12話:村の大騒動
結衣が村での生活を始めて数週間が経った頃、彼女の魔法は、村に予想外の波乱を巻き起こしていた。
ある日、結衣は、村の子供たちに日本の紙芝居を見せようと思い立った。
「ねえ、みんな。今日は、日本の昔話を紙芝居にして見せてあげるね」
「わーい! 楽しみ!」
子供たちは、目をキラキラと輝かせ、結衣の周りに集まってきた。結衣は、想像の具現化の魔法で、紙芝居のセットを作り出す。しかし、彼女の想像力は、時にコントロールが効かなくなることがあった。
結衣が、「桃太郎」の話を始めると、紙芝居の絵が、動き始めたのだ。
「え……?」
鬼ヶ島へ向かう桃太郎が、紙芝居の絵から飛び出し、村中を走り回る。村人たちは、突然現れた桃太郎に驚き、大騒ぎになった。
「なんだ、あいつは!?」
「鬼退治だー!」
桃太郎は、村の畑を荒らし、しまいには、ハクロが狩ってきた獲物をすべて奪ってしまった。
「…結衣、これは、お前の魔法か?」
ハクロは、眉をひそめ、結衣に尋ねた。
「ご、ごめん、ハクロ。まさか、紙芝居の絵が、実体化するなんて…」
結衣は、桃太郎を捕まえようと、村中を駆け回るが、桃太郎は、彼女の想像力から生まれただけあって、動きが速く、なかなか捕まえることができない。
村は大騒ぎになり、結衣は、自分の魔法が、平和なスローライフを、ドタバタコメディへと変えてしまったことに気づいた。




