1-9-1【Whiskey Over Grace】
階段は、壮麗な講堂の脇にひっそりと隠されていた。
建物の外壁から漏れる柔らかな光の下、影が長く伸びている。
この場所は、きらびやかな校内の通路や手入れの行き届いた芝生とはまるで別世界のように感じられた。
静けさが漂っているが、平穏というわけではない――
ここは、学院の華やかさに隠されたささやかな反逆の場。
階段の上部に座っていたのは、屈強な女性だった。
彼女の存在感は圧倒的で、その手首にそっと巻かれた太い鎖は、反抗の象徴のようにも見えた。
片足を引き寄せて膝を抱え、もう片方の足は無造作に階段下へ伸ばしている。
メイド服の裾が軽く揺れるたび、伝統的なブルマーがその下からちらりと見え隠れした。
ラフな魅力と古風な端正さが入り混じる、独特な雰囲気を醸し出している。
金色のポニーテールが揺れる中、彼女は半分空になったウィスキーのボトルを手にしていた。
その姿は、まるで彼女の手の一部であるかのように自然だった。
だらしない体勢にも関わらず、彼女の筋肉質な体つきは、いつでも動き出せる準備ができているように見えた。
唇には薄い笑みが浮かび、その余裕が、彼女を邪魔する者への挑発のようだった。
階段の中央には、洗練された女性が座っていた。
彼女の姿勢には、高貴さすら感じられた。
埃で汚れた階段に直接座らないよう、きちんと畳んだハンカチを敷いている。
彼女の長いスカートは、優雅に広がりながら足元に流れ落ちていたが、動くたびにガーターベルトの端がちらりと見えた。
片手には小さなウィスキーグラスを持ち、琥珀色の液体を上品に揺らしていた。
もう片方の手は、隣に置かれた開栓済みのボトルの近くに置かれている。
そのラベルには高級感が漂い、彼女のこだわりの深さを物語っていた。
彼女がグラスに口を運ぶ動作は、どれもゆっくりで丁寧だ。
それは、ただ味わうだけでなく、反逆そのものを楽しんでいるかのようだった。
薄いフレームの眼鏡が光を受けてかすかに輝き、唇の端には含みのある微笑みが浮かんでいる。
階段の下、土の道に無造作に座っていたのは、小柄な人物だった。
短髪が若々しい顔立ちを際立たせており、短めのメイド服がひざ下で軽く揺れていた。
黒いパンストには、地面に座ったせいでうっすらと汚れがついているが、彼女はまったく気にしていない様子だ。
膝の上に置かれたフラスコにウィスキーを注ぎながら、もう片方の手では直接ボトルから飲んでいた。
傍らには奇妙なスナック――砂糖とチリフレークで味付けされたイカの揚げ物がナプキンに包まれて転がっている。
彼女は時折手を伸ばしてスナックをひとつ掴むと、それを口いっぱいに放り込んでから満足そうに噛み締めた。
その振る舞いには、規律に対する反発と、汚れを気にしない強さが漂っている。
階段の頂上にいる筋肉質なメイドが、ボトルを持ち上げた。
彼女は隣の洗練された女性に向かって、気だるげに手を振る。
「さすがセシリアだな。」
彼女の声は、ざっくばらんで温かみがあるが、どこかからかうような響きもあった。
「お前はいつも最高の酒を持ってくる。」
彼女は隣に置かれた木箱の端を軽く叩いた。
箱の中には、未開封のボトルが二本残っているが、ほとんどが空になっている。
セシリアは、目を開けることなく小さな微笑みを浮かべた。
「後で私のご主人様に感謝してね。」
彼女の声は軽やかだが、どこか正確さを感じさせる響きがあった。
小柄なメイドは、頬を食べ物で膨らませながら、何か聞き取りにくい言葉を呟いた。
セシリアは眼鏡を調整しながら、ため息をついた。
「まず飲み込んでから話しなさい、フェリ。」
彼女の声には、少しの苛立ちと諦めが混じっていた。




