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ドロテアの声が講堂に響き続ける中、ベアトリスの注意は徐々に逸れ始めていた。
彼女の思考は先ほどの決意へと戻っていった。
「今日は友達を作らなきゃいけない。」
その目標は、一瞬ごとに遠ざかるように感じられた。
特に彼女の視線が周囲の学生たちに移るにつれ、その気持ちは一層強まった。
後ろの席に座るベアトリスの視点から、クラスメートたちの姿が前方に散らばっているのが見えた。
右手側の通路を隔てて、二つの空席の先に一人の少女が座っていた。
彼女の長いシルクのような黒髪は、肩を覆う滝のように流れ、淡い光の中で微かに輝いていた。
その手には折り畳み式の扇子を持っており、
その繊細な花模様と金糸の装飾が光を受けてきらめいた。
扇子を優雅に開き、静かな動作で動かすその仕草は、
何も言葉を交わさずとも彼女の存在感を際立たせていた。
その姿勢は完璧であり、動きは慎重かつ自然。
まるでその一挙手一投足が演技の一部であるかのようだった。
スピーチを聞きながら頭をわずかに傾ける仕草でさえ、
無意識の癖ではなく、あたかも深い思索を表現するための行為のように思えた。
「完璧すぎる……。」
彼女を観察しながら、ベアトリスの心は少し沈んだ。
列のさらに下の方には、別の少女の姿が目に留まった。
短く切り揃えられた黒髪が彼女の顔を縁取るようにして実用的な魅力を与えており、
彼女は背もたれに少し体を預けたまま座っていた。
その姿勢はリラックスしているが、どこか自信に満ちた印象を与えていた。
彼女の唇にはかすかな笑みが浮かび、
その表情からは、この場の進行が面白いというよりむしろ皮肉的に映る様子が感じられた。
何とも言えない軽やかなエネルギーが彼女から漂っていたが、
その正体は掴みにくく、ベアトリスの不安をさらに掻き立てた。
「話しかけたら笑われそう……。」
部屋の反対側には、鋭い視線を持つ茶髪の少女が座っていた。
彼女の髪型はきちんと整えられ、制服も非の打ちどころがないほど完璧であり、
その佇まいからは精密さが漂っていた。
彼女は完全に背筋を伸ばして座り、わずかに顎を上げ、
目は静かに部屋を見渡しており、その鋭さにベアトリスはすぐに目を逸らしてしまった。
「威圧感が強すぎる……。」
ベアトリスの視線は再び柔らかくなり、真ん中の列に座る大柄な少年へと移った。
彼の広い肩は席に収まりきらないように見え、
彼自身もその体格を気にしているのか、少しぎこちない仕草で席に座っていた。
だが、その顔つきには親しみやすさが感じられ、
どこか恥ずかしそうにステージに集中していた。
一瞬、ベアトリスは彼のことを考えたが、
その存在感の大きさに自分が萎縮してしまうような気がして、すぐに考えを改めた。
「違うかも……。」
最後に、彼女の目は前方の席に座る細身の少年へと留まった。
その肌は透き通るように白く、繊細な印象を与えた。
彼は眼鏡を何度も調整しており、その一連の動作はまるで楽器を微調整しているかのような正確さだった。
彼の視線はステージから離れることなく、
その静けさがまるで周囲の世界が存在しないかのような孤立感を漂わせていた。
ベアトリスはしばし躊躇した。
「自分だけの世界に没頭しているように見える……。」
彼女の手は膝の上で次第に緊張し、
疑念が心に忍び寄るのを感じた。
彼女が観察したどの顔も、それぞれが無言の障壁を持っているように見えた。
彼らの自信と個性は、ベアトリスを小さく、目立たない存在に感じさせ、
声をかけるという考えが時間が経つごとに不可能に思えた。
彼女は椅子に少し沈み込み、先ほどまでの決意が揺らいでいった。
「これが間違いだったのかもしれない……。」




