1-23-1【The Ripple of a New Name】
エドワードは庭園の小さな噴水のそばに姿を現し、冷たい石の縁に体を預けるようにして身を屈めた。胸を大きく上下させながら荒い息を吐き、額には汗がにじみ、髪の端を湿らせていた。
「はぁ…はぁ…『シャドウステップ』…」息切れの合間に呟きながら、袖で額の汗を拭う。「やっぱり…消耗が激しすぎる…」
午後の日差しが手入れの行き届いた庭園を暖かく照らし、エドワードの荒い呼吸とは対照的に静けさを演出していた。噴水から流れる水の静かな音が優しく響き、一瞬の安息をもたらしていた。彼は少しずつ姿勢を正し、呼吸を整える。胸の動きが徐々に穏やかになり、鋭かった表情も和らぎ、再び焦点が定まった。
その時、近づいてくる足音がエドワードの注意を引いた。現れたのは、先端が自転車のハンドルのようにくるりと巻き上がった立派な口ひげを持つ男だった。整然とした曲線が彼に演劇的な精密さを与えている。彼は学院の教授用ローブをまとい、金の縁取りが日差しを受けて輝いていた。その後ろには、何人かの若い助手たちが急ぎ足でついてきており、顔には明らかな疲労の色が浮かんでいた。
「急ぎたまえ!だが走るな!」
口ひげの教授は指示を飛ばし、その声には威厳と正確さが込められていた。「学生たちがすぐに到着する。我々には遅れる余裕はない。」
エドワードは静かに見つめながら鋭い目を細めた。そのグループが通り過ぎるのを見送り、教授の堅苦しい歩調と口ひげの上下する様子に、どこか滑稽さを感じ取った。その視線は助手の一人が抱える、きちんと整えられた書類の束に留まった。
反対方向から、別の声が緊迫感を帯びて響いた。「教授!」
背筋を伸ばした灰色の髪の女性が現れ、ローブの裾を持ち上げて歩調を速める。彼女の顔は険しく、決然とした表情だった。
「ホルダム教授!」
彼女の鋭い声は、口ひげの教授をその場に立ち止まらせた。
口ひげの教授は、誇張された仕草で振り返ると、片手で口ひげの端をひねった。「また何ですかな、モーガン教授?」
その口調には苛立ちがにじんでいた。
年配の教授は一枚の紙を掲げながら、疲れた表情で言った。「これをお忘れですよ。」
彼女は紙を差し出し、その目には冷静さと皮肉が混ざり合っていた。
口ひげの教授は眉をひそめ、信じられないと言わんばかりに口ひげがピクリと動いた。「馬鹿な!私、ダガン・ホルダムは、何も忘れたことなどない!私の仕事は常に完璧だ。」
彼は助手が抱える書類の束を指差し、劇的な口調で続けた。「ここにはセント・エイリック学院の一年生132名の名簿が揃っているのだ。すべて確認済みだ。」
年配の教授は眉を上げ、その芝居じみた言葉に感心する気配も見せずに言い返した。「それは元々の名簿にはありません。この名前は今朝届いたばかりです。」
口ひげの教授の目が差し出された紙に向き、苛立ちは慎重な好奇心に変わった。彼は鋭い動きでその紙を掴むと、内容をざっと目を通した。その表情が変わり、余裕のある態度にひびが入る。瞳がわずかに見開かれる。
「クラス1-A…?」
彼は驚きと困惑を含んだ声で呟いた。
年配の教授は両手を組み、その表情には深刻さが浮かんでいた。「ドロテア様にさえ事前の通達はありませんでした。キングズガードが直接届けたものです。理由があるに違いありません。」
一瞬、二人の間に静寂が訪れた。口ひげの教授の顔がこわばり、指先が紙の端を小刻みに動かしていた。やがて、もう一方の手が無意識に口ひげの端に伸び、思案や動揺を示すようにその先をひねった。
彼は深く息を吸い込み、態度を取り繕いながらも、口ひげの端をひねり続けた。「推測はやめたまえ、モーガン。これは何の意味も持たない。」
一瞬の間を置き、彼は姿勢を正し、もう片方の口ひげにもバランスを取るようにしっかりとしたひねりを加えた。「ただし……何かを変える可能性はあるな。」
その声は強い口調だったが、微かな震えが不安を隠しきれなかった。
短いうなずきで話を切り上げると、口ひげの教授は助手たちを促し、足早に建物の中へと消えていった。庭園に残された年配の教授は、しばらくその背中を見送っていたが、やがて彼女自身も反対方向へ歩き出した。その顔には明らかな不安の色が浮かんでいた。




