第28話:終わらない惨劇
結衣が目を覚ましたのは、日本の四畳半のアパートだった。しかし、彼女が知る平和な日常は、そこにはもう存在しなかった。
窓の外からは、けたたましいサイレンが鳴り響き、遠くから爆弾が炸裂する音が聞こえてくる。
「嘘……」
結衣は、ゆっくりとベッドから降り、窓の外を見た。空には、無数の爆撃機が飛び交い、街は黒煙に覆われていた。それは、グランデールで見た光景と同じ、地獄絵図だった。
彼女の腕には、異世界での戦いの証である傷跡が残っている。その傷跡は、まるで、彼女に「この世界も、もう終わりだ」と語りかけているようだった。
「なんで…また…」
結衣は、絶望に打ちひしがれた。彼女は、この平和な世界を守るために、異世界で戦い、勝利したはずだった。しかし、彼女が戻ってきた場所は、すでに戦火に包まれていた。
その時、玄関のドアが叩かれる音がした。
「結衣! 大丈夫か!?」
ドアを開けると、そこには、彼女の日本の友人たちが、怯えた顔で立っていた。彼らの顔は、結衣が異世界に旅立つ前と変わらない、心配そうな表情を浮かべていた。しかし、彼らの瞳には、恐怖と絶望が宿っていた。
「みんな…」
結衣は、彼らが無事であることを心から喜んだ。しかし、彼女は知っていた。この戦火の中で、彼らがいつまで無事でいられるかは、誰にもわからない。
結衣は、二つの世界で、二度も大切なものを失った。そして、三度目の悲劇が、今、目の前で始まろうとしていた。




