1-29-1【Cursory Plan】
エドワードは粗削りな棒をしっかりと構え、教授の刃を受け止めていた。その腕に込められた圧倒的な力は、まるで鋼鉄の柱に剣が当たったかのような衝撃を生む。
教授の嘲笑じみた笑みが一瞬ゆらぐ。すぐに距離を取るように跳躍し、間合いを開けた。
「またお前か……」
その声には落胆が滲み、だがすぐに薄く歪んだ笑みが戻る。「いつも彼女の影でうごめいているんだな?」
「ついて来て正解だったな。」エドワードは静かな口調で言い、棒をまるで細剣のように優雅に翻す。その粗雑な外見とは裏腹に、彼の動きには洗練された気配が漂っていた。
エドワードは鼻先で空気を嗅ぎ、乾いた笑いを漏らす。「眩惑用の毒か。道理で彼女が足取り不安定なままお前を追ったわけだ。」
一拍おいて、軽蔑を込めた口元の歪み。「サイド・ラヴァーズ・レーンの手口か?薬で朦朧とさせてから、街角の娼婦でも狙うように略奪するってか?」
教授の表情が暗くなり、唇が険しく吊り上がる。手首の軽い動きとともに、三本の小さな飛び道具が無音で放たれ、ベルの首筋を狙った。
エドワードは動じない。棒が空を裂くような高速の軌跡を描き、正確無比に三本の矢を弾き飛ばす。そのうち一本は木製ベンチに深く突き刺さり、もう一本は木の幹へ、最後の一本は苔むした噴水へと散る。刹那、静寂が戻った。
エドワードの視線は冷徹で揺るぎない。その唇にはかすかな嘲笑が浮かぶ。「なるほど、お前は学院の教授じゃないな。かといって、ただのチンピラ——いや、娼婦崩れでもない。傭われの暗殺者か?」
「傭われ?」暗殺者は尖った笑い声を上げる。その声には嘲弄が満ちていた。「侮辱するな。俺の仕事は金銭に縛られん。俺には目的がある、崇高な目的がな。」
エドワードの唇がわずかに歪む。「崇高?無辜の人間を殺すのが高尚な行いとは知らなかったな。」
暗殺者は不気味な笑みを深める。その笑みは容赦なく、冷酷だ。「無辜だと?彼女が?この状況に純粋な者など一人もいない。」
エドワードは棒を握る手に力をこめる。その動きは流れるように滑らかで、一気に間合いを詰めていく。振り下ろされた一撃は正確で、暗殺者はぎりぎりで身をかわし、後方へと飛び退く。
「お前は虚構を守っているんだ。」暗殺者はエドワードの周囲を回りながら唾を吐くように言う。「彼女が何者で、なぜ選ばれたか知っているのか?」
エドワードは棒をさらに強く握り込む。その声は鋭く、突き放すようだ。「政治的思惑くらいは見抜けるが、俺の関知するところじゃない。」
暗殺者の笑みは闇を孕み、その声は毒を含んだ囁きのように低くなる。「それでも、お前は全てを賭けてあの駒を守る気か。」
エドワードは揺るぎない嘲笑を浮かべる。「当然だ。彼女はお嬢様のご友人——つまり、俺の守るべき『駒』だ。」
暗殺者は再び動く。刃が空を裂き、ベルを狙うが、エドワードは強烈な蹴りで割り込み、その攻撃を阻む。暗殺者は腕で防ぎ、態勢を崩したまま後退する。
暗殺者は嘲笑混じりに息を吐く。「お前には理解できるのか?あの称号は本来彼女のものじゃない。最初からな。」
「去年遅れたセインツ・スカラーの叙任が絡んでいるのか?」エドワードは皮肉めいた、気取った口調で言った。「彼女をここに引きずり出し、貴族を陥れて世間を煽る――そんな筋書きだろう?」
暗殺者の瞳が冷たく輝き、その笑みは刃のように鋭い。「もっと知りたいか?」
エドワードの表情は微塵も揺るがない。「いや、結構。」
言うなりエドワードは棒を大きく振り抜く。粗削りな木材が暗殺者の顔面を捉え、鈍い衝撃音が響く。




