35話:迷子のエルフ
ある日の午後、モンスター牧場の門の前に、一人のエルフの少女が立っていた。彼女は、ぼろぼろになった服をまとい、その瞳には、深い悲しみと絶望が宿っていた。
結衣は、彼女に気づき、優しく声をかけた。
「どうしたの? どこから来たの?」
「…わたしは、ベル。故郷を、火竜に焼かれて…」
ベルは、そう言って、その場でへたり込んでしまった。彼女の心は、家族を失った悲しみと、火竜に追われる恐怖で、満たされていた。
結衣は、ベルの手を握り、優しく抱きしめた。
「大丈夫だよ。ここは、安全な場所だから」
結衣の温かい言葉と魔法に、ベルは、少しずつ心を開いていった。彼女は、故郷を焼いた火竜が、しつこい性格で、自分を追っていることを結衣に話した。
「火竜は、とても賢くて、執念深い。…この牧場も、きっと、見つかってしまうわ」
ベルは、そう言って、再び恐怖に震え始めた。
結衣は、そんなベルを安心させるように、強く抱きしめた。
「心配ないよ。私たちは、もう、誰も失わない」
結衣は、そう言って、ハクロとソラに、ベルをこの牧場で保護することを伝えた。ハクロは、冷静に周囲を警戒し、ソラは、ベルを優しく見つめていた。
しかし、その夜、空に不気味な赤い光が瞬いた。
「あれは…」
結衣は、その光を見て、ハッとした。
赤い光は、日に日に大きくなり、牧場へと近づいてきていた。




