶屋へ。

集まった情報はどれも一致していた——

「人間が、大量の食料を買って神殿跡の方へ向かった」

「創世記の古い写本を熱心に読んで、封印に関するページをメモしていた」

「黒い靄のようなものが、神殿跡の方へ消えていった」

三人は噴水広場で合流し、すぐに神殿跡へと急いだ。

瓦礫だらけの地下への道だけが、不自然に片付けられていた。

細い通路を抜けると、古い教会のような空間が広がる。

埃っぽい空気、薄暗い光に照らされた竜の彫刻、そして中央の講壇。

講壇の下に空の窪みがあった。

「封印……本当に解かれてる」

花音が呟いた瞬間、誠の首に黒い何かが巻きついた。

「ぐっ……!」

黒い蛇のような姿をした人間が現れ、ミストと名乗った。

「秘密を知られた以上、逃がすわけにはいかない」

花音が即座に炎の拳を放つが、ミストは軽く躱す。

巨大な蛇の姿に変わり、三人を飲み込もうとしたその時——

ミストが突然苦しみ出し、霧のように崩れて消えた。

三人は呆然と立ち尽くし、急いで学園へ引き返すことにした。


一方、燎は禁忌の空島に到着していた。

強風が吹き荒れる中、地属性の魔法で瓦礫をどかし、地下への道を発見する。

巨大な庭園のような空間に出たところで、背後に気配を感じた。

振り返ると工藤昇が立っていた。

「風の声が教えてくれたんだ。御門君がここに来るって」

安堵したのも束の間、今度は別の気配。

黒い霧に包まれた律が現れ、燎に襲いかかった。

激しい攻防の末、燎と昇は追い詰められる。

その時、青い光が律の顔を掠めた。

「二人とも、大丈夫!?」

駆けつけた槭樹が結界を張り、律に追撃を加える。

律は腕を負傷し、悔しげに霧となって逃走した。

槭樹は回復魔法をかけて、学園へ戻ることを提案した。


霧の中で逃げていたノルヴァスは、負傷した腕を押さえながら箱からノヴァリアの封印を解いた。

ノヴァリアは静かに状況を聞き、すぐに提案した。

「今すぐノクスを復活させるのは危険よ。アルに口実を与えるだけ。まずは律に全てを話して、協力を仰ぎましょう」

ノルヴァスは不満を露わにしたが、ノヴァリアの言葉に渋々従った。

律の体から離脱したノルヴァスは霧となって消え、代わりにノヴァリアが律に憑依した。

律が目を覚ますと、目の前に黒い霧が浮かんでいた。

ノヴァリアは丁寧にこれまでの経緯を説明し、深く謝罪した。

「君を巻き込んでしまった……本当に申し訳ない」

律は複雑な表情を浮かべながらも、こう答えた。

「このままノルヴァスの暴走を放っておけない。探偵部のみんなに、協力したい」


学園に戻った一同が探偵部の部室で情報を共有していると、突然扉がノックされた。

警戒しながら開けると、そこに立っていたのは律だった。

花音が即座に炎の拳を構えて襲いかかるが、律は軽くいなし、両手を挙げた。

「敵意はない。協力したい」

燎が花音を制し、律を部室に入れる。

律の目が黒く染まり、ノヴァリアの声が響いた。

ノヴァリアは律の体を介してこれまでの出来事を説明した。

そして、盗んだ本を全て返すと宣言した。

花音はようやく警戒を解いた。

ノヴァリアは律の記憶を読み取り、ある秘密を知った。

花音の親戚が律の追放事件に関与していたこと、そして誠が律の親戚であること——

それは今は言えないと、心に留めた。


ノヴァリアは燎と二人きりで話したいと申し出た。

部室の外で向かい合い、ノヴァリアは静かに語り始めた。

「今回の出来事は、アルが意図的に引き起こした可能性が高い。私はアルに一泡吹かせてやりたい」

燎は腕を組んだまま、淡々と答えた。

「神々の思惑はどうでもいい。今はノクスが完全に復活するのを阻止するのが最優先だ」

ノヴァリアは頷き、ノクスの封印箱が禁忌の海域の神殿にあることを教えた。


二人が話し終えると、背後から声がした。

「ずっと聞いていたわ」

槭樹が立っていた。

「箱はもう、サーペント領内の神殿からここ——旧書庫、つまりこの部室に移されている。事件が起きる前に、私がこっそり移動させたの」

ノヴァリアと燎の表情が同時に変わった。

アルの干渉が、すでにここまで及んでいることを確信した。


部室に戻り、ノヴァリアは一同に箱の詳細を説明した。

「箱の中には、ノクス陣営の魂を記憶石で封じた状態で入っている。記憶石を傷つけると復活時に不完全になる……けれど、器となる竜族か人間が必要」

槭樹が鍵を取り出し、棚から黒曜石の箱を出した。

一同は箱を持って校舎裏の広場へと移動した。


広場で箱を囲む一同は、どう対処すべきかで言葉を交わしていた。

その時、燎が静かに一歩前に出た。

「これで終わりだ」

地属性の魔法が炸裂し、箱は中身ごと粉々に砕かれた。

黒い霧が噴き出し、ノクスと名乗る声が怒りを露わにした。

「愚か者どもが……!」

花音が即座に炎の魔法を叩き込み、霧は一瞬で霧散した。

ノヴァリアが律の体で息を吐いた。

「完全復活は防げた……けれど、封印自体は解けてしまった。これからが、本当の始まりね」

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