第12話:アニメと魔法の融合
結衣は、日本の友人たちとの日常を満喫していた。放課後、彼らとアニメについて語り合う時間は、結衣にとって、グランデールの惨劇を忘れさせてくれる、かけがえのないものだった。
「この主人公、最弱なのに、なんでこんなに強いんだろう?」
友人の問いに、結衣は答える。
「たぶん、彼が本当に強くなったのは、力だけじゃないからだよ。大切なものを守りたい、って気持ちが、彼を最強にしたんだと思う」
それは、二つの世界で大切なものを失い、そして再び得た結衣だからこそ言える言葉だった。
日本の友人たちは、結衣の言葉に感銘を受けた。彼らにとって、アニメはただの娯楽だったが、結衣にとっては、自身の魔法を「最強」へと導くための教科書だった。
その夜、結衣は自室で、自身の「想像の具現化」の魔法を試す。彼女は、日本で見たアニメのキャラクターや武器を、心の中で想像した。
『最強の魔法少女の、魔法のステッキ』
彼女が想像したのは、きらびやかで美しいステッキだった。
しかし、彼女の心に、グランデールの惨劇で感じた「無力感」と、日本の友人たちを失いかけた「恐怖」が蘇る。
その瞬間、具現化されたステッキは、ただの美しい道具ではなかった。
それは、鈍い金属の光を放つ、巨大な鉄塊と化していた。
そして、ステッキの先端からは、熱を持った、小さなエネルギー弾が放たれる。
「……すごい」
結衣は、驚きと同時に、自分の魔法が、怒りや恐怖といった負の感情と結びついていることに気づく。それは、かつての彼女が、おもちゃしか作れなかった「最弱」の魔法とは全く違うものだった。
結衣は、日本のサブカルチャーが、自分の魔法を「最強」へと変える鍵であることを確信する。
そして、彼女は、この力を使って、二つの世界に平和を取り戻すことを決意する。




