表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嬢様には絶対に言わないで  作者: renten
ACT 1
28/176

1-10-5

セシリアとブリジットも、最初は興味がなさそうにしていたが、次第に引き込まれていった。

セシリアは眼鏡を押し上げ、鋭い視線を向けながら小さく興味を示すように唇を動かす。

ブリジットは首を傾け、軽い嘲笑を浮かべていた表情が消え、真剣な顔つきに変わりつつあった。


レンは落ち着いた声で応じた。

「いいえ、私たちは通常の意味でドラゴン に乗るわけではありません。ただ、その頭の上にじっと立ち、飛行させるのです。心を澄ませ、何の穢れもない状態であれば、ドラゴン と意思を通じ合わせ、思う方向へ導けると言われています。」


フェリシティの頭がセシリアのほうに勢いよく振られ、その顔には純粋な興奮が浮かんでいた。

「ドラゴンと話せるって!?それって本当に可能なの!?」

声は興奮のあまり高くなり、身を乗り出してレンに詰め寄る。


セシリアは冷静を装いながら、思慮深い口調で答える。

「漁師がイルカに合図を送ってクジラの群れを探すのに協力してもらうことはあるわ。完全に不可能とは言えないわね。」

唇の端に浮かんだ微笑にはわずかな冗談めいた調子が含まれていた。

「でもドラゴン?あいつらは知性に乏しいことで有名よ。話をするより先に食べられそうね。」


ブリジットが鼻で笑う。

「だよな、ドラゴンなんてバカだろ。 ただ視界から外れたら、あいつらは消えたと思うんだ」


「黙りなさいよ、ブリジット!」フェリシティが声を張り上げた。

「ドラゴンについて何も知らないくせに!何もね!」


ブリジットの口元が獰猛な笑みに変わる。

「はあ?俺はドラゴンの顔面を殴ったことがあるんだぞ。」


「それはドラゴンじゃない!ワイバーンよ!」フェリシティが呆れたように叫ぶ。


ブリジットは腕を組みながら得意げに言い返す。

「ワイバーンもドラゴンの子供みたいなもんだろ。」


「筋肉バカ!ロマンが分かってないのよ!」フェリシティが頭を抱える。


フェリシティは再びレンに向き直り、その目には希望が宿っている。

「ねえ、ドラゴンと話せるなら、鞍をつけて翼の近くに座るよう頼めるんじゃない?」


レンは静かに微笑みながら首を振った。

「ウェイドさん、どうやら私たちのドラゴンに対するイメージが誤解されているようです。私たちのドラゴンは蛇のように細長い形をしていて、空を泳ぐように飛ぶんです。プラウノニダの列車を何台も繋げたようなものを想像してください。その最前列に立つ感じです。」


フェリシティは大きく目を見開き、息を呑むように呟いた。

「それって……私が聞いたどのドラゴンよりも大きいじゃない。」


「興味深いわね。」セシリアは眼鏡を押し上げ、その視線に好奇心の鋭さを込めた。

「あんなに巨大で、それに翼もないのに、どうやって空を飛ぶのかしら?」

彼女は謎を解くような、慎重で計算された口調で尋ねた。


「忍び足で飛ぶわけじゃないよな、エド坊?」

ブリジットの声が空気を切り裂いた。鋭く重みを帯びたその言葉が、場の全員を凍りつかせる。


そして――音がした。


微かな鎖の音が静寂を破る。

それはごく小さく、けれど背筋がぞっとするような音だった。まるで彼女自身が動くよりも先に、鎖の方が気配を放ったかのようだった。

アクセサリー代わりの手枷から垂れ下がる鎖がわずかに揺れ、金属のささやきが無言の警告のように響く。


反応する間もなく、ブリジットの手が正確無比な動きで伸びた。

その手は鋼鉄の罠のようにエドワードの足首を掴む。


言葉と動きが同時に炸裂し、その場を鞭のように切り裂いた。

全員が振り向き、視線を彼女の方へ向ける。そこにいたのは――ドアを開けかけたエドワード。

手はドアノブの上にあり、身体を半分外へ向けた状態で、あと一歩で静かに抜け出そうとしていた。


「えっ!?」フェリシティが声を上げ、またフラスコを落としそうになる。


セシリアも驚きを隠せず、眉を上げた。「いつの間に……?」


レンの洗練された落ち着きも、この状況にわずかに揺らいだ。

彼の暗い瞳が、ブリジットの鋼のように動かない手元と、動きを止められたエドワードの間を行き交う。


耳に残るのは鎖が揺れる微かな音――

それは彼女の行動が予測不可能な仕掛けのように響いた。レンは胸の奥で、信じられない気持ちと同時に、わずかな尊敬の念すら覚えた。


エドワードは舌打ちをし、不機嫌そうに顔をしかめる。

だが、足を引き抜こうとはしない。それが無駄だと理解しているのだろう。


「ちっ、気づかれるとは思ってたが。」

彼はぼそりと呟き、その声には苛立ちと諦めが入り混じっていた。



ドラゴン

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ