10話:結衣の選択
結衣とハクロは、金属の轟音を立てて進む軍隊を、森の奥から静かに見つめていた。彼らの進む先には、結衣が再建した平和な都市があった。
「あれは…戦争だ」
ハクロは、結衣に聞こえるか聞こえないか、小さな声で呟いた。彼の声は、あの日の悲劇を思い出したかのように、震えていた。
結衣は、再び、この世界が、そして彼女が愛する人々が、戦火に巻き込まれることを悟った。彼女の心には、怒りが込み上げてきた。
「…ふざけるな」
彼女の瞳に、怒りの炎が宿る。
彼女は、再び「最強の魔女」となり、一人でこの軍隊を打ち倒すことを決意した。彼女の心には、日本で経験した悲劇、そして異世界で経験した絶望が蘇っていた。
彼女は、一人で戦う魔法で、この世界を守ろうとした。
しかし、その時、ハクロが、彼女の手を優しく握り、静かに、しかし力強く言った。
「結衣、お前は、一人じゃない」
ハクロの言葉に、結衣は、ハッとした。
彼女は、もう一人ではなかった。彼女の隣には、彼女を理解し、彼女と共に生きることを誓った、大切な人がいる。そして、彼女が愛する、新しい家族がいる。
結衣は、静かに、しかし力強く、ハクロの手を握り返した。
「そうだね。私たちは、一人じゃない」
結衣は、一人で戦うことをやめた。
彼女は、この村で、仲間たちと見つけた、新しい魔法を使うことを決意する。
それは、一人で敵を打ち倒す魔法ではない。
それは、みんなの心と心を繋ぎ、新しい未来を創造する、「共創の魔法」だった。




