第11話:再会、日本の友人たち
結衣は、日本の四畳半のアパートで、目を覚ました。
しかし、以前とは何かが違っていた。
彼女の記憶は、グランデールでの惨劇も、フードの人物との戦いも、すべて鮮明に蘇っていた。
腕の傷跡は、もう火傷の跡ではない。それは、彼女が二つの世界で経験した悲劇の証だった。
「……夢じゃ、なかったんだ」
結衣は、ゆっくりと立ち上がり、部屋の中を見渡す。
部屋中に飾られたアニメグッズ、机の上に置かれたノートパソコン。
それは、すべて、この世界の「結衣」が愛したもの。
だが、彼女は、もう一人ではない。
彼女の心の中には、二つの世界の記憶が、まるで一つの物語のように結びついていた。
「おはよう、結衣」
朝食を食べていると、母親が優しく声をかけた。その顔は、グランデールで失った母の顔と同じように、温かくて、愛に満ちていた。
「……おはよう」
結衣は、戸惑いながらも、日本の母親に答える。
彼女は、この世界での生活が、かつての異世界での生活と重なり合っていることに、奇妙な感覚を覚えていた。
学校へ向かうと、クラスメイトの友人たちが笑顔で迎えてくれた。
彼らの顔は、もう霞んではいない。
一人ひとりの顔が、はっきりと、結衣の心の中に存在していた。
「結衣、今日の放課後、新作アニメ見に行かない?」
友人の言葉に、結衣は、少し迷ってから答える。
「……うん。行こう」
結衣は、日本の友人たちと、失われたグランデールの仲間たちを重ね合わせる。
そして、彼女は、この二つの世界を繋ぐ、自分だけの物語を歩み始めることを決意する。




