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お嬢様には絶対に言わないで  作者: renten
ACT 1
53/176

1-19-1【The Miraculous Beginning 】

ベアトリスは教室に足を踏み入れると、胸が好奇心と不安でざわめいた。

想像以上に広く、荘厳でありながら優雅さも感じさせる空間だった。

教室は階段状に配置された四つの段に分かれており、中央には幅広い通路が三つの列を分けていた。左側の壁には高い窓が並び、陽の光が差し込み部屋を柔らかく照らしていた。右側には入口の扉と廊下が続いている。各段には九つの机が整然と並んでいたが、全ての席が埋まっているわけではなかった。


教室内には既に幾人かの生徒が座っており、それぞれ自分の作業に集中していた。机上の紙を熱心に読んでいる者もいれば、空席を探して歩き回っている者もいた。


ベアトリスは入口付近で足を止めたまま、どうすればよいのか分からず戸惑った。席を探すべきか、それとも誰かに尋ねるべきか。頭の中で考えが巡り、見知らぬ顔ぶれや静かなざわめきに圧倒されて動けなくなっていた。


「失礼いたしますわ。」


鋭い声が彼女の思考を引き戻した。

ベアトリスが振り返ると、鋭い目つきを持つ気品ある茶髪の少女が立っていた。

少女は一瞥でベアトリスを値踏みするように見つめたが、すぐに関心を失ったかのように目を逸らした。そして何事もなかったかのように、ベアトリスの横を通り過ぎた。


その少女は自信に満ちた動きで、静かに最上段から二段目の席へと進んだ。そこにはまだ誰も座っていなかった。机に置かれた紙に目を走らせ、一つの席を選んで座ると、優雅な手つきで制服を整え、持っていた扇子を広げた。

彼女の仕草には、自然と誇り高い気品が漂っていた。


ベアトリスはまだ入口付近に立ち尽くしていたが、机に置かれた紙に気づいた。それぞれの紙には名前が書かれており、どうやら座席が割り当てられているようだった。彼女は慎重な足取りで近くの列に向かい、自分の名前を探し始めた。


一列目の机はほぼ全て埋まっており、空席は二つだけだった。まずはそこから自分の名前を確認することにした。


近くの席に座っていた、がっしりとした体格の少年が彼女に気づいた。


「そこの紙、少し見せてもらってもいいですか?」

ベアトリスは緊張を押し隠し、優しい微笑みを浮かべながら少年に尋ねた。


少年は少し戸惑った様子だったが、肩をすくめて乾いた口調で答えた。

「どうぞ。」


ベアトリスが紙を確認している間、ふと誰かの視線を感じた。 上の列に座っていた先ほどの茶髪の少女がこちらを見ている。微かな興味を浮かべながら、ベアトリスの動きを追っているようだった。


ベアトリスはその視線に気づき、軽く微笑んでみせた。しかし、少女はその笑顔を無視するように顔をそらし、再び紙に目を落とした。


一列目に彼女の名前は見つからず、ベアトリスは二列目の席に進んだ。彼女は列全体を丁寧に歩きながら、左から右へと紙を確認していく。しかし、ここにも彼女の名前は見当たらなかった。


茶髪の少女の視線が追い続けているのを感じながら、ベアトリスは三列目の席へ向かった。彼女は冷静さを保ちながら、再び一枚ずつ紙を確認していたが、緊張のあまり足元がふらつき、バランスを崩しそうになった。彼女は一瞬動揺したものの、すぐに平静を取り戻し、再び少女を見つめた。

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