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お嬢様には絶対に言わないで  作者: renten
ACT 1
35/176

1-11-7

セシリアのロープが再び襲いかかり、フックが空中で煌めきながらエドワードを狙う。

エドワードは横へ飛び退き、片方のフックを回避したが、もう一方が腕を狙ってループを描きながら追いかけてくる。

彼は体をひねり、そのフックをギリギリでかわしたが、セシリアの正確な攻撃により、フェリシティへの追撃の隙が完全に失われた。


ブリジットが吠えるように声を上げながら、拳を次々と振り下ろした。

そのスピードは確実に増し、攻撃の軌道もより狭く鋭いものになっていた。

エドワードは腕を上げて一撃を防ぎ、さらにもう一撃を横にかわしたものの、その圧倒的な力とセシリアの協調した動きによって、動きの自由を徐々に奪われていく。


エドワードは戦術を変え、戦いのテンポをコントロールすることを決意した。

彼はブリジットに向かってフェイントを仕掛け、彼女に再び拳を空振りさせると、素早くフェリシティに突進した。

弱点となった肩下を狙った鋭いジャブが彼女に突き刺さる。フェリシティは息を詰まらせ、後退しながらバトンを手から落としそうになるが、辛うじて握り直した。


「あいつ、全然休ませてくれないのね……」フェリシティは歯を食いしばりながら呟く。その動きには慎重さが加わり、スピードも明らかに落ちていた。


エドワードは表情を崩さず、リズムを乱した手応えを感じつつ、正確な足さばきと自信に満ちた立ち位置で状況を整えた。

一瞬だけセシリアに目を向けると、彼女のロープは狭い円を描きながら回転し、防御的な動きを見せていた。彼女は距離を保ちながら、相手の過剰な動きを狙って攻撃を仕掛ける準備を整えている。ブリジットの攻撃的な猛攻とは対照的に、セシリアの落ち着いた呼吸と鋭い集中力が際立っていた。


ブリジットが再び突進してくる。彼女の拳は速い連打となり、エドワードはその一撃をかいくぐって脇腹に鋭いアッパーカットを叩き込む。

その衝撃にブリジットの動きが一瞬止まったが、すぐに苦痛を押し殺しながら笑みを浮かべ、再び間合いを詰めてきた。


「やっぱり相変わらずタフだな……」エドワードは小さく呟き、次にフェリシティとセシリアの動きを確認する。


ブリジットの拳はさらに速度を上げ、その苛立ちが攻撃の凄まじさに表れていた。

エドワードはかわし、防御を続けたが、セシリアのロープによる牽制とブリジットの猛攻によって、戦いが持続不可能な状況に追い込まれていく。

新たな策を講じる必要があった。


エドワードは流れるような動きで後方に飛び退き、距離を取った。


ブリジットが一瞬ためらい、彼の意図に気づいたのか、その目が細められる。セシリアのロープが彼を狙って飛び出し、フックが鋭い軌道を描いたが、エドワードは軽やかに体をひねり、難なくそれをかわした。

彼にとって、この攻撃パターンはもはや見慣れたもので、次の動きを予測するのは容易だった。


その一撃をかわされたことで、三人の動きにわずかな乱れが生じた。追撃のタイミングを失った彼女たちは、素早く距離を取り、再び連携を整える。


三人のメイドたちはすぐに再集結し、その動きは以前より遅くなったように見えたが、それは慎重さを増した結果だった。


息遣いこそ乱れていないが、戦いによる負荷が確実に現れていた。


セシリアは眼鏡を正確な動作で押し上げ、冷静な目でエドワードを観察していた。フェリシティは手の感触を確かめるようにバトンを握り直し、次の動きに備えている。

ブリジットは肩を大きく回して体をほぐしながら、いつもの笑みを浮かべつつも、その端には苛立ちが滲んでいた。


エドワードは静かに体勢を整え、その鋭い視線を揺らすことなく彼女たちを見据えた。


しばし誰も動かず、緊張感が静電気のように空気を漂う。


必要な間合いの中で、全員がそれぞれのダメージを確認し、次の一手を考える時間を取っていた。


エドワードの腕は先ほどの衝撃でじんじんと痛んでいたが、彼はその痛みを意識から切り離した。


鋭い目で相手を見渡し、フェリシティの微かな痛みの色、ブリジットが頻繁に体勢を整える様子、そしてセシリアのロープが手元でしっかりと巻き取られ、いつでも攻撃に移れる状態を冷静に観察した。


沈黙がもう一拍続き、緊張感がじわじわと高まっていく。


エドワードはゆっくりと息を吐き、その視線を彼女たちの背後にある扉へと移した。


戦いはまだ終わっていない。だが、ここでこれ以上続けることは、もはや得策ではないと悟った。

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