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【書籍化決定】隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~  作者: 呑兵衛和尚
王都ヴィターエで、てんやわんや

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100/140

100品目・故郷は、遠くにありて思うもの(鳥すき焼き)

 札幌の、とある居酒屋の主人が事故で亡くなった。


 その居酒屋は店主の弟とその妻が継ぎ、先代店主の遺志を継いで営業を続けている。

 今日は、その店主が亡くなって丁度一年。

 地元にある菩提寺で厳かに一周忌が行われた日の夜、居酒屋には親しい人たちが集まり、先代店主である『有働優也うどう・ゆうや』を偲ぶ会が行われていた。


「……しっかし……優也店長は今頃、何をしているのかねぇ」

「一周忌法要も終わったから、今頃は墓の中でホッとしているんじゃないかねぇ? と、元店長だな、今は耕平さんが店長だからな」

「分かっているって。でもなぁ……やっばり、信じられないんだよねぇ。何ていうか、この偲ぶ会が終わった頃に、ひょっこりと顔を出してくれそうな気がするんだよなぁ」


 近所に住む常連たちは、小上がりに集まってそんな話で盛り上がっている。

 そして集まっているのは店が出来てからの常連達ばかりではなく、優也の昔からの知人たちも集まり、カウンターで昔の笑い話に花を咲かせている真っ最中。


「そういえばさ……優也にはよく、閉店時間を過ぎても呑ませてもらっていたよなぁ」

「ああ、おまえさんはしょっちゅう、飲み過ぎてトイレで寝落ちしていた口じゃないか。それでバイトの娘さんに怒られていたよな」

「全くですよ……唐澤さんは今でも飲みに来て、トイレで寝落ちしていますけれどねぇ……はい、お待たせしました、鳥串と豚串、砂肝串です。善さんはモツ煮とホッケの開きでしたよね」

「イタタタタ……また厳しいことを」

「ああ、サンキュ~」


 集まっている常連達に料理を持っていくのは、昔からここで働いているアルバイトの学生たち。

 そして厨房では新しく入った若手の料理人が、二代目店長である有働耕平の指示で走り回っている最中。


「店長、すき焼きのタレの味付け、チェックをおねがいします」

「どれどれ……と、ふむ、ちょいと甘さがきつい。溜まり醤油を少々と、後は酒を少し足してくれるか」

「少々……って、どれぐらいですか? 少しと言われても、どれだけ足したらいいのか……」

「あ~、全体量に対しての割合なんだが……いや、そのまま火を止めておいてくれるか」

「はい」


 つい、いつもの調子で優也と話をしている感じで指示を出している耕平だが、相手が店に入ったばかりの若手という事をすっかり失念している。

 その為、焼き場を彼に任せて耕平が味付けに回ったのだが、やはりタレの味付けを調整してもいまいちしっくりとこない。

 耕平もここ一年、ずっと店を切り盛りしていたのだが……最近はどうにも、味がうまく定まっていないように感じている。

 来店する客や常連たちに味を見てもらっても、特におかしいとは感じられていない。

 だが、優也の親友たちは耕平の味を見て『ああ』とか『なるほどなぁ』という曖昧な答えしかもらっていない。

 

 一度、優也の味付けは無理だと話したことがあったが、その時も親友たちは『当たり前だな、俺たちは耕平に、優也の味を再現しろとは言っていない』『耕平独自の味を見せて欲しい』と返されたことが何度もある。

 そして親友たちも優也の味を知っている上で、耕平が早く『優也の呪縛』から解き放たれて欲しいとも願っていた。

 

 この店の、今の店長は耕平。

 故に、早く優也から卒業して欲しい。

 そう願っているが為、遠くから耕平の努力を見守る事しか出来なかった。


「……この店の味は、これで合っている筈なんだ……兄貴が長年研究して来た『すき焼きのタレ』、レシピも残っていないのを、ここまで再現したのに……何が足りないんだ……」


 そう小声で呟く。

 

――ポン

 すると一瞬、誰かが肩を叩いたような気がした。


『そもそも、煮切り味醂の分量が違う。使っているものも……』


 ふと、なにかが聞こえる。

 今のタレに足りないのは、柔らかい甘さ。

 砂糖では表現できない、旨味を伴った甘さ。

 それなら、今すぐには調整できないが、ちょいと工夫をすれば近くすることは出来る。

 

「酒と味醂を煮切って、たまり醤油を……いや、かえしを少しか」


 少しずつ。

 味を見ながらタレの調節を始める。

 そしてなんとなく、今出来る調整を全て終えると、急ぎアルバイトに『鳥すき焼き鍋』の準備をするように指示を出す。


「かしこまりました!!」

「山本さんはカセットコンロを、私はトンスイとレンゲの準備をします。店長、卵を貰っていきますね!!」

「ああ、いつものところにある奴を使ってくれればいい。ちょっと手が離せないので、頼む」

「はいっ」


 急ぎ冷蔵庫から卵を取り出す。

 それを器に入れて持って行こうとしたが。


『ああ、そっちは違う。すき焼き用の卵はSサイズの方が、黄身が大きくて旨く感じるって話したよな』


「んんん? ああ、そっか。店長、この玉子じゃなくSサイズの卵はありますか?」

「Sサイズ? いや、ここ一年はずっとMサイズしか使っていないが」

「優也店長は、すき焼きにはSサイズだって、以前話してくれた事があったんですよ。今、思い出しました」


 そう告げてから、とりあえず今日はMサイズしかないため、そのまま器に入れてホールへ運んでいく。

 やがてすき焼きの準備も完了し、店内のあちこちから楽しそうな声が聞こえてきた。


「へぇ……今日のはまた、懐かしい味だなぁ。耕平、兄貴のレシピでも発見できたのか?」

「いえ、レシピは残っていたんですけれと、実は鳥すき焼きのタレを始めとした、この店の秘伝のレシピが残っていなくてですね。色々と試行錯誤をして、どうにか再現したのは良かったのですけれど……」

「いやいや、耕平ちゃんの味付けもうまいし、なんなとく優也店長の味を継承しているんだなぁとは感じていたから大丈夫だよ」

「そうそう。優也店長の味付けを守るのも大切だけれど、ここは耕平ちゃんの店なんだ。先代の残した大切なものを受け継ぎ、それをさらにより良くしてくれればいいさ」


 そう告げる客たちに、耕平は厨房から出てきて黙ってうなずくと、帽子を取って深々と頭を下げる。


「この一年で、兄貴が残したものの大きさを知りました。そしてそれを受け継ぎ、次の世代へ託すのが俺の仕事だと、今、改めて理解しました。ずっと兄貴の背中を追いかけて、とうとうたどり着くことが出来ないと諦めていたのですが……今日からは、兄貴の横に並んで、一緒に進んで行こうと思います」


――パチ……パチパチ……

 一つ、また一つと拍手が鳴り始める。

 観客たちが耕平を叱咤激励している。

 それを聞いて、耕平は厨房へ戻ろうとしたが。


――パンッ

 誰かが、背中を叩いたような気がした。

 その感触になんとなく懐かしさを感じつつも、耕平はすぐに焼き場に向かうと次の料理の指示を出すことにした。


 そして。


 その光景すべてを、ユウヤはずっと、店の中で眺めていた。


 〇 〇 〇 〇 〇


――大食祭から一週間後

 今日は……休みだ。

 とはいえ先日の晩は、店を貸し切りにしてパーティーが開かれていた。

 というのも、ビーフィーター達3人が、大手商会のレストランに就職が決まったのだ。

 大食祭の最終日、総合審査の後に商会長自らが話を振って来てくれたらしく、二つ返事で受ける事にしたらしい。

 孤児院の子供達は残念ながらそういった話は無かったらしいが、そこそこに美味しい肉串を焼けるようになったので、孤児院で引き続き、肉串屋を始める事にしたらしい。

 という事で、朝一で片付けの続きと仕入れのチェックを行おうと、越境庵に一人で移動したのだが。


「……一体、どうなっているんだ?」


 ここは越境庵じゃない、札幌にあった俺の店だ。

 しかも、厨房では弟の耕平と、新人らしい料理人が仕込みを行っている真っ最中じゃないか。

 店内は宴会のために貸し切りにしたのか、各テーブルに取り皿やおしぼりといった準備が行われているし、懐かしいアルバイト達がいそいそとセッティングを行っている真っ最中だ。

 しかも……。


「俺のことは見えていないのか。しっかし、なんでまた、こんな状況になっているんだ?」

 

 そう考えて、店の入り口から頭を出して外を見る。

 扉には張り紙が張られていて、『先代店主を偲ぶ会』と書かれている。

 つまり、今日が俺の命日っていうことか。


「ふぅん。まあ、俺がいなかった一年、耕平たちが店を守ってくれていたのか……」


 気が付くと、店内には大勢の客が溢れかえっている。

 近所の御隠居さんや学生さん、よく夫婦喧嘩をしては逃げてくる旦那さんや近場の会社勤めの連中など。みな、生前によくしてくれた人たちが集まってくれている。

 そして耕平が何か挨拶をしてから、宴会が始まった。


「一年もたてば環境も変わっている……か。厨房についてはあまり変化がないように……いや、ものの配置が変わっていたりするのは仕方がないよなぁ」


 俺が使い勝手がいいように調理器具や器などを配置していたように、耕平たちも自分たち流に配置を変えていたのか。しかし……俺には使いづらいよなぁと、思わず苦笑してしまう。

 そして何を仕込んでいるのか確認してみると、耕平は鳥すき焼きの具材を盛り終えて、次は炭焼き台でダルマ烏賊の生干しを炙っている真っ最中。

 かたや若手はというと、ポケットから取り出したレシピのメモを見つつ、鳥すき焼きのタレを合わせているところか。


「どれ、今のあたりはどんな感じなのやら……」


 そう思ってメモをちょいと覗き込んだが、酒と醤油が1:1、ここはいい。

 甘みを出すためのに砂糖ではなくザラメを加えている。

 そして一発で仕上げているようだが、これでは俺の味にはならない……が、まあ、今の店の味は耕平が決めたもの、それなら俺がとやかく言っても始まらないか。


「まあ、とやかく言っても届かないんだがね……」


 そう思って見ていると、若手の合わせたタレを耕平が味見している……が、どうにも納得がいっていないように感じる。

 その証拠に、焼き台を若手に任せて、あたりの仕上げは自分で行うようだ。

 ポケットからメモ帳を取り出して一つ一つ確認しているのだが、昔はそんなことはしていなかったよなぁ。まだ新しいメモには、びっしりと様々な料理の作り方やタレの比率などが書かれている。

 それを手に、少しずつあたりを取り直しているんだが、以前はこんなに細々としたことはしていなかった。

 一発、これと決めた味には自信を持っていたはずなのだが、なにが耕平を変えたのだろうか。


「って、俺だよなぁ……」


 耕平も、ここを守るために必死だった。

 そんな感じがする。

 俺が残さなかったレシピについても、メモ帳には色々なパターンが書かれている。


『……この店の味は、これで合っている筈なんだ……兄貴が長年研究して来た『すき焼きのタレ』、レシピも残っていないのを、ここまで再現したのに……何が足りないんだ……』


 そう小声で呟いているのが聞こえてくる。

 なるほどねぇ、そういうことだったのか。

 

――ポン

 思わず耕平の肩を叩く。

 違うのは一つだ、それについてはメモにも書かれているが、大元の調味料が違う。


「そもそも、煮切り味醂の分量が違う。使っているものも。味醂のメーカーを変えたのか?』


 そう呟くと、耕平も何かを察したのか、棚に並んでいる調味料からいくつかを引っ張り出している。


『酒と味醂を煮切って、たまり醤油を……いや、かえしを少し加えれば、近い味に仕上がる……よし、いいぞ、兄貴の味に近づいている』


 今からレシピを残すことは出来ない。

 すまんが、後はなんとか頑張ってくれ。

 ただ、俺の味を追い求めるんじゃない、それを越えてくれ……。

 そう呟いてから、一旦、厨房から外に出る。

 

「ほんと、一年会わなかっただけで、みんなすっかりいい年になったよなぁ……」


 カウンターで笑っている友達の顔を見ると、本当にそう思えてくる。

 そしてふと、そいつらが振り向いて俺の方を見たような気がした。


『……なあ、優也がいたような気がしたんだが』

『ははっ、俺たちが楽しそうに飲んでいるから、顔を出したのかもな……』

「うるせぇ。黙って飲んでいろ」


 辛口を叩いて見せるが、こいつらはずっとこっちを振り向いたまま。


『優也、耕平はがんばってお前に追いつこうとしているぜ』

『あとは俺たちに任せろ。口うるさい姑役は引き受けてやるから、後は黙って見ていればいいさ』

「まったく……ほら、そろそろ鳥すき焼きが来るから、黙って食え」


 ちょうどバイトの子達がカセットコンロを持ってくる。

 さて、中の様子はどうかなと思ってひょいとカウンター越しにのぞき込んでみる。

 ちょうどすき焼きに使う卵を出しているところか。

 でも、以前俺が指示していたやつとはサイズが違うな。


「ああ、そっちは違う。すき焼き用の卵はSサイズの方が、黄身が大きくて旨く感じるって話したよな」


 思わずつぶやいてしまったが、バイトの子も一瞬、こっちを振り向いていた。

 

『んんん? ああ、そっか。店長、この玉子じゃなく、Sサイズの卵はありますか?』

『Sサイズ? いや、ここ一年はずっとMサイズしか使っていないが』

『優也店長は、すき焼きにはSサイズだって、以前話してくれたことがあったんですよ。今、思い出しました』

『マジか……わかった、明日からは切り替える。今日はそれで頼む。他にも気が付いたことがあったら、教えてくれ』


 ふぅ。

 俺の感情が強い時は、なんとなく気配が判るのかもな。

 という事は、後は黙って今のこの雰囲気を楽しむ事にしようかねぇ。

 もう、ここには俺の居場所はないからな。

 そう思って、ちょいと気になって事務室に入っていく。

 そしてふと神棚を見ると、やっばり予想は当たっていた。

 そこにはヘーゼルウッド様の御柱が置いてある。


「今日、あの世界と店を繋いでくれたのは、ヘーゼル・ウッド様でしたか。ありがとうございます」


――コトッ

 うん、一瞬、御柱が震えたような気がする。

 これはいつものあれだ、ヘーゼル・ウッド様が返事を返してくれたのだろう。

 さて、今更、店の方に戻ってもこっぱずかしいだけだ。

 生前の俺のことを思い出してあ~だこ~だと笑っているのだからな。

 だから、ここでお前さんたちの声を聴いている事にするよ。


 今日は、ありがとうな……。


 〇 〇 〇 〇 〇


「……にゃ、ユウヤ、ここで寝たら寒いにゃ」

「ユウヤ店長、風邪をひきますわ。まさか、一日中ずっと、ここにいたのですか?」

「ん……ん、ああ、誰かと思ったらシャットとマリアンか……って、どうやって入って来たんだ?」


 確か俺は、自分だけで越境庵に転移したはずなんだが。


「どうやってもなにも、暖簾が外に張り付けられていて、扉が開いていたにゃ」

「てっきり仕込みでもしているのかと思いましたわ」

「ん~、ああ、仕入れをやっちまおうと思ってね……ちなみに今は何時頃だ?」

「もう、夕方の6時にゃ、時計にそう書いてあるにゃ」


 ということは、本当に半日近く、ここにいた……いや、あっちにいたのか。

 やれやれ、一日が潰れてしまったが……いや、今日はそれでいい。

 チラリと神棚を見てヘーゼル・ウッド様に感謝すると、ようやく俺も立ち上がる。


「それじゃあ、先に飯でも作るか……今日は鳥のすき焼きがたべたくなったから、それでいいか?」

「あいにゃ!! 晩酌もしたいから、ここから炭酸と割り材も持って行っていいかにゃ?」

「ああ、それは構わんよ……と、マリアン、何かあったのか?」


 ふと見ると、マリアンが事務室の入り口に置いてある『タイムレコーダー』をしげしげとみている。

 ああ、そういえば事務室に入ったことはなかったんだよな。


「ユウヤ店長、これはなんでしょうか?」

「タイムレコーダーといってな。従業員はこれで出勤と退勤を管理できるんだが」

「にゃ、あたいのも作ってほしいにゃ、あたいとマリアンは、従業員だにゃ」

「ああ、そうか……そうだな。それじゃあ、ちょいと待っていろ」


 新品のタイムカードに二人の名前を書き込んでやる。

 これで二人も、名実ともに正式な従業員ということになったか。

 それで二人にタイムカードを渡して使い方を説明したとき。


――フッ 

 俺の手の中に、二つの鍵が姿を現わした。


「んんん? これはなんだ?」


 そう思って『詳細情報』で確認すると。


『ピッ……越境庵の合鍵。これを所持するものは、店主であるユウヤ・ウドウのように瞬時に店内に移動することができる。なお、合鍵で移動できるのは、従業員として登録されたものに限る』


「ふむふむ……だとさ」

「なにがだにゃ?」

「あの、この鍵はなんでしょうか?」

「ああ、こいつは二人に一本ずつ渡しておく。使い方は……」


 ということで、合鍵の使い方を説明したが、これがまた実に便利なもので。


「うきゃぁぁぁぁ、これで生ビールを注ぐのも簡単だにゃ」

「足りない食器とかをどうしたものかと考えていたのですよ。これで、私たちが勝手に取りに来ても大丈夫なのですね?」

「そういうこと。皮紐でも通して、首から下げておけばいいだろうさ」

「ありがとうだにゃ」

「本当に……私たちを信じてくれて、ありがとうございます」

「ああ……と、そろそろ飯にでもするか。明日からは少し、仕事が楽になりそうだな」


 そんな話をしつつ、俺たちもようやく食事にありついた。

 それにしても、今日は色々とありすぎだった……。


「Do not stand at my grave and weep……か」

「ん、なんかいったかにゃ?」

「いや、そういう歌があってね。死んだ人が、生きている人達に語り掛けるような歌でさ。元々は一通の手紙に記されていた、追悼の言葉なんだが。それが広まっていってね。俺の故郷では日本語に訳されて、歌になったぐらいで……と、確かあったよ」


 CDプレイヤーで、その曲を掛ける。

 食事時に聞くには寂しいのだが、今日はこれを聞きたくなってね。

 それを悟ってくれたのか、二人も歌に耳を傾けつつ、静かな食事を楽しむ事にした。


 さて。

 聞こえているとは思えないが。

 俺は、ここで生きているからな……。  

 

――第一部・完

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