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30話:空の家族
結衣は、モンスターを優しく抱きしめ、魔法で傷を完全に癒した。彼女の魔法は、ただの治癒ではなく、モンスターの心の傷さえも癒す力を持っていた。
モンスターは、結衣の優しさに触れ、彼女に心を開き始めた。彼は、かつて人間から受けた傷を忘れ、結衣に懐くようになった。
「ハクロ、見て! この子、とても優しいよ」
結衣は、そう言って、モンスターの頭を優しく撫でた。
ハクロは、その光景を呆然と見つめていた。彼の知るモンスターは、ただの脅威でしかなかった。しかし、結衣は、その脅威を、一瞬にして、温かい家族へと変えてしまった。
「…お前は、本当に不思議な人間だ」
ハクロは、そう言って、結衣に微笑んだ。
結衣は、モンスターに「ソラ」という名前を付けた。ソラは、結衣の側にいることを望み、結衣とハクロの、大切な家族の一員となった。
ソラは、結衣の移動手段として、大空を飛ぶことを喜んだ。結衣とハクロは、ソラの背に乗り、この平和な世界を、自由に飛び回った。
「見て、ハクロ! すごい速さだよ!」
結衣は、風を感じながら、満面の笑みを浮かべた。
「ああ、そうだ…」
ハクロは、そう言って、結衣の手を、そっと握った。




